自民、公明の与党は、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案(いわゆるカジノ法案)について、野党が審議が尽くされていないとして継続審議を求めるなか19日の参院内閣委員会で強行採決し、与党などの賛成多数で可決させました。
同日の審議では、白眞勲議員が質疑、反対の立場から討論に立ち、西日本豪雨災害をめぐる政府の対応をあらためて批判。政府が災害対策本部を設置してから、(災害発生後、生存率が急激に低下する分岐点となっている)72時間も経たない今月10日から5回にわたりすべて委員長の職権で委員会が開かれたこと、野党が災害対応に集中すべきとの求めにもかかわらず本来災害対応の陣頭指揮を執るべき石井国土交通大臣をカジノ法案の審議に出席させ続けたことに言及し、「自民党と公明党は人命よりカジノ、賭博優先としか言いようがなく厳しく抗議したい」と表明。本法案では制度の詳細は条文より多い331項目が今後決められる政省令やカジノ管理委員会規則に委られていると指摘し、「(政省令、規則の内容を)再三にわたり委員会に提出するよう求めたにもかかわらず、理事会に出してきたのは質疑の最終局面だ。どうやって精査をしろと言うのか。条文等にも書かれていないルールを忍び込ませ、不透明ななかでカジノ事業者に大きな自由を委ねるためだと取られかねない内容だ」と批判しました。
本法案をめぐっては特に、カジノ事業者による貸付を認める「特定資金貸付業務」の問題や、ギャンブル依存症の増加が懸念されるなか、その対策として政府が「世界最高水準規制」と強弁する依存症対策の実効性を問題視。「われわれ政治家は、一人でも多くの人を幸せにしたいと取り組んでいる。(ギャンブル依存症者の)家族まで不幸にする法律を作ってはいけない」と反対の意を述べ、締めくくりました。
委員会終了後に記者団の取材に応じた白議員は、「法案の中身自体が穴だらけであり、まだまだ審議は尽くされていない。継続審議にして臨時国会で議論すべきだと主張してきたが、最終的に強行的に採決が行われたことは極めて遺憾だ」とコメント。31項目にわたる付帯決議については、「われわれは採決に反対である以上、当然容認できるものでない」と切り捨てました。