枝野幸男代表は14日青森県入りし、八戸市内で開かれた、政治団体「新時代あおもり」の合同演説会に参加。今夏の参院選挙党公認予定候補の小田切さとるさんとともに新しい時代にふさわしい政治への転換が必要だと訴えました(写真上、左から連合青森・内村会長、小田切さん、枝野代表、社民党青森県連・三上代表、国民民主党・田名部参院議員)。
「新時代あおもり」は、参院選挙を見据え立憲民主党、国民民主、社民の各党県連と升田世喜男元衆院議員、連合青森の5者で結成したもの。同団体代表で国民民主党の田名部匡代参院議員、国民民主党青森県連の田名部定男副代表、連合青森の内村隆志会長、社民党青森県連の三上武志代表が激励のあいさつをしました、
「子どもが進学するのにまとまったお金が必要で借り入れたことから負債が増え返済に困っている」「奨学金を借りて大学を卒業したが、非正規雇用に就きなかなか奨学金が返せない」。小田切さんは、青森県内で28年間にわたり弁護士として1万数千人の相談を受けるなか、自身として一番深刻に受け止めたのが貧困・格差の問題だったと振り返り、「まじめに働いても努力が報われずに生活基盤が安定しない、いまの社会は間違っている」と危機感を表明。「政策によっていまの社会が形作られたのであれば、政策を変更することによって変えることも可能だ。新しい令和の時代にふさわしい政策に変えて格差や貧困問題を解決していこう。いまの社会はおかしい、間違っていると思う人は行動で示してほしい」と呼びかけ、「皆さんの声を誠実に受け止め、政治に反映させていく」と決意を述べました。
枝野代表は演説のなかで、老後の生活費が30年間で2千万円不足するとした金融庁の報告書に言及し、みんな分かっていたことではあるが、貯めたくても貯められない社会になっており、すでに高齢者で年金生活を送るなか貯金などできない立場の人も多いなか、問題なのは「だから金貯めろよ」と上から目線で言われたことではないかと指摘。高齢者の一番の不安である、医療や介護の一定程度のサービスを保障することで将来への不安を取り除き、高齢者が安心して暮らすことができるよう、低賃金で重労働を強いられている医療や介護に携わる人々の処遇を改善する必要があると説きました。
「国が関わっている公のサービス、社会全体としてやっていかなければいけないサービスの仕事の多くが、重労働なのに低賃金のため人手不足になっている。ここにお金を回していけば、いざというときにしっかりとしたサービスで暮らしを支えていける。その仕事をする人たちが一定程度の給料をもらえれば、地域で暮らし、お金を使い、希望すれば家庭を持ち、子どもを生み育てることができる。こうした社会にしていくことで地域が成り立っていくのではないか」と述べ、理解を求めました。
青森の基幹産業である第一次産業の課題も取り上げ、政府は競争ばかりをあおるが、世界と競争する農業も必要だが、それができるのは条件に恵まれた地域だと指摘。「条件に恵まれない地域は農業をやめていいのか。安心できる食料、おいしい食料を国内で作ってもらいながら土、水、空気、緑を守ってもらっている。それは単にお金儲け、ビジネスという観点だけでは計り知れない公のサービスではないか。だとすれば、農家の皆さんが地域のなかで継続的に安定的に仕事をし、暮らしていけるために国が出してもいいのではないか」と提起。「国のお金の使い方を大きくシフトさせていくことによって、どこの地域に暮らしていても安心して歳を重ねていける。地域のなかでお金が使われることで地域の商業が活性化し、経済も回っていく。こういう社会に切り替えていこう。元号も変わり、新しい時代に合った、新しい社会の仕組みを作っていく第一歩を、この参院選挙から踏み出していきたい」と力を込めました。
田名部参院議員は、安倍政権で相次ぐ公文書の隠ぺい、改ざんに対し「今までだったら最低でも黒塗りですよ。いずれ時を経て、未来の人たちがあのときの国は、あのときの政治はいったい何があったんだろうか、どこに過ちがあったんだろうか。きちんと検証できる真実を伝えていかなければならない」と、不誠実な対応を批判。金融庁の審議会がまとめた報告書を麻生副総理兼金融担当大臣が政府の政策スタンスと違うとして受け取りを拒否したことを取り上げ、「健康診断を受けて、思ったような結果でないから受け取らないということがありますか。受け取らなくたって身体のここが悪いですよという事実は変わらない。それならば、受け止めて治さないと、どんどん悪くなっていく。都合の悪いことでもその事実は受け止めてこの国の未来のために、誠実に、真剣に責任を果たしていくのが政治のあるべき姿です。正直に誠実に、正々堂々と戦い抜いて民主主義を守り、平和を守り、命を守り、この国の未来をしっかり守っていきたい」と訴えました。