立憲民主党の障がい者・難病PTが7日、国会内で電話リレーサービスの在り方についてヒアリングを行い、山花郁夫PT座長、早稲田夕季PT事務局長、近藤昭一、道下大樹両衆院議員が、日本財団、全日本ろうあ連盟および総務省と意見交換を行いました。
電話リレーサービスとは、オペレーターが通訳として、聞こえる人と聞こえない人を電話でつなぐサービスで、日本財団が2011年からモデルプロジェクトを行っています。
冒頭、山花座長は、「今国会で、電話リレーサービスに関する法案が提出されており、まもなく審議される予定。総務部会で法案審査をするが、障がい者PTでもこれまで要望を受けてきており、さらにご意見をいただきたい」とあいさつしました。
まず、日本財団公益事業部の石井靖乃部長が、これまでの取り組みについて説明しました。
・東日本大震災の際に、被災した聴覚障がい者のために遠隔手話通訳を行ったことがきっかけで、2013年から全国向けモデルプロジェクトを開始、国としての仕組みづくりをめざす
・現在の登録者は約10,500名
・障がい者手帳保有者であれば、自己申告で登録可能
・午前8時から午後9時まで利用可能
・利用実績は、月間28,000回、年間30万回
・現在は、110番や119番は原則受けられないが、実際にはかかってくる
・必要経費は、電話リレーサービス専用システム、手話・文字通訳料、IP電話番号料、問い合わせ窓口対応料、諸経費などで、年間2億4600万円(2019年度)
続けて、総務省総合通信基盤局電気通信事業部の山碕良志事業政策課長が、「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律案」の概略について、聴覚障がい者などによる電話の利用の円滑化を図るため(1)国などの責務及び総務大臣による基本方針の策定について定めるとともに(2)電話リレーサービスに関する交付金制度の創設――などを想定していると説明。本年度中に施行し、来年度中に公共インフラとしての電話リレーサービスをめざすとのスケジュール案を述べました。24時間・365日のサービス提供、緊急通用(110番など)への接続を実現することが、これまでより一歩進むサービスになることも説明されました。
これに対し、一般財団法人全日本ろうあ連盟の久松三二常任理事および倉野直紀理事より、以下の要望が出されました。
1. 当事者が参画して利用者の声を反映させられるように法律などを整備してほしい
2. 当事者が諮問委員に入るように法律などを整備してほしい
3. オペレーターの養成・研修における当事者の協力や意見の反映が必要であることを明記してほしい
4. 聞こえない人の命や人権にかかわることもある手話オペレーターは、当面、手話通訳士もしくは手話言語通訳者または同等の資格・技能を有するものが必要である旨、法案、基本方針、省令に明記してほしい
5. オペレーターが十分に生計を立てられる待遇を実現してほしい
6. 当事者団体および地方公共団体の管理下にある聴覚障がい者情報提供施設と協力し、周知公報してほしい
参加議員からは、オンライン医療や裁判などでも電話リレーサービスや遠隔手話サービスが利用できるシステムの早期整備、医療や裁判にも対応できる手話通訳の養成、手話通訳者の収入安定化などについて、質問や意見が出されました。
※遠隔手話サービスのための予算は、同日閣議決定された補正予算に、6億489万円盛り込まれました。