衆院本会議で28日、一般会計の総額が102兆6580億円と過去最大となる2020年度予算案が自民、公明、維新などの賛成多数で可決、参院に送付されました。立憲民主党などの野党が提出した新型コロナウイルス対策予算を含めた組み替え動議は本会議に先立ち行われた予算委員会で自民、公明、維新などにより否決されました(写真は本会議場で可決した時の様子)。

 本会議後、記者団の取材に応じた安住淳国会対策委員長は、新型コロナウイルスが蔓延していて危機的な状況の中では、予算を組み替え3千億円ほど積み増しをし、新たな対策を講じた方が良かったと語り、「コロナウイルス関連の予算がまったくない本年度予算は考えられない。こうしたことが衆院を通過したのは残念」と述べました。

 その他の主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:審議を通じていろいろな問題が浮かび上がってきましたが、改めて安倍政権に対する評価を

 桜を見る会、そして検事長の定年延長問題、さらにカジノの国民が反対する中での強硬路線、こういうことをただしてきましたが、残念ながら一顧だにせず、突っ走ってる姿は残念でなりません。もう少し国民の声を聞いてやってもらえばなと思っています。
 また、感染症の問題が本予算の審議が始まってから、かなり大きくなってきました。われわれは初期の段階から水際(対策)が非常に重要だということで、厚労大臣の出席問題等を含めて配慮はずいぶんしてきた。
 しかし残念ながら政府の危機感が薄かったと思います。厚労省頼みで他の役所にしてみると他人事のような感じで、もう少し総理がリーダーシップをとり、大きく構えて初期の段階から対応していれば後手に回ることはなかったのではないか。参院に舞台を移しますが、こうした問題について徹底的に検証していきたい。

Q:今回の政府予算案について、改めて評価を全体像としてお聞かせいただきたい

 100兆円を超える大型予算になりましたが、その一方で削るところをしっかり削るという作業が欠けていた予算だと思っております。
 また先ほど申し上げましたように、緊急、不測の事態に対応するための柔軟な発想がなかったことは残念でなりません。景気もこれからたぶん相当厳しい局面を迎えますが、そういう点では旧来の公共事業に依存したわが国の経済構造をただ維持するためだけの予算で、改革には残念ながら程遠い予算。
 全世代型社会保障と銘打ち国会をスタートしましたが、実際はほとんどその事について具体的な本論に入らないまま、予算案が通っていったのは残念でなりません。

Q:衆院の予算委員会では、桜やカジノ、コロナなど、項目としては盛りだくさんだったと思いますが、参院では今後どのような点を追求していくか

 ここに来て小中高そして支援学校の休校という国民生活に大きな影響を与えるような方針が出てきました。そういうことも考えますと、やはり感染症対策の政府対応の問題は当然予算委員会で大きな問題になるのではないか。
 また桜を見る会の問題と検事長の定年延長は、実はつながっている問題です。ですからそういう点では国民が時の権力者の意向を受けた、そうした忖度人事が行われてるのではないかという疑念はいまだに消えないわけですから、こういう問題についても厳しく追及していきたい。

Q:総務委員会で総理がコロナに関しての法案整備について野党に協力を事実上呼びかけましたが、それについては

 私どもが政権を取っていた時に作ったインフルエンザに対する特別措置法は、今度の事態に対応できたものだと思っていて、当初から原口代行も含めて、これを適用すべきだと言ってきました。
 今になってようやく有効性みたいなことを、今日も言及なさったわけですが、ちょっと遅いのではないか。
 この感染症の問題は、相当われわれも危機感を持っておりますので、国民生活にとってそれが有効であれば、政府側から話は聞きたいと思っております。