政府・与野党は21日午前、新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会の第15回目の会合を国会内で開催。立憲民主党から逢坂誠二政務調査会長が出席しました。
 今回協議を求める件として12項目を準備していましたが、検査体制や感染実態の把握方法に大半の時間が割かれました。

 政府から検査体制について明確な説明はなく、感染実態についても各都道府県ごとに発表の時間ややり方などに差がある現状について国として統一しているのかも明らかにならず、都道府県との連携がとれていないことが明らかになりました。逢坂政調会長は「初めての感染者が確認されてから半年が経過しようとしているのに、いまだに検査体制、感染の実態を把握できない。そして、そのことについてどういう方針でやるのか、どういう計画を持つのかも明らかになっていない」と指摘しました。

 また、報道でも多く取り上げられている医療機関の経営が厳しい状況になっていることについて政府から明確な方針を示すよう強く要請したものの、政府は実態把握に努め検討中という段階であり、具体的な動きには繋がっていないことが明らかになりました。
 GoToキャンペーンについては、前倒ししたのか、東京が除外されたのかについて、議論のプロセス、経過、根拠が非常に曖昧であることが分かりました。
 持続化給付金、家賃支援給付金の対象者の拡大については、中小企業庁に繰り返し話していますが、まったく具体的に検討している様子はありませんでした。
 また、学校現場での児童・生徒や教職員などの熱中症対策について、万が一、熱中症が発生した場合の行動指針を早急に策定することを要望しました。
 こうした政府の対応から、逢坂政調会長は「各政党の政策責任者としても政策面から見ても、国会で議論しないと十分な説明が受けられている状況にはない」という認識から、国会での審議を求めました。

 会議終了後、共同会派と共産の出席者が記者団の取材に応じ、GoToキャンペーンの政府からの説明についての受け止めを各党の出席者は次のように答えました(発言順)。

■国民民主党・泉健太政調会長
 GoToもそうですし感染者数のことについても、東京都との関係が非常によろしくないと推測します。
 ですから検査方針、そしてその発表のあり方についても、やはり不協和音を感じますし、そういう軋轢の中でGoToキャンペーンの混乱も国民に悪影響が出ているのではないか。非常に局地的な何人かの政治家たちの暗闘が全国民に影響を与えてしまっている。
 例えば京都でも、地元の宿泊施設に宿泊する場合の独自キャンペーンを近畿2府4県に限って7月いっぱい行われている最中です。7月いっぱいは、そもそも全国のキャンペーンを行わないという前提で、各地の交付金を使い、それぞれ身の丈や感染状況に合わせた取り組みをしていたわけです。そこに急遽上乗せになるというのは、この分科会に知事が入り、リスクコミュニケーションの専門家が入ったにも関わらず、まったく成果が出ていないというか、逆効果になってしまっている。こういうことも大変問題ではないか。

■日本共産党・田村智子政策委員長
 一言で言えば、感染症に対する危機感がこんなに欠如しているのかというのが一番の感想です。
 結局、感染症の対策は厚労省、国交省は粛々と決められた路線に乗っかり、順次、「緩和なんだから、もう前倒しでやってしまえばいい」という経済を回すことしか考えてなかった。この感染症の中で、いかに経済を回すかという、コントロールをする人がいないのが今の安倍内閣の実態だと、非常に危機感を持っています。

■社会民主党・吉川元政審会長
 東京で最大の1日あたりの新規感染者数が出てる最中にGoToキャンペーンを前倒しをする。その際に感染者の増加について議論をしたのか聞いたところ、国交省は、われわれは感染症の専門家ではないのでよく分かりませんと。ちょっとね、なんなんだっていう。今、平時ではないわけで、大きく全国的に感染をする、その端緒のところで、まったくそれを無視するといいますか、気にも留めずに、GoToトラベルに突っ込んでいたと。そしてわずか1週間程度で東京は除外しますと。感染症の拡大を防ぐことと、経済を回すこと、これは本来両輪でなければいけないですし、バランスを取りながら進んでいかなければいけないにも関わらず、そのバランスを取る機能が完全に喪失をしているとしか言いようがない。

