2019年5月28日
【衆院本会議】虐待防止法改正案が全会一致で可決 尾辻議員が賛成討論
衆院本会議で28日、政府提出の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」の採決が行われ、全会一致で可決、参院に送付されました。
本改正案は、子どもへの体罰禁止などを柱とした児童虐待防止関連法で、衆院厚生労働委員会では立憲民主党など野党5党派が提出した対案と同時に審議。再発防止のために虐待をした保護者に医学的・心理的な知見に基づく指導の努力義務規定など野党側の求めた項目を一部取り入れ、与野党が修正案を共同提出。24日の同委員会で与野党の全会一致で可決しました。
採決に先立ち、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して賛成の立場で討論に立った尾辻議員は、昨年5月に目黒区に住む5歳の船戸結愛(ゆあ)さんが虐待で命を落としたことを受け、立憲民主党など野党6党派は昨年の通常国会に「児童相談所緊急強化法案」を提出、児童福祉司の増員、各関係機関の連携等を求めたことにあらためて言及。「この時に法案審議に応じていただき、法律改正ができていたら、今年の千葉県野田市で起きた10歳の栗原心愛(みあ)さんの事件は防げたのかもしれない」と訴え、野党提出法案を放置した政府・与党の対応を問題視しました。
その上で、今回の与野党協議は、子どもの命を守るために全力を傾ける決意が伝わる修正になったと意義を強調。修正案では、(1)加害者プログラムを努力目標規定としたことで、ノウハウを持った専門人材や団体と連携し、意思のある保護者に対して有効なプログラムを提供することで、暴力に訴えることをやめ、家族再統合を進めていくことができるようになる(2)児童相談所と関係機関との連携強化として、児童虐待防止法第4条に関係地方公共団体相互間、市町村、児童相談所等の例を示し、児童虐待対応の連携を具体的に各機関に求めるよう書き込むことになった。さらに児童虐待を受けた児童が転居した場合に、児童虐待を行った保護者に対して転居の前後において指導、助言その他必要な支援が切れ目なく行われるよう転居先の児童相談所長に速やかに必要な情報の提供を行うものとする規定が盛り込まれた(3)本法施行後2年を目途とした児童の意見が尊重されるための仕組みに関する検討規定について、児童の意見を聴く機会の確保、児童の権利を擁護する仕組みの構築を検討規定として明記することになった(4)DV、配偶者等からの暴力について、通報の対象となるDVの形態及び保護命令に係るDV被害者の範囲の拡大について本法の公布後3年を目途に検討を加え必要な措置を講ずることになった――等の4点が進んだと説明しました。
一方で、今回修正案に盛り込まれず、次回への課題となった部分として、中核市、特別区への児童相談所の設置義務化や、親が子どもを戒める権利として民法に規定されている「懲戒権」の削除を挙げるとともに、全会一致で付けている24項目の付帯決議の検討、実施を求めました。
尾辻議員は最後に、「立憲民主党は、子どもの権利条約にうたわれている子どもの意見表明権を担保し、その声をしっかり聴き、寄り添うことで次の虐待の犠牲を生まない努力をし続ける。どの子も等しく守られ、安心して育つことができる環境を作らなくてはならない。今後とも児童虐待をなくすための提案を続けていく」と表明。子どもの命を守る努力を一層進める本法案の修正案、原案ともに賛成だと述べ、討論を締めくくりました。