共同会派の国土交通部会は26日朝、新型コロナウイルス感染症の蔓延で需要が急激に落ち込んでいる航空産業の現状を把握するために、定期航空協会と航空連合を招いて今後の見通しと必要な対策について意見交換しました。

 定期航空協会の大塚洋理事長は「新型コロナ発生以降、公共交通の使命として中国からの邦人帰国チャーター便、物資輸送に取り組んできた。現在の運航状況は、中国・香港線は9割飛んでいない。国内線は先月末からの大量キャンセルで2割減便、国際線は8割減便。予約状況は2月は中国のみマイナスだったが、3月は7割減。減収見込みは2月28日時点で1000億円の減収、3月13日時点で4000億円以上の減収見込みでこのままでは年間で1兆円規模になる。イラク戦争とSARS時でも年間1700億円、リーマンショックで年間3000億円であり未曾有の危機だ」と航空業界の見通しを説明しました。そのうえで航空業界からの要望として、(1)航空使用料(着陸料・停留料・航空援助施設利用料)等の支払い猶予、還付・減免(2)各種税制(航空機燃料税・航空機の固定資産税)等の支払猶予、還付・減免(3)減収額が(1)(2)を上回る場合の助成制度の創設等さらなる支援(4)会員社に対する経営環境を踏まえた政府保証(定理・無担保)付き融資(5)雇用調整助成金の助成額の上限額・補助率の引き上げ(6)新型コロナウイルスの終息を見据えた航空業界による大規模な需要喚起策等への助成――などを求めました。

 航空連合の島大貴会長は「私たちの仲間は、日々、目の前でお客様が減っている現状を見ながら、公共交通の責務としての安全運航と、自らとお客様の感染防止に全力で取り組んでいる。航空産業で働くものの立場から以下3点要請したい」と述べ、(1)雇用維持を最優先した公租公課の時限的な軽減と資金繰りへの支援(2)接客部門を対象としたマスク、消毒液等、必要備品の確保への支援(3)観光・航空需要の早期回復に向けた対応――を求めました。

 参加した議員からは、オリパラ延期による具体的影響、航空需要増を見込んで増員したグランドハンドリング要員等の雇用維持策、来年度以降の社員採用の見通し、コロナ収束後の需要喚起策についての質問や提案が出されました。航空連合から共同会派部会長宛の要請書が手交され、業界支援策について共同会派で検討のうえ、合同対策本部を通じて政府与野党連絡協議会での実現を目指すことを確認しました。