2020年2月20日
隠れ待機児童・待機児童カウント方法等について「みらい子育て全国ネットワーク」と意見交換
立憲民主党は20日、「みらい子育て全国ネットワーク」(miraco)との懇談会を国会内で開催。党所属の国会議員、自治体議員らが参加し、隠れ待機児童・待機児童カウント方法の問題や、保育士の処遇等について意見を交わしました。miracoは、保活の大変さを、これ以上次世代に引き継ぎたくないという思いで集まり、現役パパママたちとつながり、政府などへ働きかけていくために活動している団体です。
冒頭あいさつに立った団体交流局長の西村智奈美衆院議員は、多くの自治体では2月上旬に、4月からの認可保育園の入園可否の通知が郵送されることから、「全国の皆さんから悲痛な声が聞こえている頃だと思う。私も3年前の今頃途方に暮れていたが、毎年毎年同じように『どうしよう』と駆け回っている方々の姿を想像すると胸が痛くなる。安倍政権は『女性の活躍」『一億総活躍社会』など、言葉だけは立派に掲げるが、こうした状況でどうやって活躍するのかという思いなのではないか」と述べ、厳しい現状に対しどのような対応ができるのかを一緒に考えていきたいと呼びかけました。
miraco代表の天野妙さんは、待機児童はツイッター上を見る限りでも、すでに泉佐野市、大津市、佐久市、掛川市、草津市、取手市、春日井市、横浜市などで問題になっているとして、「東京だけの問題ではない。国で取り組んでいくべき課題」だとあらためて強調。miracoでは「待機児童ゼロプロジェクト」として「保育の量・質のための国の予算を増やす」「保育者が働きやすく続けたいと思える保育現場を増やす」「入りやすさの見える化=実態に即した待機児童数が公開されるようにする」の3つをテーマに取り組んでいますが、同日は特に「入りやすさの見える化」について話をしました。
miracoは待機児童について、ここ数年、待機児童数は減少しはじめているが、待機児童数=[保育サービス利用申込者数]-[保育所等に入れた数]-[隠れ待機児童数]であり、「隠れ待機」の範囲によって待機児童は減らせることから、待機児童は減っても隠れ待機児童が増えているのが現状だと説明。自治体は、国の掲げた目標に沿うため、またはイメージ向上のために、特定園を希望している人や、認可外保育を自力で確保した人を隠れ待機児童のなかに含める等、「数え方の工夫」という本末転倒な努力をしていると指摘し、「今のカウント方法のままで、『待機児童ゼロだからもう保育園足りてんでしょ』とされても困ります!」と訴えました。大きな問題点として、現在の待機児童カウント方法は「待機児童」数の定義自体が分かりにくく、自治体ごとにバラバラであることを挙げ、現状では「企業主導型保育事業を自力で見つけた」「保育園に入れずやむなく、幼稚園の預かり保育を利用している」「自宅から自転車で20分圏内の保育園に空きがあるのに辞退した」「認証や認定でもない認可外を自力で見つけ、利用料補助を受けている」「やむなく東京都のベビーシッター利用支援事業を利用している」といったケースは、「待機児童」としてカウントされないと説明しました。
その上で、実態を表す数字を分かりやすく公開してほしいと求め、「定義をもっと厳密にする」「定義を分かりやすく、親にとって意味のある数字ごとに公開する」ことを提案しました。
第2子保活をしていたが落選し、幼稚園の預かり保育を利用しているというmiracoのメンバーは、第1子のときと雇用形態が変わったことでポイントが減り不利になっていることや、1時間あたり150円の東京都のベビーシッター制度を利用したところ、補助が収入としてカウントされるためフルで使うと年間約200万円が上乗せとなり、所得税が上がってしまうことなど自身が置かれている現状を紹介。「入りたいところに入れない。選択肢がない。努力しても報われないと感じている」と切実な声を上げました。
その後の意見交換では、こうした懇談会には初めて参加したという団体交流局長代理の白眞勲参院議員は、想像以上に大変な現状に驚いたと率直な感想を述べ、4人の孫を持つ立場からも実態を党として共有し、しっかりと取り組んでいくと決意を述べました。
待機児童ゼロに向けては保育人材の確保、そのための保育士の処遇改善が欠かせないなか、miracoの調査では、保育士の処遇は年収で見ると株式会社の方が運営する保育所の方が社会福祉法人運営のところよりも高いものの、離職率が高いのも株式会社運営の保育園であると報告。実態がよく分からないのが現状だと話しました。
自治体議員を含め参加議員からは、問題提起のあったベビーシッター制度の実態把握や見直しの必要性、「保育施設を作るにあたっては、その物件に税制上の優遇措置をとることも検討してはどうか」「予算の総枠を増やしても保育士に回らない要因の1つには、処遇改善等加算制度が複雑なことがあるのではないか。自治体間競争にならないよう、ベースアップをして国全体の底上げが必要だ」等、さまざまな意見、提案などの声が上がりました。現在miracoが各自治体に問い合わせ調査を進めている「待機児童」のカウント方法は、東京都については出席した東京都連合所属の自治体議員で担当すると申し出て、実態に即した待機児童数が公開されるよう協力していくと述べました。
出席した厚生労働省、内閣府の職員は持ち帰って検討、調査する旨応じました。