2020年3月19日
【政府与野党協議会】あらゆる政策を総動員し、急を要するところから迅速かつ集中的に深掘りをするよう要請
政府与野党は19日午後、昨日の与野党幹事長・書記局長会談で設置を決めた「新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会」の第1回目の会合を開催しました。政府から西村明宏官房副長官が、立憲民主党からは逢坂誠二政務調査会長が出席。安住淳国会対策委員長も冒頭同席しました。
冒頭、与野党の国会対策委員長から連絡協議会設立の経緯説明の後、初回ということで今後の会議の持ち方について確認。逢坂政調会長から(1)新型コロナウイルスの問題が継続している間は、この協議会を継続して行う(2)最低週1回、状況に応じて週2回開催する(3)野党から提起された課題・問題・要請については、誠実に対応するとともに、対応の可否などの状況について十分説明を行う(4)政府からの説明は与野党ともに同じ説明をきちんと行う――ことを求めました。
また、具体的な話の前に、共同会派「立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラム」(立国社)として整理した考え方として、(1)あらゆる政策を総動員し、政策に優先順位をつけ、急を要するところから、迅速かつ集中的に深掘りをする(2)国の要請により行われた、入国制限、学校の一斉休業、イベント等の自粛などによる影響が生じており、政府の責任において、経済的な損失への対応も含め万全の対策を講ずる(3)感染防止とPCR検査など医療体制をしっかりさせる(4)給付がメインになる時期であり、また社会保険料や公共料金、税などの負担軽減を打ち出すこと――が必要だと説明しました。
次回会合については、今夜の政府の専門家会議を受けた政府の対応や、本日の要請の打ち返し、また野党側からの新たな提案を含め、来週の早い時期に開催することを求めました。
共同会派「立国社」で申し入れた項目は次のとおりです。
1.感染拡大防止のための緊急対策
○ 医療機関、高齢者施設等の従事者の感染防止に必要となる、医療機器、衛生品(マスク、手袋、ゴーグル、消毒液、防護服)、医薬品等の確保に万全を期すこと。また、その他必要とする人々に対するマスク等の配布・流通について配慮すること。
○ PCR検査体制を強化し、国内感染の実態を早期かつ十分に把握するとともに、入院を要する肺炎患者の確定診断や退院要件である陰性確認を迅速に行うこと。また医療崩壊を招かぬように、感染者等の症状に応じた診療・医療体制、及び自宅療養のあり方について早急に検討すること。
2.国民の暮らしといのち、経済を守るための緊急対策
○ 可能な限り、税、社会保険料、公共料金等の負担軽減措置を講ずること。
○ 希望者に対し、地方税や消費税の予定納税を含め一年間の納税猶予を確実に実施するとともに、次年度の所得の状況に応じた減免を可能とすること。
○ 政府の自粛要請に伴うイベント等の中止、学校の一斉休校、入国制限等により、直接・間接を問わず影響を被った事業者、個人(パート、フリーランスを含む)に対する経済的損失の一定割合や、前年同月比での収益・所得の減少幅の一定割合を補填するなど、事業継続、生活水準確保のための措置を実施すること。
○ 事業者の資金繰り対策のため、政府系金融機関による無利子貸付や無担保枠及び融資上限額の拡大、据え置き期間や返済期限の延長など更なる負担軽減措置、償還免除等の大胆な措置を実施すること。
○ 既存のスキームを活用すること等を含め、子育て世帯をはじめ広く大胆に国民へ給付を行うこと。
○ 給付型奨学金の支給要件緩和、対象者の大幅増の措置を行うこと。また、奨学金の返済猶予や、所得の実態に応じた授業料減免の措置を行うこと。
○ 年金生活者支援給付金の上乗せなど、一定所得水準以下の高齢者等の生活保障のための支援を行うこと。
○ 雇用調整助成金の補助額を全国一律に10/10とし、支給日数限度を延長するとともに、対象に非正規労働者を加えること。また欠勤扱いや時短分などの給与補填を可能とすること。○ 十分な感染防止対策を講じつつ、感染状況に応じて学校再開や様々な分野における自粛緩和に向けた指針を示すこと。
以上
協議会後、共同会派「立国社」の出席者は記者団の取材に応じました。記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
Q:(野党側は政調会長が出席し)与党側は政調会長代理。メンバーは変わらないのか
(逢坂)与党側は、自民党は新型コロナウイルスの対策本部長、公明党は対策本部のそれなりの役職の方で、これからも継続して出てくると理解している。
Q:与野党超えて協議会を設けた意義について
(逢坂)今回のコロナウイルス感染の広がり、そのことが国民生活に与えている影響が今までの経済危機にはない性質のもの。その重大さ、甚大さを政府も与党も受け止めて、野党も含めた協議会が出来たのだろうと思っております。
