2020年5月29日
【参院本会議】社会福祉法改正案が審議入り 田島議員が質問
参院本会議で29日、衆院から送付された「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」が審議入りし、共同会派「立憲・国民.新緑風会・社民」を代表して田島麻衣子議員が質問に立ちました。本改正案は、「社会福祉法」「介護保険法」「老人福祉法」「地域における医療に及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」「社会福祉士及び介護福祉法等の一部を改正する法律」の5本を束ねたもので、「地域共生社会の実現」を趣旨とし、そのための具体策を盛り込んでいます。
田島議員は冒頭、東京高検の黒川弘務・前検事長が新聞記者らと賭けマージャンをした問題で辞職したことに言及。黒川前検事長の処分が戒告ではなく、注意に相当する訓告と甘い処分となったことに、第1次安倍政権は2006年12月19日、賭けマージャンが賭博罪に当たると閣議決定しており、ここには金額の多い・少ないという記述はないこと、防衛省は2017年3月27日、陸上自衛隊青野原(あおのはら)駐屯地で黒川氏と同じレートの賭けマージャンをしたとされる自衛官9人を停職の懲戒処分としていることから、安倍総理に対し、「同じ行為を行ったと認めたとされる検察庁のNo.2は何らの制裁も受けずに訓告処分で済むのか。賭博罪等の犯罪を取り締まる検察の最高幹部である黒川氏が、普通の自衛隊員よりも処分が軽くてよいとする理由を示してほしい」とただしました。
また、黒川前検事長の賭けマージャン問題に関し、法務省による21日付けの調査結果及び検討結果の報告書の内容の説明を誰からいつ受けたのか、黒川氏の訓告処分を内閣として異論がないとした時点の前なのか後なのかを質問。あわせて、安倍総理は懲戒処分権を有する内閣の首長として何時の時点で黒川氏には懲戒処分は不要であると判断したのか、具体的に示してほしいと求めました。
安倍総理は、黒川氏の訓告処分に関し、「法務省において必要な調査を行い、法務省および検察庁において事案の内容等諸般の事情を総合的に考慮して訓告が相当だと判断して適切に処分したものと承知している。個別の人事プロセスに関することはお答えを差し控えるが、私自身は先週21日の夕刻、森法務大臣から事実関係の調査結果を踏まえ、処分を行ったこと、その上で『黒川氏本人より辞意の表明があったのでこれを認めることとしたい』との報告を受け、法務省の対応を了承した」と、従来の答弁内容を繰り返すにとどまりました。
田島議員は、安倍総理がかつて寄稿したコラムにある「現在の日本には、王様が裸だとわかっていても『それを言うべきでない』という空気が支配している」などといった言葉を紹介し、「今まさに、この同じ言葉が安倍総理、あなたに突きつけられているのではないか。国民の苦しい不安と不満の声があなたには届いていない、王様は裸だと気づくときではないか」と迫りました。
その上で、社会福祉法改正案について田島議員は、(1)包括的な支援体制の整備を行う新たな任意事業が開始されても、これまで各分野に充当されてきた予算は削られないか(2)国家試験を受けずに介護福祉士資格を取得できる経過措置を更に5年間延長させることは、今も試験準備に励まれている受験生のモチベーションを下げるだけでなく、問題を先送りすることにならないか(3)多くの介護士が直面している介護現場のセクハラ・パワハラ問題にどのよう真剣に取り組んでいくか(4)政府が「十分にやっている」と答弁を繰り返す介護士の処遇改善と、介護士が待遇は「十分ではない」と嘆き続ける差の原因はどこにあるのか(5)個人情報保護の観点から、顔認証のデータをその場で消去するならば、高い予算をつけて顔認証機能を加える必要はないのではないか――等と提起。医療機関や介護事業所・障害福祉施設などで、新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者の集団)が相次いでいることにも触れ、「今こうした厳しい状況におかれている介護の職場で人材を確保するために必要なのは、果たして介護人材確保や業務効率化の取り組みを地方自治体の介護保険事業計画に新たに書き込むこと、有料老人ホームの設置に関する届出事項の簡素化を図るための見直しを行うことだろうか。これらはプラスにはなっても、介護人材が圧倒的に足りないという問題の根本的な解決にはならないのではないか」と指摘しました。
田島議員は最後に、「国が最も大事にすべきは、国民の命であり生活。政権の目の前の利益や都合ではなく、利権でもない。そのための法律であり、法解釈であり、医療・介護制度であり、行政のIT化である」と訴え、締めくくりました。