参院本会議で20日、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案(いわゆるカジノ法案)の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決、成立しました。
採決に先立ち、会派を代表して白眞勲議員が反対の立場で討論に立ちました。白議員は冒頭、西日本を中心とする豪雨災害で亡くなられた方々に対し追悼の意を述べるとともに、被災された方々に対しお見舞いの意を表明。政府に対し、全力を挙げて救助活動、災害復興対策に取り組むよう求め、「そういう中で私たちは与野党を問わず人命を第一に政治をしていかなければならないことは当たり前のこと。国民の大多数も世論調査で、このカジノ法案の今国会成立は不要とされている。なぜ、この賭博ができる法律を今、通そうとするのか」と政府・与党に問いかけました。
こうした大災害が生じている最中、野党はカジノ法案の審議は先延ばしし、被災者の救助に全力を注ぐべきだと再三にわたって主張しましたが、与党は被害状況がしっかりと把握できていない、政府が災害対策本部設置後72時間も経たない今月10日から委員会審議を始め、5回にわたって委員長職権で開催したことを批判。「自民党と公明党は完全に人命よりもカジノ、要は、賭博優先だとしか言いようがない」と厳しく抗議しました。
その上で、カジノ法案については、(1)本則251条の法案の条文より多い331項目が国会審議の不要な政省令や規則に委ねられていること(2)ギャンブル依存症防止策や治安対策が不十分であること――等の問題点を列挙。なかでも、カジノ事業者が貸金業者を担い、賭け金が不足した客に施設内で融資できる「特定金融業務」制度を取り上げ、「貸金業法にとらわれない、つまり総量規制もないこの制度はカジノ事業者が客に融資をちらつかせ、巨額の賭け金を使うよう促す恐れを排除できない。ギャンブルで負けが込んだ人が陥るのは、あともう一回やれば取り返せるのではないかという気持ちだ。業者は顧客ごとに自分たちで決めた限度額まで金を貸し、2カ月以内に返せなかったら、14.6%の遅延金を付ける。場合によってはその債権を第三者にゆだねて取り立てるという恐るべき貸金業務が行われる」と問題視しました。
白議員は最後に、「われわれ政治家は、一人でも多くの人々を幸せにしようと、与野党問わず頑張っている。家族まで不幸にさせるような法律を作ってはいけない」と述べ、与野党の議員に対し「皆さまの良心に訴えて、この法案を皆さんで廃案にしていこう」と呼びかけました。