2020年3月23日
【参院予算委】福山幹事長「現実の国民の生活を見て早く意思決定を」と要請
参院予算委員会で23日、「安倍内閣の基本姿勢」に関する集中審議が行われ、「立憲・国民.新緑風会・社民」から福山哲郎、福島みずほ、芳賀道也、足立信也各議員が質問に立ちました。
立憲民主党の福山議員は(1)新型コロナウイルス感染症対策(2)森友学園公文書改ざん問題――等について取り上げ、安倍総理ら政府の見解をただしました。
新型コロナウイルス感染症対策をめぐっては、政府は20日の対策本部で小・中・高・特別支援学校の春休み前までの一斉休業を延長しないことを確認し、安倍総理が学校再開に向けたガイドラインの作成を萩生田文部科学大臣に指示したことに言及。3月19日の専門家会議では、国内の現状に関しては、どこで感染したか分からない感染者が増えていることに「爆発的な感染拡大につながりかねない」と懸念を示し、対策強化を求めていることに、「これから1、2週間が、急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となる」との専門家の意見を踏まえて、全国的なスポーツ・文化イベントの開催の中止や延期、規模縮小、全国一斉休業を要請したと安倍総理が説明した2月29日の記者会見から状況は何ら変わっていないと指摘。「前回は、一人も感染者が出ていないところまで一斉に休業した。今回は、圧倒的に多くの都道府県で感染者が出ている。解除する前提で文科大臣に指示をしたのか、解除ではないのか。そのステータスを聞かせてほしい」と尋ねました。
萩生田文部科学大臣は、「国内の感染状況は爆発的な感染拡大には進んでいないため原則としてすべての学校が再開されることとなる。ただし、今後も学校において感染者が判明した場合には学校の設置者において臨時休業の必要性について感染者の症状の有無、学校内における活動の対応、接触者の多寡、地域における感染拡大の状況等について総合的に判断する」などと答弁。24日にもさまざまなチェックポイントも含めてガイドラインを全国に発信すると述べました。
福山議員は、「状況は変わってない。逆に感染は徐々に拡大していてオーバーシュートのリスクは高まっているというのが専門家会議の見解だ」として、2月29日の総理要請のあと予定通りに学校生活や卒業式をできなかった学生たちや、それに関わるさまざまな業者の皆さんがどんな思いをしたのかと投げかけ、「今回、状況は変わっていないのに学校は再開していい、そこにクラスターが発生したら叩く。原則論はその通りだが、それは当時からみんなそう言っていた。そうやってころころ状況によって方向が変わるから不信感が募るのではないか」と批判しました。
政府として引き続き主催者側に慎重な対応を求める考えを示しているスポーツ・文化イベント開催について、安倍総理は「(自粛を)要請した結果、さまざまな経済的なダメージが発生していることはわれわれもよく知っているところだ。損失を被ったところについては、損害額を政府が補償することはできないが、雇用を守るための対策としては第1弾、第2弾の対策としてすでに示しているところだ」と答弁。福山議員は「イベントの売り上げを補填するだけが問題ではない」と述べ、イベントには飲食や舞台、照明、警備等々さまざまな業者、スタッフが関わっていること、同様に学校の一斉休業問題についても、給食センターへの支援は重要だがスクールバスを運行するバス会社や、貸し衣装の会社などさまざまなところに影響が出ていることに言及。「私の知り合いのところは、3月だけでキャンセルによる返金額は10億円で、会社が続かないと言っている。こういったとこがいっぱいあるという現実をしっかり見ていただいた上で、全額とは言わないが、われわれが東日本大震災のときに損失補償のスキームを作ったように、一定のルールを作る、そこには配慮するという大きな決断が必要ではないか」と求めました。
福山議員は、飲食業などをはじめ経営が厳しいところでは雇止めが多く発生、新卒の内定取り消しも相次いでいることなどを受け、「そうした状況だからこそ、一定の補填をするというメッセージがあれば雇用も維持するし、安心感も与えられる。例えば、児童手当のスキームを使えば6月には1人2万円、3万円といったキャッシュが入る。子育て家庭には一定のフォローができる。こうしたことを具体的に、早く言っていただきたい。本当に現実の国民の生活を見て早く意思決定をしていただきたい」と要請。アメリカはGDPの10%の200兆円規模、ドイツでは約15兆円の経済対策を打ち出す方針が示されるなか、日本はどれくらいの規模で考えているのかと問いましたが、安倍総理は「いま具体的な額が積み上がっているわけではない。それに向けて与党で強大な経済財政政策を練り上げていきたい」と述べるにとどまりました。
福山議員は、森友学園への国有地売却をめぐって公文書が改ざんされた問題では、自殺した財務省近畿財務局で勤務していた赤木さんの手記に、「佐川宣寿財務相理財局長の指示」で行われた記されていたにもかかわらず、安倍総理、麻生財務大臣ともに「新しい事実が判明したとは理解していない」と発言していることを問題視。あらためてこの点を確認しましたが、安倍総理は「財務省において、麻生大臣のもとで事実を徹底的に調査をし、明らかにした」、麻生財務大臣は「この手記に基づいて、私どもが見た段階では新しい事実が判明したとは理解していない。手記と報告書に大きな齟齬はないと思っている」とそれぞれ述べ、再調査に否定的な考えを示しました。
福山議員はこの2人の発言を受け、赤木さんの妻の「安倍首相は2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。麻生大臣は墓参にきてほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げました。この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場にないと思います」との言葉を紹介。佐川元理財局長の国会での発言が虚偽であったとも指摘し、佐川氏の再喚問、真相究明のための集中審議の開会と財務省の関係者の参考人招致などを求めました。金子委員長は後刻理事会で協議する旨応じました。