衆院本会議で16日、「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して宮川伸議員が質問に立ちました。
本改正案は、自然災害の頻発、経営者の高齢化など近年における中小企業をめぐる環境の変化を踏まえ、中小企業の事業活動の継続を助けるため、中小企業が単独で又は連携して行う事業継続力強化に対する支援、商工会又は商工会議所が市町村と共同して行う小規模事業者の事業継続力強化を図る事業に対する支援、遺留分に関する民法の特例の個人事業者への対象の拡大などの措置を講ずる必要があるとして提出されました。
宮川議員は冒頭、「いくつかの異なる内容のものが混ざった、筋の良いものと悪いものを一緒にした、いわゆる『たばね法案』」だとして、昨年の働き方改革関連法案を例に挙げ、時間外労働の上限規制とともに、裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の導入などの筋の悪い物を入れ込んだと説明。「このような国会審議を軽視するような法案の出し方は止めるべき」と指摘しました。
またアベノミクスについて、2014年の記者会見で甘利内閣府特命担当大臣(当時)が「トリクルダウンがまだ弱いということです。だから、トリクルダウンを強くする」と発言したこと、石破茂議員(自民)が雑誌のインタビューで「アベノミクスは安倍晋三首相が好んでゴルフを共にする大企業のトップには恩恵をもたらしたが、その他多くの人を取り残している」と発言したことを取り上げ、中小企業強靭化法案と題した今回の法案を出すのであれば、アベノミクスの中でトリクルダウンが起き、中小企業が活性化する何らかの方法こそ含めるべきと述べました。
その上で、(1)アベノミクスの金融政策により大企業が過去最高益を上げている中、中小企業、小規模事業者もしっかりとその恩恵を得ているか(2)中小企業の強靱化を考えていく上で、ベンチマーク補正などを含めた、より正確な実質賃金の値が必要であると思うがどうか、厚生労働省に早くこのデータを出すように要求したか、要求していない場合なぜ中小企業に立場に立ち行動しないのか(3)経費に関して地方交付税措置を講ずることになっているが、新たに職員を増やせる程度の予算になっているのか、また職員が増やせない場合、今の職員で十分に回せる程度の仕事量なのか(4)本法案の背景の一つは「中小企業の災害対応力を高める」ことだが、「災害」の中には地震や台風などの自然災害だけでなく、中小企業の事業活動の継続ができなくなるという観点から考えると、テロやパンデミック、原子力災害も含まれるはずだが、どうか――などをただしました。
最後に「中小企業、小規模事業者は日本の産業を支えているだけでなく、地域に溶け込み、地域の活性化に貢献しています。こういった企業が元気に経済活動できるように、国も全力でバックアップしていく必要があります」と述べ質問を終えました。