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2019年10月25日

「インクルーシブ防災」をテーマに東俊裕さんが講演 つながる本部と障がい者PT、災害対策局合同会議

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 立憲民主党は24日、つながる本部(本部長・枝野幸男代表)と障がい者プロジェクトチーム、災害対策局は24日、合同会議を国会内で開催。障がい者の視点から考える「インクルーシブ防災」をテーマに熊本学園大学社会福祉学部教授の東俊裕さんから話を聞きました。今回の合同会議は、自然災害が多発するなか、避難や情報取得が困難な障がい者が深刻な被害に遭いやすいという現状があることから、防災の取り組みに障がい者の視点を取り入れ、障がい者を含むあらゆる人の命を支えようという「インクルーシブ防災」の観念を、具体的に理解し、少しでも広げる契機となるようにと開催したものです。国会議員や自治体議員、障がい者団体のメンバーら約50人が参加し、課題とともに今後の取り組み方針を共有しました(写真上は、話をする東さん)。

 講師の東さんは生後1歳半で小児麻痺に。2003年から06年まで国連の障害者権利条約特別委員会の政府代表団顧問を務め、民主党政権下で2009年12月から内閣府障害者制度改革担当室長として、障害者権利条約批准に向けた障がい者の制度改革に関与。2016年の熊本地震発生により「被災地障害者センターくまもと」事務局長に就任しています。

 開会に際し福山哲郎幹事長は「障がい者防災をどう考えるかは大きな課題。野党としてどういう形で政府に問題提起していくのか、自治体議員として首長にどのように問題提起していけるのか等について議論していきたい」とあいさつ。障がい者の人権問題に取り組む団体と協力して昨年12月に開催した「つながるフェスティバル」を今年も予定していると述べ、「ぜひお力添えいただきたい」とも呼びかけました。

 つながる本部のコーディネーター(障がい者担当)に専任された斉藤りえさんも参加し、「日常活動からさまざまな困難、課題などを抱える方々などの声を拾い、それを政治に届ける。そして、皆でその課題を乗り越える、それこそがボトムアップの政治の実現です。昨今の台風災害においても、要配慮者の対応など、当事者の視点に立った支援において、課題があります。つながる本部のコーディネーターとして、しっかりとその務めを果たしていきたい」とあいさつしました。

 東さんは講演で、被災障がい者にとっての重要課題として(1)個人の避難誘導(2)避難所や仮設住宅の利用可能性(3)在宅避難した障がい者への支援体制――を列挙。(1)個人の避難誘導に関しては、昨年7月の西日本豪雨災害で被災した岡山県倉敷市真備町を例に、死者51名のうち、自らは避難することが困難な方の名簿(避難行動要支援者名簿)登載者が42名と82%、また別の報告書では要支援・要介護の方の割合は約35%だったとして、名簿に基づき避難誘導のための個別計画が作成できていれば救える命もあったのではないかと指摘。災害対策基本法で義務付けされているのは名簿作成のみであり、現在、個別の避難計画を全部作成しているのは全1739市町村のうち約14%の239カ所(消防庁「避難行動要支援者名簿の作成等に係る取組状況の調査結果等」2018年11月5日)に過ぎないことから、個別計画の策定を義務付ける必要があると述べました。

 あわせて、平常時から避難行動支援者同意者名簿の提供を受け、見守りや避難支援に協力する「避難支援等関係者」については、警察や消防本部、消防団などあるうち、実際に災害時に避難行動支援者として動けるのは民生委員くらいであること、しかしその民生委員の1人あたりが担当する人数は、事前公開同意者13.66人(全国平均)とキャパシティを超える要支援者数であることから、「地域防災協議会」(仮称)法定化を提案、災害対策基本法を改正し、行政(福祉と危機管理の連携)が事務局として強く関与し、障がい者団体を含めて地域ぐるみで取り組める仕組みを作ることが必要だと説きました。

 (2)避難所や仮設住宅の利用可能性については、熊本地震を振り返りながら、一般避難所での社会的障壁(「物理的障壁」「制度的障壁」「情報・コミュニケーション上の障壁」「心理的障壁」)、設計当初から障がい者の存在を想定されていない仮設住宅といった問題点を指摘。改善に向けて避難所の物理的障壁の除去に向け期限を定めた小・中学校などのバリアフリー化対策や、障がい当事者のニーズを反映したインクルーシブな避難所の運営といった「利用可能な避難所・仮設住宅の提供」を提案しました。

 (3)在宅避難した障がい者への支援体制をめぐっては、公的支援からこぼれ落ち、崩れかけた自宅やアパートに取り残されたり、車内泊を余儀なくされた深刻なケースがあるとして、「在宅障害者への災害支援体制の整備」の必要性を訴えました。

 会議では、東さんからの問題提起を受けその後質疑応答。さまざまな課題が見えたことで熊本県、熊本市で変化したことや、提案のあった「地域防災協議会」の具体的なイメージ、策定した計画を機能させるための仕組みなど、課題解決に向けて地域でどのように取り組んでいくかといった視点で活発な意見が交わされました。

 党としては今後、インクルーシブ防災について議会で積極的に取り上げていくこと、具体的には各自治体議員が個別避難計画の策定状況や安否確認のマニュアルの有無、小・中学校のバリアフリー化や障がい者への情報伝達手段などについて地域の現状把握に努めることなどを確認。課題解決に向けて一つずつ取り組みを進めていきます。

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