新型コロナウイルス対策に係る政府・与野党連絡協議会の第6回目の会合が1日に開かれました。会議の冒頭、政府から同日午前10時に行われた専門家会議の概要の報告が行われ、その後、共同会派「立国社」から政府に対して、(1)速やかに第2次補正予算の編成作業に取りかかること(2)中小企業等への家賃支援のあり方について速やかに与野党協議を開始し早急に結論を得ること(3)学生等の支援のため、授業料の減免、減収学生への一時金支給のあり方等、速やかに与野党協議を開始し結論を得ること――などを要望しました。立憲民主党から逢坂誠二政務調査会長が出席しました。

新型コロナウイルス対策等に関する要望事項

2020年5月1日
立憲民主党
国民民主党
社会保障を立て直す国民会議
社会民主党

○コロナウイルス感染症による現下の厳しい状況と緊急事態宣言の延長による社会・経済への一層の影響に鑑み、速やかに第二次補正予算の編成作業に取りかかること。その際には、地方創生臨時交付金の大幅増額や医療機関等支援給付金の創設等を内容とする立国社共同会派提出の補正予算案組替動議の内容を取り入れること。

○中小企業等への家賃支援のあり方について、速やかに与野党協議を開始し、早急に結論を得ること。

○新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う経済活動の停滞によって困窮している学生等を支援するため、授業料の減免、減収学生等に対する一時金の支給等のあり方について、速やかに与野党協議を開始し、結論を得ること。

○PCR検査については、検査率がOECD諸国で最低レベルに留まっており、感染拡大の防止にはその大幅な引き上げが必要不可欠であることから、疑いがある者が確実に医師の診断を受けられ、医師が必要と判断した場合には必ずPCR検査が受けられる体制を速やかに構築すること。

○企業による休業継続と休業手当の支払いを確保するためにも、雇用調整助成金の上限額引き上げ(現行の8330円から概ね12500円程度への引き上げ)を早急に実施すること。なおその方策については、労働保険特別会計からの支出にこだわることなく、上乗せ分を一般会計から補填することも含めて検討すること。

○インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を延長する場合には、5月6日直前に延長するのではなく、法律が定める手続に則りつつ、専門家による科学的根拠を示した上で、時間的余裕を持って国民に示すこと。また、緊急事態宣言を解除する際の客観的条件について示すとともに、解除のための出口戦略(店舗の営業の際の条件等)について早期に示すこと。

○持続化給付金の申請については、中小企業経営者等の負担軽減の観点から代理申請を認めること。また書類での申請も認めること。

○雇用調整助成金の申請書類の準備あたり、広く社会保険労務士の専門性を活用できるよう、行政からの業務委託などの仕組みを検討すること。

 終了後に記者団の取材に応じた逢坂政調会長は、野党が既に法案を提出している中小企業等への家賃支援策について、4月16日の連絡協議会で与党とも問題意識を一にしていたが、与党と一緒に協議しようとしても進まず、野党の考え方を整理して提出したと報告。次の支払い期限までに、少しでも事業をやめる、倒産をするという事業者・企業を出さないようにするとの思いで法案を出したと、その意図を説明しました。今回の協議会でも「とにかく胸襟開き、国民のために議論しよう。そして1日も早く成果を得よう」と要請したことを明かしました。さらに協議会をゴールデンウィーク明けのすぐにでも開催をするよう西村官房副長官にも要求、「ゴールデンウィーク中に与党も議論する」との発言があったことから、「お互いの考え方を整理し、成案を得る方向でやろう」と働きかけたことを報告しました。

 また、多くの学生から退学を検討せざるを得ないという話が出ていることについて、「問題意識は一緒。一緒にやれるところがあればやろう」と提案したと説明しました。
 
 さらに持続化給付金の申請が本日からスタートしたことに触れ、商工事業者はある程度この制度について分かっているが、農業者、漁業者、福祉関係者などに浸透していないと、地元の状況を報告。国民が利活用しやすいよう、しっかりPRをするよう要請しました。また、役所の窓口が相談で相当混雑をしていることから、必要なところに人員をちゃんと配置できるよう、政府としての考えを明示するよう要請したことを報告しました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:学生支援について、家賃法案のように野党共同での法案は考えているか

(逢坂) 学生支援についても、やはり幅広に多くの賛同を得ていきたいと思っています。まずは立国社で足元を固めることは当然ですが、共産党、そして家賃の場合は維新にも入っていただきました。維新にも声をかける中で、野党としての考え方が整理できれば最も良い方向ではないか。

