立憲民主党は19日、政調会長主催の勉強会と自治制度調査会との合同会議を国会内で開き、早稲田大学の片山善博教授から「これからの自治制度のあるべき姿」をテーマに話を聞きました。
冒頭、あいさつに立った逢坂誠二政務調査会長は、1993年に衆参両院が可決した「地方分権の推進に関する決議」の意義にも触れ、「権限と財源を国から自治体に移譲させること、補完性の原理を徹底させることが国民にとって幸せであり、国家全体の民主主義もうまくいくということだった。実際に『情報公開』や『住民参加』『行政評価』といった、今では当たり前のように言われていることが、国ではなく地方自治の現場から具体化され、国の政策に高められていったというプロセスがある」とこの間の流れを振り返りながら、「分権は良いものだから徹底してやるということだったが、最近の自治を取り巻く状況は真逆の状況になっているのではないか。平成の大合併を経て自治の機能が随分削ぎ落とされている。小泉内閣以降の予算の削減によって本来地方行政が何をすべきなのかという大きなポイントが見失われているのではないか」と現状に対し問題提起。「自治の問題は国家を支える大事な土台。自治のあり方をしっかり考えていきたい」と力を込めました。
西村智奈美自治制度調査会会長は、「このままいくと日本から『自治』という言葉が消えてしまうのではないか」と危機感を示し、「私たちが軸足をどこに置いて今の日本の自治制度を見つめ、もっていこうとすればいいのかを考えていきたい」と呼びかけました。
片山教授は、「これからの自治制度のあるべき姿」として、(1)自治体の規模・区域(2)自治体の長およびその組織(3)地方議会改革(4)自治体財政(5)国と自治体との関係――について、それぞれ「地方自治法により首長の多選を制限すべき」「地方交付税について恣意性を排除して客観的な仕組みに」「地方税は税率を固定的に扱う自治体の意識を変えるべき」などと具体策を提起。今春の統一地方選挙でもなり手不足や無投票、低投票率が問題となった地方議会の改革案としては、「一般市町村の議会選挙について現行の大選挙区制から中選挙区などに改めてはどうか」「地方議会への日常的住民参加を保障する仕組みを」「首長の権限を議会の権限に」などを挙げました。
講演後の質疑応答では、地方公務員の非正規化や公立病院の統廃合、なり手不足にある地方自治体議員の選び方などについて質問が上がり、片山教授は「地方行政改革で職員などを減らすことに躍起になっていたが必要なのに減らすのは行革ではなく、いびつな状態にある」と指摘。大規模災害が相次ぐなか、災害対応もままならない状況だとして必要な人数をしっかり考えるべきだと求めました。
自治制度調査会では、今後自治制度のあるべき姿についての議論を深め、政策取りまとめにつなげていく予定です。