2019年3月12日
「ハード面は進んだが、被災された皆さんの暮らし向きは追いついていない。光と影、その濃淡が強くなっている」枝野代表
枝野幸男代表は11日、福島県・宮城県を訪れ、東日本大震災からの復興の状況を視察しました(写真上は、深沼海岸の慰霊碑に焼香する枝野代表)。
視察を終えて記者団の取材に応じた枝野代表は、「何か所か回らせていただいて、ハードの面では新しい施設・建物などがこの1年でも急激にできた印象があり進んでいるが、一方で、例えば高齢者の方、仕事がなかなか無い、あるいは福島では放射能の心配であるとか、被災された皆さんの暮らし向きはなかなか追いついていないという、光と影、その濃淡が強くなっているのではないか」と語りました。さらに、「ハードが整備されるほど、風化というのが心配」とも語り、「ここから特に9年10年と風化をさせずにハードだけではなくて、お一人おひとりの暮らし向きをどう立て直すお手伝いができるかが政治に問われている」と話しました。
復興庁の後継組織に関しては、「各省庁に対して影響力を行使でき、一元的に復興にあたれるよう、権限の集約・窓口の一本化がしっかり図られないといけない。防災を含め恒久的な組織にすることを考えるべきタイミング」と語りました。
原発政策については、「改めて8年経ってもふるさとに戻れない、そうした方々がたくさんいる結果として町が戻らないという状況を改めて目にした。甚大な影響を与えるリスクを考えた時、原発には合理性がない。原発がほとんど稼働されない中で、エネルギー・電力の供給は十分にまかなえてきているので、原発が必要ないことは改めてはっきりした」と述べました。
当時、官房長官として震災対応にあたった立場から被災地をみてどう感じたかと問われると、「住民の皆さんの期待する復旧復興のスピードを考えると、残念ながら、ようやくハード面で形が見えてきた状況。ソフトを含めた暮らしの立て直しを考えると、もっと加速できなかったのかと忸怩たる思いを抱いている」と語りました。
今回の視察行程は以下のとおりです。
【福島県南相馬市】
○鹿島区橲原地区・小高区富岡地区の除染廃棄物仮置場視察
除染廃棄物仮置場のカバーシートがカラスが突いたりして破損することが問題視されており、それを確認するため、自律飛行式ドローンを用いて、撮影から、画像をつなぎ合わせる画像編集までを自動化、さらにAIを活用し破損箇所を予測することまで行ってます。
○小高ストア、小高区復興拠点施設「小高交流センター」視察
震災後の本格的なスーパーとして2018年12月にオープンした「小高ストア」は、市がスーパー跡地を買い取り整備したものです。
小高交流センターは、今年1月にオープン。物販店舗や飲食店、人工芝を敷き詰めた屋内運動場や子育てサロンなどを備えた複合施設です。国内有数のサーフスポットとして知られる北泉海水浴場(原町地区)が今年、震災後9年ぶりに再開することもあり物販エリアにはサーフボードが並んでいました。
【宮城県仙台市・名取市】
○荒浜地区深沼海岸(仙台市若林区)、慰霊碑に献花・黙祷
慰霊碑に献花の後、発生時刻と同時刻の14時46分に黙祷。その後、焼香しました。
○名取市立閖上小中学校(名取市)にある慰霊碑に献花
2018年に開校した小中一貫校の閖上小中学校。その敷地内に、資料館「閖上の記憶」脇にあった慰霊碑が移設されました。
○名取市の東日本大震災慰霊碑に献花、鎮魂の丘「日和山」を訪問
東日本大震災慰霊碑は、2014年に東日本大震災により犠牲となった人々を偲び、震災の記憶を将来世代まで伝えていくため建立されました。