その意味では、この協議会を最大限活用して、国民の命と生活を守る。そのための具体的な果実をここでお互い協力して生み出していきたい。
Q:れいわ新選組が今回の協議会について「声がかかっていない、我々も参加したい」という旨の会見をしたようだが、どのように考えるか
(逢坂)声がかかっているか、かかっていないかは承知しておりませんが、れいわ新選組からはペーパーによって考え方を示されると聞いております。それをわが方で受け止め、立憲民主党の方で協議会の場へ出していきたい。
そういうことが、あらかじめ決まっておりますので、声がかかっていないということはないのではないか。その認識は、きちんと別のルートでお確かめになった方がいいと思います。
事実上、れいわの意見も反映されると理解しております。
Q:週1、2回開催したいという要望について、政府側からはどのような答えだったか。また今回の協議会で要望した事項について、今日の段階では政府側から返答はなかったか
(逢坂)まず後ろ質問について。今日われわれが要求したことについての具体的な返答はございませんでした。
開催については、できる限り努力をするとのことで、当然来週の早い時期に実現されるものと思っております。
Q:れいわ新選組からの要望や、これを伝えて欲しいというものはまだ受け取っていないのか
(逢坂)私の手元にはまだ来ておりませんので、手元に来た段階で、西村官房副長官(政府側)にしっかり伝えていきたい。
Q:国民民主党は独自の経済対策をまとめていたが、これについて協議会の場で発言をしたか
(泉)国民民主党からは、昨日、わが党としての緊急経済対策をまとめたということで、その概要と共に紹介をさせていただいた。
Q:消費税減税について与野党の一部から声が上がっているが、各党の現在の消費税減税に対するスタンスは
(逢坂)われわれとしては、「あらゆる政策を総動員して」ということでありますので、今ご指摘のあったことも含めて幅広に議論をしていくべきものと思っております。
時間軸というものがあり、どの段階でそういうものに言及するのが効果があるかといったことも含めて、これから多分、これも会派共同ですが、会派共同の部会、部門会議の中で議論されるものと承知をしております。
※各党のスタンスは省略。
Q:話し合った内容の出口をどうするか
(逢坂)今日はその議論は特にございません。
ただ、事の本質に鑑みると、いつまでにという設定をしている段階ではない。まさに足元から国民の生活が崩れていますので、大至急、とにかくやらなければいけない、そういう段階だと思っております。
一定程度、落ち着く先が見えることになれば、次、経済を回復するための対応をどうするか、そういう段階に入るのではないか。
それと一言。われわれは協議会に臨むにあたり、共同会派として国会内で活動しておりますので、今回の協議会も共同会派として、1つになって、ワンボイスで対応。その方がわれわれとしての力になるし、国民のためになる。それぞれの党がいろいろなことを言うことは別に否定しないが、共同会派が一致結束してやっていくといいうことで今回は臨ませていただいた。
Q:ワンボイスでということだが、国民民主党が独自の経済対策を打ち出したことと矛盾しないか
(逢坂)共同会派として協議会に持ち込むものは、揃って同意をしたものということ。それぞれの党がいろいろなことをおやりになるのは、それを阻害するものではない。
Q:協議会では会派として要望をしたうえで、各党個別の要望も出したということか
(逢坂)国民民主党がどのように捉えるかは承知しておりませんが、協議会ではワンボイスでやっていくというのが私の認識。わが党としてはわが党独自の発信を現時点でする予定はない。
Q:国民民主党は会派の意見にプラスして党独自の意見も伝えたのか
(逢坂)私の認識は、党としてこういう議論もして発表もしましたということを、ただ発言をされて、ご紹介をしたという理解をしておりますがいかかでしょうか。
(泉)昨日、わが党で総務会で了承をいただき、玉木代表が記者会見をしたわけですが、それとほぼ同じタイミングで、わが党の政策を会派内のそれぞれの党、グループに手交させていただいています。
ですから、単独で政府に対して申し入れをするという目的ではなく、会派内の信頼関係を当然重視して会派全体として議論してることでもありますので、党でまとめたものは会派に持ち込む形をとらせていただいています。
ただ、まとめたことはもう内外に知れ渡っているわけでありますし発表もしていますので、今日の場ではわが党としてこういう発表をいたしましたということを報告させていただき、その後にペーパーにあるわれわれ会派としての要望事項を申し入れさせていただいた。
Q:協議会に対しては、あくまで会派として要請をするということか
(逢坂)はい。
Q:それは国民民主党も了解をしているということか
(泉)はい。