2019年9月19日
リクナビ問題などについて政府からヒアリング 厚生労働部会
立憲民主党は19日厚生労働部会を開き、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が就職活動中の学生の内定辞退率を予測したデータを企業に販売した問題や、介護保険の要介護1、2が給付から外れる方向で社会保障審議会介護保険部会で議論されている件について厚労省、内閣府の個人情報委員会からヒアリングしました。
リクナビ問題をめぐっては、厚労省職業安定局はリクルートキャリアが提供していた「リクナビDMPフォロー」が職業安定法51条2項に違反していたとして同社に対して(1)同社が行う「リクナビ」をはじめとするすべての募集情報等提供事業について、必要な是正および再発防止策を講ずること(2)同社のすべての職業紹介事業について、必要な是正および再発防止策を講ずること(3)「リクナビDMPフォロー」で内定辞退の可能性を推定する情報の企業への提供の対象となった学生からの問い合わせに真摯(しんし)に対応し、当該情報とその提供について丁寧な説明等適切な措置を講ずること(4)今後の事業運営に当たっては、募集情報等提供事業や職業紹介事業の本旨に沿った事業を行うこと――等の指導を行ったと報告。あわせて公益社団法人・全国求人情報協会に対し、「収集した個人情報の内容及び提供先について、あらかじめ明示的に設定された客観的な条件に基づくことなく、募集情報等提供事業者の判断により選別または加工を行うことは認められないこと」「本人同意なく、あるいは仮に同意があったとしても同意を余儀なくされた状態で、学生等の他者を含めた就職活動や情報収集、関心の持ち方などに関する状況を、本人があずかり知らない形で合否決定前に募集企業に提供するような事業を行わないようにすること」「万が一にも、個人情報の不適正な使用等に係る事案が生じてしまった場合には、当該個人情報に係る利用者に対する丁寧な説明や再発防止策等必要な措置を講ずること」等を求めたと説明しました。
個人情報保護委員会は、リクルートキャリアに対し行った、個人情報保護法第42条第1項の規定に基づく勧告等について、(1)調査に基づく事案の概要(2)勧告の原因となる事実(3)勧告事項(4)その他改善すべき事項(指導)――について報告。個人情報委員会は、問題となった「リクナビDMPフォロー」が今年3月、リクルートキャリアから顧客企業への第三者提供が行われる仕組みへと、個人データの取り扱いに重大な変更にあったにもかかわらず法令遵守等に関して適切な判断を行っていなかったこと、取り扱い変更に伴うプライバシーポリシーの改訂の際の事務手続き等の不備によって一部の会員から必要な同意を得ていない状態になったなどと説明しました。
政府の説明に対し出席議員からは、問題発覚の経緯や情報を購入した企業への指導の有無等についての質問があったほか、個人情報保護委員会が「事務手続き等の不備」と説明することに違和感があるといった指摘がありました。
これに対し個人情報保護委員会は、外部からの通報によって問題が発覚したこと、情報を買った企業38社については調査中であり今後処分の可能性はあると回答。「事務手続き等の不備」としたことには、「調査中である」と説明を修正し調査結果が出たあとにあらためて報告することとなりました。
厚生労働省は、リクルートキャリアに限らず同様のことが起きないよう業界全体に適正な運営を要請したと強調。「就職活動中の学生が安心して活動できるよう対処していく」と述べました。
介護保険をめぐっては、次期介護保険制度改正に向けて今年2月から7回にわたって開かれている社会保障審議会介護保険部会での議論と今後の検討方針などについて厚労省老健局から説明を受けました。
これに関して出席議員らは介護保険の要介護1、2が給付から外れる方向で議論が進んでいることを問題視し、前回2014年改正で要支援1・2の方の訪問介護と通所介護が総合事業へと移行されたことによってどうなったのかなど、議論の根拠となるデータを示すよう要請。市町村事業に移行した結果単価が下がり介護事業所の倒産が増えていることや介護職の人材が慢性的に不足していることなどに触れ、「介護離職ゼロ」を掲げている政府の方針と180度異なる方向で議論が進んでいると指摘しました