2020年2月17日
【衆院予算委】「『桜を見る会・前夜祭』政治資金規正法違反の疑いが濃厚ではないか」と辻元議員
衆院予算委員会で17日、「『COVID-19(新型コロナウイルス)への今後の対応』等内外の諸情勢」に関する集中審議が開かれ、共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」(立国社)から辻元清美、岡本充功、馬淵澄夫、小川淳也、奥野総一郎、山井和則、前原誠司の各議員が質問に立ちました。
同日の委員会は、「意味のない発言だ」とやじを飛ばしたことに対し、「2月12日の質疑のなかで、辻元委員に対し、質疑終了後、不規則な発言をしたことをお詫びします。今後、閣僚席からの不規則発言は、厳に慎むよう総理大臣として身を処して参ります」と安倍総理の謝罪から始まりました。
辻元議員は12日の委員会で憲法改正や安倍政権の政治姿勢等について取り上げ、自衛隊が大事だと思うからこそ、9条への自衛隊明記を盛り込んだ改憲案が国民投票で否決された場合の社会的影響や意味の大きさを考えれば十分考慮すべきではないかと提起。これに対し安倍総理は「合憲であることは変わらない」とする答弁のなかで、「辻元委員が自衛隊のことをそんなに大切にしていたのかということを私は今まで寡聞にして存じ上げなかった」などと発言し、これに対しても辻元議員は「失礼」だと取り消しを求めていました。
辻元議員の次の質疑者であった逢坂誠二議員が、安倍総理のやじについて事実確認をしたところ、「最後のところで、辻元委員はずっと、私へ、質問ではなくて、ずっと、私から言わせれば、罵詈雑言(ばりぞうごん)の連続だった」とこれを認め、正当化。委員会終了後、立憲民主党など野党は「看過できない」と自民党に謝罪と撤回を要求、合意ができなければ安倍総理に対する懲罰動議を提出するとして与党と協議を重ねていました。こうしたなか、与野党国会対策委員長会談で13日、17日に委員会を開き、総理出席のもと集中審議を行い、冒頭総理から辻元議員に対してお詫びをすることで合意しました。
質疑で辻元議員は、12日に「鯛は頭から腐る」という言葉を紹介したことについては、「(参加者一人ひとりと契約し、ホテルの領収書を渡す)『安倍方式』にお墨付きを与えてしまったら全国津々浦々まで広がってしまう。だからトップ、リーダーが一点の曇りもないようにしておいてほしいとの思いで質問している」と説明。その上で、「桜を見る会・前夜祭」については、安倍総理が領収書と明細書を公表すればこの問題は終わるとしてあらためて公表を求めました。
安倍総理は「政治資金の出入りは透明化しないといけないとの考えに則って処理をしている。飲食会の主催者は安倍晋三後援会であり、夕食会の段取りは私の事務所の職員が会場であるホテル側と相談している。事務所に確認をした結果、その過程においてホテル側から見積書等の発行はなかったとのことだ。参加者1人当たり5千円という価格については、ホテル側が設定した価格であり、価格以上のサービスが提供されたわけではない。当該価格設定通りのサービスが提供されたものと承知している。ホテル側との合意に基づき、夕食会の入口において安倍事務所の職員が1人5千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、受付終了後に集金したすべての現金をホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたものとしている。安倍事務所にはいっさい収支は発生していない。明細書については営業秘密にかかわることでもあり、お示しすることはできないと述べている。領収書については事務所から出席者とホテル側との間で現金の支払いと発行がなされているものであり、私の事務所から指図できるものではない」と答弁。2013年以降、全日空ホテルで3回、ホテルニューオータニで4回、すべて「安倍方式」を取り、ホテル側から明細書の提示はなかったと主張しました。
辻元議員は、「この安倍方式をみんながやりだしたらどうなるのか。『ホテル側からもらっていない』と繰り返し答弁されているが、それが事実でなければきちんと責任を取られる覚悟のもとの答弁ですね。どのように責任を取られる考えか」と追及。安倍総理は「大臣として答弁している。すべての発言に責任は伴う」と答えました。
辻元議員はその上で、全日空ホテルに2013年以降の7年間に開かれたパーティー・宴席について以下4点を問い合わせ、その回答を文書で正式に得たと紹介。
(1)貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発効しないケースがあったでしょうか。
(回答)ございません。主催者に対して、見積書や請求明細書を発行いたします。(2)上記について、個人・団体を問わず、貴ホテルの担当者が金額などを手書きし、宛名は空欄のまま領収書を発行したケースがあったでしょうか。
(回答)ございません。弊ホテルが発行する領収書において、宛名を空欄のまま発行することはございません。(3)ホテル主催ではない数百人規模のパーティー・宴会で、代金を主催者でなく参加者個人一人ひとりから、会費形式で貴ホテルが受け取ることはありましたか。
(回答)ございません。ホテル主催の宴席を除いて、代金は主催者からまとめてお支払いいただきます。(4)先の文書での質問も含め、お問い合わせした1-3について、主催者が政治家および政治家関連の団体であることから、対応を変えたことはありますか。
(回答)ございません。
辻元議員は、「総理のおっしゃっている答弁が、全日空ホテルのこの回答では根底から覆ると思う。総理大臣として、すべての発言に責任をもっているとおっしゃった。国権の最高機関である国会で真実と異なる答弁を幾度となく繰り返し、さらには政治資金規正法違反の疑いが濃厚になったのではないか」と指摘。安倍総理が「確認してみる」と答弁したことを踏まえ、午後の委員会での回答を求めました。
安倍総理は午後の質疑で、全日空ホテルに口頭で確認したところ、辻元議員への回答はあくまでも一般論との話だったと強弁。野党側はこれでは納得できないとして、口頭ではなく文書で回答するようあらためて強く求めています。
辻元議員は質疑の冒頭、今回の安倍総理の謝罪について「これは私個人の問題だけではなく、行政府の長として立法府への謝罪だと受け止めた」と述べた上で、2015年の安保法制の議論のときも「早く質問しろよ」とやじを飛ばし、「辻元議員の質問の際に、私の不規則発言に関し(中略)重ねてお詫び申し上げるとともに、ご指示を踏まえて真摯に対応してまいります」と謝罪していたことに言及。「私ごときの発言に自分を抑えきれずに度々憤慨されるような総理大臣では危機対応、大丈夫かしらと心底心配している。歴代13人の総理と激しくこの場で議論してきたが、やじを飛ばしまくる総理は初めてだ。総理にとっては嫌なこともあるかもしれないが、野党がきっちり行政の監視をしないで誰がするのか。厳しいことを言っても受け止めてほしい。みんながイエスマンに議会がなったら議会は大政翼賛会になってしまう」と指摘。「今度こそよろしくお願いします」と求めました。