■社会保障を立て直す国民会議・重徳和彦政調会長
 総務省出身の議員の私としては、縦割りの限界を感じます。役所はもともと縦割りですから、それを総合して施策をしっかりと組み立てるのが政治の役割だと思ってます。
 東京だけ除外をするとか、期間をいつにするということを政府の独断で決めていくことで、GoToキャンペーンをやめた方がいいというのもありますが、「ぜひやって欲しい」という刹那の声もあるわけで、そういうところへの思慮がちょっと欠けているのではないかと思います。

■逢坂政調会長
 やはり政府機能の目づまりを感じます。政府が機能していない。各省を束ね、官邸で総合的な判断をするといったことが機能していないのだろうと思います。

新型コロナウイルス対策等に関する要望事項

2020年7月21日
共同会派 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム

【今回協議を求める件】
(1)全国的に感染拡大傾向にあることから、感染拡大防止にさらに万全を期すること。また、感染拡大防止に向けた政府の考え方(検査・医療体制、対応を求める際の客観的基準を含む)を早急かつ明確に示すこと。
(2)感染防止と経済活動を両立させるための検査体制を確立すること。
(3)災害時の感染拡大防止策を徹底すること。特に、現地に赴くボランティアや派遣行政職員等に対する検査の実施などについて、政府の方針を明らかにすること。
(4)休業要請を行う場合には補償もセットにすることをはじめ、新型インフルエンザ特措法改正に関する政府の考え方を早急に明らかにすること。
(5)医療機関等の経営支援を行うこと。
(6)方針が二転三転しているGoToキャンペーンの内容及び経過について、早急かつ明確に説明すること。
(7)持続化給付金・家賃支援給付金の対象者及び内容の拡大をすること。
(8)収入が大幅に減少しているにもかかわらず、支援が十分でない個人・企業への追加対策を検討すること。(休業手当が受けられない学生バイト、融資が受けられない企業等)
(9)エアコンの設置をはじめ児童・生徒・教職員等に対する熱中症対策に万全を期すこと。万が一、熱中症が発生した場合の行動指針を早急に策定すること。
(10)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、簡便な手続きで速やかに給付するとともに、対象をすべての企業とし、雇用形態を問わずすべての労働者に対して支給すること。また、失業給付の上限額を遡って休業支援金・給付金と同程度に引き上げること。さらに、事業主の了承を得ずに申請した場合でも事業主は当該労働者に不利益な取り扱いをしてはいけないこと、シフト制のアルバイトでシフトが減った場合も対象になることをQ&A等に明記した上で、事業主及び労働者に周知徹底すること。
(11)小学校休業等対応助成金の活用を促進するため、個人申請方式を導入すること。少なくとも既に取得した休暇に対する支給については個人申請方式とすること。
(12)専任の広報官の設置を改めて政府に強く求める。

【前回までに協議を求めた件】
(1)就労支援施設を利用する障がい者の工賃の減少に対する支援を行うこと。
(2)被扶養者となっているフリーランスも持続化給付金の対象とすること。
(3)これまでの新型コロナウイルス感染症対策専門家会議と政府との関係について検証すること。加えて、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議構成員一同によりとりまとめられた提言を政府としても真摯に受け止め、今後の新型コロナウイルス感染症対策に活かすこと。
(4)人格なき社団も含め、課税対象となるあらゆる業種の個人・団体について、分け隔てなく持続化給付金や家賃支援、税の減免、融資等の対象とすること。
(5)持続化給付金については、給付上限額の大幅増額を行うとともに、支給要件の緩和(現行50%以上の売り上げ減少率を30%以上にする等)を行うこと。また、寄付や雑所得など様々な収入減についても柔軟に事業収入減として認めること。
(6)特に収入が減少した個人に対して追加給付を行うことなどの対策を講ずること。
(7)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金については、簡便な手続きで速やかに給付するとともに、対象をすべての企業とし、賃金が大きく減少したすべての労働者に対して支給すること。また、失業給付の上限額を遡って休業支援金と同程度に引き上げること。
(8)経営環境が悪化している、歯科を含む医療機関等を支えるための新たな給付金を創設すること。
(9)今後の検査について政府の考えを整理し、それに基づいた体制整備を行うこと。
(10)持続化給付金、雇用調整助成金、無利子無担保融資の手続について簡素で迅速なものとなっているかを検証し、専門家活用などにより早急に改善すること。また、あらゆる給付や助成、融資等について、それぞれの進捗状況をわかりやすく示すこと。

以上について、政府及び与党においてもそれぞれ速やかに議論を行い、結論を出すこと。