Q:法案の形にするまでの具体的な日程感は

(逢坂) やはりなるべく早い時期にと思っております。ゴールデンウィーク明けの早い段階で法案提出ができれば。

Q:補正予算のさらなる編成を要望した中身について、その具体的な規模感やスピード感は

(逢坂) 今日の協議会の中では規模感の話は出ておりませんが、われわれが出した組み替え動議の内容については、早晩必要になるものだと理解をしております。われわれの組み替え動議は、だいたい6月末までを射程においたものですので、会期末を待たない段階で、2次補正の話を浮上させなければいけないと思っています。

Q:家賃に関して、安住・森山両国対委員長間で連休中に協議をすると合意したが、協議会の中で与党側から何らかの説明はあったか

(逢坂) この家賃の問題については、2週間ほど前でしたでしょうか、国対ベースで一緒にやっていこうと合意しているという確認をしております。今日そのことを泉政調会長からも与党に改めて話をさせていただき、大きくはその方向に沿って実現するよう改めて要求をさせていただいた。

Q:今日、国民民主党が「9月入学」に関するワーキングチームを開き「9月入学を求める方向で共同会派にもワーキングチームを設置したい」とまとまったが、9月入学の問題をどう考えているか

(逢坂) 一つの選択肢であることは間違いない事実だと思っていますが、だからといって、いま学校に行けず困っている子どもたちへの解決策に即なるのかと言えば、今年9月の実現は物理的にみて簡単なことではないと思います。いまの子どもたちへの対応・対策を十分にやることと、少し切り離して議論することが大事ではないかと私自身は個人的には思っています。

(泉) 逢坂政調会長とそこは一致しています。党内で9月入学の議論を進めていますが、やはり大前提は子どもたちの学びの環境、そしてアフターコロナ以降の不利益、これをいかに防ぐかが第一であり、そういう中で、先を見据えた議論をしているのが9月入学の話だと理解していますので、われわれは一致していると思います。

Q:非常事態宣言の延長に関して、総理から二階幹事長に伝えたという報道があるが、それに対する受けとめを

(逢坂) 昨日、国会に言う言わないは別にして、二階さんに言ったという事実は私も承知しておりますが、今日西村官房副長官から「今日この後、本部会議を開き、その後何らかの発信を総理がするはずだ」と。「その時点で延長ということになれば、今日の与野党連絡協議会のメンバーには事前にお知らせをする」という話が来ておりますので、その西村副長官の言葉を真摯にこちらも受けとめたいと思います。

Q:延長の判断自体についてはどう思うか

(逢坂) 延長の判断は、今の状況を見ると致し方のないことだと思っております。ただ、専門家会合の報告書を先ほどざっと見た感じでは、科学的なエビデンスというのか、そこがどうなのか、ちょっと状況が曖昧ではないかと思っています。特に接触8割減というときの「接触」の定義は何か。これがよく分からない。「接触」イコール、携帯電話会社の「人の動向」に置き換えられているのではないか。例えば渋谷駅が何割減ったというが、携帯電話会社の位置情報に置き換えられている。であるならばそう言えばいいのに、なぜそう言わず「接触、接触」と言っているのか。この点が国民に非常に分かりにくくなっている。
 それからもう1つは、今日いまこの時点でも、感染の実態が分からないということ。これは相当、大問題と言わざるを得ません。今日この時点に至ってもPCR検査をはじめとする検査に対する基本的な体制が出来上がっていない。これは問題だと指摘をさせていただきます。
 家賃のことについて先ほど質問がありましたが、野党が揃って法案を出していれば、その法案を主張し、この法案を呑めと交渉するのが通例であります。しかし今回、われわれはそういう立場を取っておりません。一刻も早く、国民の皆さんを何とかして救わなければいけないという思いであります。あの法案はああいう形で出しておりますが、あの内容に必ずしもこだわらず、柔軟に与党と協議をしてゴールデンウィーク明けにもしっかりとした結果が出せればいいと思っております。

Q:家賃について、与党の対応が遅いのではないかという話は協議会の場で出したか

(逢坂) 今日に限らず、毎度させていただいております。今日これから何か会合を開くという話でありますので、あれほど問題意識一致しているのに、なぜ今まで議論をしなかったのかというのが、率直な思いです。

Q:家賃について、与党から具体的な内容の提示はあったか

(逢坂) いえ、特にございません。今日出席している田村さん自身は、家賃のことには直接関わっておらないといったことを話しておりますので、内容についての言及はありませんでした。