日本労働組合総連合会(神津里季生会長)の第9回中央執行委員会が18日午後に開催され、枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表が出席してあいさつしました。福山哲郎幹事長と国民民主党の平野博文幹事長も同席しました。連合の機関会議はコロナ感染拡大防止のため3月から書面による持ち回りやオンラインでの開催が続いていましたが、この日の中央執行委員会は地方連合の役員はオンライン参加であったものの、各構成組織(産別)役員が参加する対面での開催となりました。

 会議の冒頭、神津里季生会長は「4カ月ぶりの対面での中央執行委員会の開催となった。昨日通常国会が閉幕したこのタイミングで、立憲民主党の枝野代表と国民民主党の玉木代表にご参加いただいた。連合として、この数カ月新型コロナウイルスが巻き起こしたインパクトをどうとらえるか。われわれの将来をどう展望していくのかが問われている。働く者・生活者を中心とした雇用・生活・経済のそもそもの見直しにつなげる重大な問題提起ととらえ、社会改革の契機にしていかなければならない。そうした問題意識で、秋までに今後の社会改革にむけた考え方をまとめていきたい」とポストコロナに向けた社会像を取りまとめることを宣言しました。そのうえで「今回のコロナ禍で露わになったことは、民主党政権が掲げていた包摂やセーフティネットがきちんとできていれば、このような事態にはならなかったということだ。民主党政権の理念は『人間中心』の考え方がその軸になっており、人間中心や包摂という概念はいまの両党を支えている方々も継承している太い幹となるものだ。それらの問題については政党の枠を超えてなお相呼応するものがあるはずだ。そのことが政権選択選挙である次期衆院選における枠組みにも必ず活きてくると考える」と述べました。

 枝野代表はあいさつの冒頭「さまざな新型コロナウイルス感染症の影響下で大変厳しい状況が続くなか、働く仲間の仕事と暮らしを守るために、雇用調整助成金の上限引き上げや休業支援制度の創設など、共同会派に対して時期をえた具体的な要望や要請をいただいた。政府・与野党連絡協議会などを通じて前に進めることができた。また相談ダイヤルに日々、非正規問題や解雇に関する相談が寄せられている。こうした活動に対しても改めて感謝申し上げたい」とコロナ下での連合の取り組みに謝辞を述べました。そのうえで「コロナ禍を社会改革の契機にという会長の提案に同感だ。私たちも幹となる理念を、コロナ禍の状況を踏まえながらブラッシュアップさせ、今の政権に代わる政権として目指していく社会の姿を示していくことを通じて、社会改革を進めていきたい。社会像を構想しようという連合会長・事務局長の方向性を役員会で共有するなか、私も先日『命と暮らしを守る政権構想』ポストコロナ社会と政治のあり方を私案として公表した。議論のスタートラインになるものとして示させていただいた。今後党内外で議論を進めていくが、連合の皆さまのご意見、ご検討の状況を伺いながら、連携を深めて次の時代の姿を示していきたい」と社会像の構想にむけた決意を語りました。最後に「この国会ではコロナウイルス感染のなかで前例のない3度の予算を審議してきた。今後の第2波、第3波のリスク、国民生活・経済の悪化に備え、『#国会を止めるな』と194日間の会期延長を求めたが、数の力で閉会となった。それでも衆参で週2回閉会中の審議を開くという過去にないルール化を実現させた。引き続き国会の中で戦っていく。新型コロナウイルス感染症のもとで安倍政権の限界と問題点がさらに露呈された。競争や自己責任をあおり、目先の効率性に放念をしてきた結果が、医療や介護の崩壊、10万円給付の自治体への丸投げ、電通への丸投げに表れている。新自由主義的な、小さな政府の幻想が時代遅れであることが明白になった。早ければこの秋にも総選挙だと言われている。次の総選挙は政権を変えるために、連合の皆さまに一体となって全力をあげていただける構造を私どもがしっかりと作っていかなければならない。その枠組みの結論を出すのにあまり時間は残されていない。神津会長や相原事務局長に大変なご尽力を賜っており、その想いに応える。この総選挙と2年後の参院選挙、連合の皆さまに一体となってご支援いただき、さらには幅広い無党派市民の皆さまにご期待いただけるような環境を整えていくことに全力を尽くすことをお約束申し上げる」と締めくくりました。

 会議終了後、枝野代表は記者団の取材に応じ、連合の神津会長から「この新型コロナウイルス感染症の影響のもとで社会改革などの契機にしなければいかない。連合としても労働問題をはじめとしてこのコロナ感染症によって明らかになった課題を乗り越える新しい理念をあらためて作り上げていく」との話があり、自身からは「われわれとしてもまったく同感であり、そこに向けて、私の私案もすでに出させていただいているが、党内外で議論を急いで進めていきたい」旨申し上げたと報告。記者団の質問に対し、今後については「具体的に期限を正式に切ったということではない。私の方からは8月のお盆前後にも解散して、9月半ばの投票日という説も有力なので、それを見据えながらやっていきたい」、衆院選挙に向けては「連合の皆さんに一体となってご支援いただけるような構造を作り上げるべく努力していきたいと申し上げた」と答えました。

 また、検察当局が公職選挙法違反の買収の疑いで河井克行前法務大臣と妻の案里参院議員の逮捕状を請求したこと(その後逮捕)への受け止めと安倍政権の責任について問われると、「よりによって逮捕状を請求されるような方を法務大臣に就けた方の見識はどういったものでしょうね。この一言に尽きると思っている」と述べました。

 同日告示された東京都知事選挙について党としての対応を問われると、「都連の決定を踏まえて、執行役員会、常任幹事会、両院議員総会でも、市民が主体となった選挙で、いわゆる機関決定として推薦等の手続きはとらないが、党本部としても最大級の支援をすると確認した。具体的な応援の仕方は宇都宮選対の皆さんと都連が窓口になってすでに円滑に調整を進めているところだ。今後も選対本部と連携して最も効果的な運動をしていきたいし、党独自にも例えば電話をかけるとか最大限やっていきたい」とのべました。