G7海洋プラスチック憲章に日本が署名しなかった件について
2018年6月20日
立憲民主党 環境部会
2018年6月8~9日、カナダでG7シャルルボア・サミットが開催されました。持続可能な海洋と漁業を促進させ、沿岸及び沿岸コミュニティを支援し、海洋プラスチック廃棄物や海洋ごみに対処するとした「健全な海洋及び強靭な沿岸部コミュニティのためのシャルルボア・ブループリント」はG7すべての国が承認しました。しかし、プラスチックの製造、使用、管理及び廃棄に関する現行のアプローチが、海洋環境、生活及び潜在的に人間の健康に重大な脅威をもたらすことを認識し、効率性の高い資源管理のアプローチにコミットするとした「G7海洋プラスチック憲章」には、日本とアメリカだけが署名しませんでした。
今国会では、議員立法により「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」の改正案が提出され、「プラスチック類に関する施策の在り方を予防的アプローチにより不断に見直し、廃プラスチック類の削減を推進すること」、「廃プラスチックの発生抑制に向け、法的措置も含めた抜本的対策を検討し、必要な措置を講ずること」などを含んだ委員会決議が採択されています。それにもかかわらず、なぜ日本は「海洋プラスチック憲章」に署名できなかったのでしょうか。これまでのG7会合でもその他の国際会議でも海洋プラスチックの問題は再三指摘されており、今回初めて議論になったわけではありません。国会で議論が進むこのタイミングで、日本が前向きな姿勢を国際社会に打ち出すことができなかったことは残念でなりません。
海を汚染するプラスチックは、レジ袋やペットボトルなど、人間の経済活動で一度しか使われないまま捨てられたものが多くを占めています。2016年スイス・ダボス世界経済フォーラムでは、世界の海を漂うプラスチックの量は、重量換算で2050年までに魚の量を上回るという予測を発表しました。廃プラスチックによる海洋汚染の問題は、リサイクル率を向上させるだけでは解決しません。生産・流通の段階から、責任をもって取り組む必要があります。
立憲民主党では、市民団体や有識者のご意見を真摯(しんし)にお聞きし、具体的で有効な廃プラスチック対策を提案すべく、議論を進めてまいります。
【写真】プラスチックのごみで溢れる水の中で泳ぐ少年。マニラ近くのビーチにて。 © Daniel Müller / Greenpeace