立憲民主、国民民主、共産、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」、社会民主の野党幹事長・書紀局長と市民民連合との意見交換会が25日国会内で開かれ、市民連合から新型コロナウイルス対策に関する要請を受けました。
「新型コロナウイルス感染症対策に関する市民連合の要請」は、情報の公開・共有に基づいた治療、感染防止策を取ること、働く親たちを支える社会的インフラの強化を含め、雇用の維持と休業補償等に政府が万全の対応を取ることが必要との認識のもと、(1)感染拡大防止について(2)医療提供体制等の充実について(3)社会保障・雇用に関する対策について(4)緊急経済対策について――の4つを柱に具体策をまとめたものです。あわせて、安保関連法に反対するママの会からの、一斉休校について科学的見地に基づいた検証を行い、子どもたち一人ひとりの育ちが保障され、子どもの権利が守られるよう最大限の配慮がされることを求めた要望書を受け取りました。
冒頭、司会を務めた市民連合の福山真劫さん(総がかり運動実行委員会)は、黒川東京高検検事長の定年延長問題や、森友問題で決裁文書の改ざんを強要され自殺に追い込まれた赤木さん(財務省近畿財務局職員)の妻が国と佐川元理財局長を提訴した問題に言及、「立憲野党の皆さんには引き続きご奮闘をお願いしたい」と求めました。また、新型コロナウイルスをめぐり感染拡大とともに不安が広がっているとして、とりまとめた要望について政策を進めてほしいと訴えました。なお、れいわ新選組については、日程の都合がつかなかったため同日は欠席となり、26日にも別途意見交換を行う予定だと話しました。
法政大学法学部教授の山口二郎さん(立憲デモクラシーの会)は、今回の要望は特に即効的に実施してもらいたい施策をまとめたものだと説明。「当面のコロナウイルス対策について実効性などをただしながら、政府の信頼性について息長く追及し、今度の東京都知事選挙や来年秋までの衆院選挙に向けた問題点の掘り下げを野党の皆さんにしていただきたい」「いろいろな問題が出てくるといろいろな専門家が出てくるが、今までの日本の政策決定のパターンとして、政府あるいは官僚機構にとって都合のいい専門家を使って情報をコントロールしていき政策を打ち出している。この機会に点検し野党から建設な提案をしていただきたい」と呼びかけました。
福山哲郎幹事長は、市民連合から1つのテーマで要望を受けるのは初めてだとして、「それだけ市民の生活、経済活動、それぞれの皆さんが働いている職場で大きな変化と不安が広がっている証拠だと思っている。今日の要望については、しっかりと受け止め、野党として政府に提案する要望のなかにできるだけ盛り込んでいきたい」と表明。安倍総理が「瀬戸際は続いている」との認識を示し、大都市圏を中心に感染者数は増え続け、東京では大規模クラスター発生を警戒しているなか、なぜ学校を再開するのかとあらためて指摘。検査の件数や入国制限など対応のあり方を一例に、各国と比較し、政府の対応は国民の不安を払拭するものにはなっていないとして、「国会でも徹底的に議論し、経済対策を含めてしっかり取り組んでいきたい」とあいさつしました。
子育て中の母親たちは、子どもたちが卒業式など行事に出られず傷ついていることや、学校の勉強の遅れ、特別支援学校に通う子どもたちは居場所を失っていること、また休校に伴い仕事を辞めざるを得ない親も多く出てきていること、海外から帰国した児童が発熱していても新型コロナウイルスの検査が受けられずに保育園でその児童を預からざるを得ないケースがあったこと、学童保育では朝からの開業等に人員不足に陥っていることなど、学校の一斉休校によりさまざまな混乱が生じていると現場の悲痛な声を紹介。政府はこうした状況をどれだけ理解しているのか、またどういう根拠で一斉休校という判断をし、その際にはどれほどの混乱を想定していたのか、保育園はなぜ対象外としたのか、一方で今回開校とした根拠は何なのかと問いかけ、子どもや親、学校や保育・学童保育等の現場の関係者の声を政府は受け止めてほしいと求めました。
参加者からはそのほか、パートやアルバイト、派遣で働いている人たちの休業、雇い止め、労働時間の短縮等があちこちで発生し収入が滞っているケースが増えていること、タクシー業界では最低賃金にも届かない状況が出ていることへの不安の声や、介護従事者へのフォローが足りていないのではないかなど、さまざまな指摘が上がりました。
野党側からは、経済対策を含め、まずは足元で損失をしている人たちを支えていく考えを表明。寄せられた声をまとめ、「政府・与野党連絡協議会」等を通じて政府に必要な対策を提案していく考えを示しました。