2020年8月5日

「黒い雨」に関する広島地裁判決について(コメント)

立憲民主党 政務調査会長 逢坂誠二
国民民主党 政務調査会長 泉 健太
社会民主党 政策審議会長 吉川 元
社会保障を立て直す国民会議 政務調査会長 重徳和彦

 広島地裁は7月29日、広島市への原爆投下直後に「黒い雨」を浴びたにもかかわらず、国の援護対象区域外であったことを理由に被爆者健康手帳の交付申請を却下された原告全員を被爆者と認定し、手帳の交付を命じる判決を言い渡した。

 原告の方々は、黒い雨を浴びたことにより、病気を患ったばかりか、被爆者援護行政から見放され続け、長年にわたって心身ともに苦しみを抱えて生きてこられた。本判決は、被爆者の認定を地域で線引きするのではなく、原告一人ひとりの状況を個別に判断する画期的な判決であり、評価したい。

 原告は高齢化し、既に亡くなられた方もおられる。一刻も早く判決を確定させて、被爆者と認定された原告に手帳を交付する必要がある。
厚生労働省は2010年から2012年にかけて「黒い雨」に関する検討会を設置して議論した経緯はあるものの、その後は当事者などの声に耳を貸そうとしなかった。厚生労働省はこれまでの対応を反省するとともに、本判決を尊重し、控訴することなく、本判決に基づいた対応をとるべきである。

 政府に対し、被爆者やその家族、それを支える方々に真摯に向き合い、被爆者援護施策の一層の充実を図ることを強く求める。