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2019年11月15日

SOGIに関するPT 東優子さんからSOGIをめぐる問題についてヒアリング

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 立憲民主党は15日、SOGI(ソジ)に関するプロジェクトチーム(PT)(座長・西村智奈美衆院議員)の会議を国会内で開催。大阪府立大学教授の東優子(ひがし・ゆうこ)さんからSOGIをめぐる問題について話を聞きました。「SOGI」とは、性的指向(性的指向)、性自認(心の性)、それぞれの英訳のアルファベットの頭文字を取った、「人の属性を表す略称」で、異性愛の人なども含めすべての人が持っている属性のことを言います。

 西村座長は冒頭、2004年に成立した性同一性障害特例法について、改正に向け積極的に議論を進めていきたいとあいさつ。日本で性別の取扱いの変更を望む場合には同法に基づき家庭裁判所に審判を求めなければいけませんが、その手続きが差別的だとして世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会(WPATH)は今年5月、日本政府に対し法律上の性別変更を希望するトランスジェンダーの人びとに対し、「性同一性障害」との診断書を取り、断種(生殖腺除去)手術を受けることを義務づける要件を改正することを求めています。

 尾辻かな子事務局長は、「性同一性障害」という診断名が『ICD-11』(国際疾病分類の第11回改訂版 2018年発表、2022年1月から有効になる)の指定分類では名称が変わる方向性が出ており、法律名についても変える必要があるかもしれないと説明しました。

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 東さんは、SOGIについて、「『誰ひとり取り残さない』という話。国連では、LGBTの権利は人権であると厳格に打ち出したキャンペーンを展開している。国連が掲げているキャンペーンは『BORN FREE & EQUAL』、人は生まれながらにして自由にして平等だという世界人権宣言から取っており、ここに並々ならぬ国連の意気込みが示されている」と国際的な流れに触れた上で、日本は差別を禁止する法律がない状況にあると指摘。国際的な人権条約に批准しているにもかかわらず、それが実行しているかをチェックする会議で問題があると指摘される項目がどんどん増えていると述べました。

 性と人権の歴史や、『性の権利宣言』(世界性の健康学会:WAS)、性別違和をめぐる疾患概念の変遷などに触れながら、トランスジェンダーについて「時代や社会によって人々の捉え方は変遷してきている。ある時代から疾患になったが、いまでは国際学会は脱・病理化にかじを切った」などと説明。日本では、多様性を尊重すると言う一方で、「自然/不自然」「健全/不健全」といった二項対立的な捉えるところがあり、「男が男を好きになるなんてふつうじゃない。不自然だ」「男として生活し結婚している人が女性として生きていきたいなんてありえない」といった言い方をされるとして、自身の師匠であるハワイ大学医学部教授・性科学者のミルトン・ダイアモンド氏の「自然は多様性を好むが、社会がそれを嫌う」といった言葉を紹介。「自然界はいろいろな特徴を持つ人を生み出す。それこそが進化の源であり、それに対して自然、不自然といった言葉を使い価値を付与するのは、社会がそれを嫌っている。その問題を解消しなければいけない」との認識を示しました。

 その上で、日本の「性同一性障害特例法」に関しては、「現に婚姻していないこと」「現に未成年の子がいないこと」、「生殖腺がないor生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」「望みの性の性器部分に近似する外観を備えていること」とする手術要件が入っていることを問題視。「『性同一性障害者』を定義しているのは国内外のさまざまな文献のなかで(日本の)特例法くらいしかない。当時者が『私は性同一性障害者』だというのは珍しく、性同一性障害大国の状態だ」として、「最初に法律ありきで、法律にある要件を満たさなければ性別を変えることができない。そういう社会に生まれ、育ってくる子どもたちがどうやって、本当は自分の体をどうしたいのか、生きていく上でどう性別と向き合っていきたいのかを考える、『自己決定』する環境が整っていないことが大きな問題」だと指摘しました。

 その後の質疑応答では、性別違和の人が手術する際の保険適用の問題や、「性同一性障害特例法」をめぐる論点等について議員からさまざまな提起があり、東さんは特例法について、「そもそも誰が対象になるかというところに専門家の審判が必要になっている。それで本当にいいのか。当事者運動では『いつまで私たちは専門家という名の門番に見張られ続けるのか。その専門家たちがいったいどれだけジェンダーを理解している人なのか。誰が対象になるのかというところから議論していただきたい」と話しました。また、文部科学省のSOGIに関する児童生徒に対するきめ細かな対応等についての資料に「他者の理解、他者への配慮」が強調されていることに懸念を表明。「『他の児童に対する配慮』『親の気持ちを汲みながら』といったことが書いてあるが、他者の理解、他者への配慮を強調すると人種差別、例えば黒人差別の問題が解決しなかったということに立ち戻って性同一性障害、トランスジェンダーの当事者の問題も考えてもらいたい」と求めました。