参院本会議で8日未明、在留資格を新設して外国人労働者受け入れを拡大する「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」(入管法等改正案)の採決が強行で行われ、与党などの賛成多数で可決、成立しました。
採決に先立ち、立憲民主党・民友会を代表し有田芳生議員は、同法案について反対の立場から、強い怒りと技能実習生たちの深い苦しみを抱いて討論しました。
有田議員は冒頭、新たな在留資格となる今回の法案において、現行の技能実習生からの移行が約5割と試算されていることを踏まえれば、現行制度の実態調査や総括があってしかるべきだとあらためて強調した上で、野党議員が2017年度の失踪した技能実習生の聴取票2,870枚すべてを手書きで写した結果、法務省が偽りの報告をしていたことが浮かび上がったと指摘。加えて、2015年から17年の3年分の技能実習生たちの死亡事案一覧では、判明しているだけでも69人が日本国内で亡くなり、その死亡原因については自殺や凍死、溺死、急性心筋梗塞、クモ膜下出血などとあるとして、法務省はこの事実を知りながら放置していたと批判、「これはただの69件の死亡事案ではない。ここには69人一人ひとりの人生がある」と訴えました。
また、「どの分野でどれだけ受け入れるのか。中長期的な見通しもなく、内容のほとんどを法案が成立した後で省令に委ねる。問題を指摘されるとあいまいな答弁で逃げ、相互の連携も、予算の裏付けもはっきりしない『がらんどう』の、立法府を無視した制度設計になっている。白紙委任を認めるわけにはいかない」「国会でチェックできない隙間をぬって、若き外国人労働者が、人間としてではなく、単なる安価な労働力として利用され、長時間労働などで使い捨てにされることがあってはならない」などと表明。日本の技能実習制度は「賃金搾取」「長労働」「使い捨てにされた挙句、犯罪者扱いされる」といった記事が世界で話題になっていると述べ、「日本で暮らす外国人労働者や外国にルーツをもつ人びとが『人間』として、日本社会の一員として、暮らせるための権利と尊厳を保障しなくてはならない。『親日』どころか『嫌日』を世界中に広げていくことになる本法案に強く反対する」と力を込め、反対討論を締めくくりました。