2019年12月27日
海上自衛隊中東派遣閣議決定について(談話)
立憲民主党 政務調査会長
逢坂 誠二
政府は27日、海上自衛隊の護衛艦・哨戒機を中東地域に派遣する閣議決定を行った。しかし、自衛隊の根幹に関わる問題であるにも関わらず、国会で何ら開かれた議論もなく、派遣の根拠や理由も明確ではない。今回の閣議決定を容認することはできない。
まず、今回の派遣の根拠が、防衛省設置法に定められた「調査・研究」だとされている点が問題である。抽象的で曖昧模糊としたこの規定を根拠に自衛隊を派遣するというのであれば、様々な事例において、なし崩し的に自衛隊の派遣を可能とする悪しき前例となりかねない。単なる「調査・研究」になぜ護衛艦や哨戒機が必要なのかの理由も明らかではない。行政府を監視する立法府に身を置く者として、決して看過できない。
単なる「調査・研究」で派遣した護衛艦や哨戒機が、不測の事態の際には海上警備行動に移行することが既に想定されており、場合によっては武力衝突に巻き込まれる危険性まで孕んでいる点は見過ごせない。もちろん日本籍の船舶の航行の安全を守ることは重要ではあるが、単に「調査・研究」に止まらず、これまでの自衛隊のあり方を大きく変えかねない可能性への議論や想定が全く不十分であり、この点からも今回の閣議決定は看過できない。
そもそも政府は、今回の派遣目的を情報収集などとしているが、当該海域における情報収集の強化が死活的に重要かも含め、全くもって説得力を欠く。与党の事前審査と閣議決定が歯止めとなるとの議論も意味不明であり、身内の論理でしかない。
国民への丁寧な説明を避け、国会での議論から徹底的に逃げ回るのは、安倍政権・与党に染みついた体質と言わざるを得ず、国会での何の議論もないまま自衛隊の派遣を決定する手法は、断じて容認できない。関連委員会で徹底的な議論を行うよう強く求める。
政府は、まず自衛隊派遣ありきの姿勢を改め、米国との関係のみならず、イランとの伝統的な友好関係を今こそ活かし、外交努力に注力すべきである。与党も、こうした政府の姿勢をただ追認するのではなく、国会における積極的かつ活発な議論を行う環境整備こそ行うべきであると、敢えて指摘しておきたい。
以上