党つながる本部は13日午後、気候変動・原発・エネルギー政策に関する懇談会を開催しました。
山崎誠エネルギー調査会事務局長から、3月9日に立憲民主党などが衆院に提出した原発ゼロ基本法案の現状と今後の展開について報告。NGO・NPO関係者等から問題提起・提言があり、その後、出席した議員との意見交換がありました。
WWFジャパン気候変動・エネルギーグループリーダーの山岸尚之氏から、日本の気候変動・エネルギー政策を巡る課題について(1)再生可能エネルギーの冷遇(2)国・企業間で押し付け合う原子力リスク(3)石炭への依存(4)パリ協定の下で求められる気候変動目標の強化――等の話がありました。
気候ネットワーク東京事務局長の桃井貴子氏からは、石炭火力発電所を巡る現状と課題について説明があり、脱石炭火力に向けて各国が取り組むなか日本は遅れていると指摘。(1)パリ協定の遵守(2)「脱石炭」の目標年を定める(3)エネルギー基本計画の抜本的見直し(4)石炭関連法(環境アセスメント法、省エネ法)の見直し(5)カーボンプライシングの導入(6)原発ゼロ基本法案に脱炭素社会に向けた視点を盛り込む―等の提言・提案がありました。
原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏からは、原子力を巡る課題として(1)原子力を巡る世界の状況=原子力は市場経済では生き残れない(2)日本の原発コスト試算=原発・石炭の発電コストは高い(3)プルトニウム余剰問題=プルトニウム問題は資源ではなく核拡散の問題――等の話がありました。
環境エネルギー政策研究所主席研究員の松原弘道氏からは再生可能エネルギーを巡る現状と課題として、世界のエネルギー需要に占める自然エネルギーの割合や、国別の再生可能エネルギーへの投資額、世界の再生可能エネルギーによる雇用等の話がありました。またエネルギー基本計画に対し(1)自然エネルギー、省エネルギー、地域主導の「3本柱」へ(2)自然エネルギーを基幹エネルギーに位置づけインフラ整備を(3)3.11東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえた現実的な脱原発(4)情報交換と国民参加の開かれた議論の場が必要――等の提言がありました。
CAN-Japan代表の平田仁子氏からはパリ協定と長期戦略に向け、日本の役割、効果的な政策手段、気候政策と経済の関係、重視する技術、筋道の示し方等の争点整理をした上で、パリ協定に整合し、責任を十分果たしうる大幅な削減を示し、着実で長期的視点に立ったグランドデザインと政策が必要との話があり(1)「社会的包摂」を実現する社会の基礎として「パリ協定」を位置づける(2)2030年26%削減目標引き上げ(3)エネルギー転換、温室効果ガス削減を経済・雇用政策と統合させ、速やかな移行を行う(4)公正・透明で市民参加型びプロセスと国会承認の確保――等の提言がありました。
意見交換の後、グリーン連合共同代表の藤村コノヱ氏から今回の総括として(1)政府にだけ任せるのではなく、国会・議員としてこうした問題の解決を進めていただきたい(2)政策形成プロセスに市民が参加するシステムの構築(3)政策形成が仕事として与えられ政府が保証する制度へ(4)政党は日本をどういう国・社会にするかを示し、その中でエネルギー・環境についてのビジョンを掲げ、個々の政策を実践的に進めていただきたい――などの話がありました。