2019年12月24日
家畜伝染病予防法の改正について農林水産大臣に要望
共同会派は24日、家畜伝染病予防法の改正について農林水産大臣に要望を行いました。提出された要望書は、本年10月6日に発表された「豚コレラ対策の更なる強化のための共同会派声明」を具体化したものであり、来たる通常国会で政府から提出されることが予定されている家畜伝染病予防法の改正案に対し、共同会派としての考え方を提示するものです。
冒頭、佐々木隆博・立憲民主党豚コレラ対策本部長が要望書について説明。これを受けて、江藤拓農林水産大臣は「しっかりとご議論いただき、素晴らしい取りまとめをしていただいて心から感謝している。与野党だから対決するときは対決することも大事だが、(CSF=豚コレラが広がり、ASF=アフリカ豚コレラの侵入が危惧されているという)国の危機においては、同じ方向を向いて一緒に努力をしたい。しっかり受け止めさせていただいて、省内の議論にも活かしていきたい」と述べました。
終了後、申し入れをした議員は記者団の取材に応じました。主なやりとりは以下の通りです。
Q.冒頭以降、大臣とどのようなやり取りがあったか。
(佐々木隆博・立憲民主党豚コレラ対策本部長)
飼養衛生管理基準を見直すということで、それぞれの党が苦労を重ねてきた。家伝法(家畜伝染病予防法)における高位平準化、高いレベルでそれを全体に行き渡らせる、ということをずっと言ってきた。家伝法そのものは基準としては高いレベルだと思っている。それを平準化、徹底をさせるという仕組みが不十分だったのではないかというところに重きを置いた。養豚農家に計画を作っていただく、それを知事に提出し、知事がそれをチェックできる、立ち入り検査までできる仕組みを作ることによって徹底していくことができるのではないかというところが一番大きな点。
ワクチンについては、伝染病ということから考えると、今までは自治事務だったが、これを法定受託事務にして、伝染病は県をまたいで蔓延するので、そういうときの対応ができるようにということを提案させていただいた。
Q.それに対して大臣からはどういう返事があったか。
(佐々木隆博・立憲民主党豚コレラ対策本部長)
概ね理解していただいたと思っている。あくまでもわれわれの提案であり、自民党も今検討されているということなので、案が出てくれば協議をさせていただいて、より良いものにしていきたい。これは政策的に対決する案件ではないので、より安全が守られて、養豚農家の皆さん方、あるいは周辺の皆さん方に安心していただける仕組みをどうやって作るかというところだと思っている。
Q.罰則の強化について、100万円から300万円に引き上げるとあるが、この引き上げ幅の根拠になるものは何か。
(佐々木隆博・立憲民主党豚コレラ対策本部長)
他の罰則と合わせたと聞いている。それと、違反した者に対する命令権を知事にしっかり与えるということなどを含めている。
(徳永エリ・国民民主党豚コレラ対策本部事務局次長)
この罰則に関して、実際には違反して過料を払った事例はないと聞いている。強化することによってメッセージというか、しっかり守っていく必要があるということなので、農家の責任を強化していくということではない。
Q.冒頭の話の中で、飼養衛生管理を強化するための支援について新法別出しという話があったが、それについて。
(佐々木隆博・立憲民主党豚コレラ対策本部長)
先ほど申し上げた高位平準化を図っていくためには、施設とその農場の衛生管理がきちんとできていなければならない。そのためには施設・設備の改修をしていかなければならないが、HACCP(ハサップ)※のときもそういう仕組みをとっているが、緊急的に、短い期間で皆さんにやっていただきたいというときには、特別な支援策をとって、皆にレベルアップをしてもらうといった仕組みを今までもとってきた例があるので、それに準拠した。できるだけ早く施設の衛生管理のレベルを上げていきたいとの思いで別法にさせていただいた。
※HACCPは、「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」という言葉の略語で、食品を製造する際に安全を確保するための管理手法のこと。
(重徳和彦・社会保障を立て直す国民会議 政務調査会長)
大臣も地域とか農家によってかなり飼養衛生管理の水準にバラつきがあるという認識をされており、こういうきめ細かなコミットをしていくことに関しては、賛同というか、なるほどねという形で受け止めていただいたと思う。
Q.ASFの予防的殺処分を特出しするということだが、これは議員立法になるという理解で良いか。
(佐々木隆博・立憲民主党豚コレラ対策本部長)
ここではASF(アフリカ豚コレラ)についても書いてあるが、これの議論を待てないかもしれないということもあり、今与党の皆さん方とわれわれの方とで協議をしている。これも対決させるものではないので、お互い納得できるものをできるだけ早く作り上げていくことができるのであれば。家伝法だけでは、家畜ではない野生イノシシの処理がカバーできないということがあるので、特出しをして、しかも時期を急ぐというような事情で、検討はしている。