福山哲郎幹事長は3日、国会内で定例の記者会見を開き、常任幹事会の報告とともに記者団からの質問に答えました。

 会見の冒頭、九州北部豪雨について、被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧を願っていると語りました。また、党としては岡島災害対策局長を責任者として対策情報連絡室をいち早く立ち上げ現地と連絡を取っていると報告。同じ会派の大串議員が佐賀が地元であるのでコミュニケーションをとりながら、どこかの時点で視察も含め、現場の状況を把握しに行く考えがあることを明かしました。

 常任幹事会の報告として、党大会の招集について、昨年開催した、いわゆる「立憲フェス」については今回参院選直後であること等から党大会と分離することを役員会で決定し常任幹事会で了解を得たと報告。フェスの開催については政治情勢等に鑑みて別途企画・検討すると説明しました。

 また今週6日に全国幹事長会議を開催し、(1)国会での共同会派の結成に関する取り組み状況(2)2019参院選の総括(3)パートナーズ制度のあり方(4)次期衆院選に向けた方針――などについて県連の代表者と議論していくと説明。これらの議論を受け、参院選の総括をまとめていくと報告しました。

 さらに消費税が10月1日から引き上げられることについて議論があり、消費税引き上げにあたり事前の準備ができているか、地域の中で混乱が起こらないか、事業者の不安・不満、コストの問題、、消費者がどのような対応をしているのか等、個別にいろいろな問題が党にも上がってきているとして、省庁へヒアリングを行うことを報告しました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:10月に消費税が増税された場合、立憲民主党としては、8%への引き下げを求めていくのか、あるいはれいわ新選組が言っているように5%への引き下げを求めていくのか、そのどちらか

 事前の混乱、事後の混乱も含めて、どういう形で引き下げを強く求めていくか、運動としても、国会の中での政策論議としても、もちろん国会の審議の中でしっかり詰めていかなければいけない。

 引き下げについて、例えば凍結法案をどのレベルで出していくのか、法案を出すのか出さないのか等については、それぞれの野党とも協議をしながら決めていきたいので、今のところはまだ明確な方針が決まっているわけではありません。

 少なくとも8%から10%に上げるという状況で今回混乱が起きたり、経済に悪影響があるという前提で考えれば、まず8%に戻すことは第一ステップとしてやらなければいけないこと。一方で、その法案を出すことによって、より混乱が大きくなるような状況も想起されるので、いろいろな状況を鑑みて検討していきたい。

Q:丸山穂高議員がツイッターに竹島に関連して戦争で取り返すしかないのではないかと投稿。これについて野党から批判が出ているが、どのように受け止めているか、どのように対応するか

 まず、竹島に韓国の国会議員が上陸したことについては、非常に遺憾に思っています。

 一方で、丸山議員のツイッターでの発言は論外なので本当はコメントすること自身が本意ではありません。メディアやいろいろな人が批判も含めて声を上げる、扇動的な言葉でツイートすることによって注目を集めるという、いわゆる炎上商法のようなものに対してくみするつもりはありません。

 丸山議員は、例の北方領土の問題の時に「戦争で取り返すしか」と同じような発言をし、その後の会見で、「国益を損ねかねない私の発言であるということであれば、自分自身の真意ではございません、すみやかに撤回し、そして謝罪を申し上げなければならない。一連のすべての発言について不適切だと思います」という発言をして頭を下げておられる。この謝罪自身がまったく嘘だったということは明らかですし、もう既に衆院の意志として国会議員の資格がないと辞職を促されている議員ですから、これ以上コメントするのも正直言って少し抵抗があるというのが私の率直な思いですし、政党としてのN国(NHKから国民を守る党)の見識が問われていると言えると思います。

 (本件に関連し)あと一点、少し私の関心を付け加えるならば、おそらく5日に日露首脳会談が開かれると報道で聞いております。

 この日露首脳会談は、もちろん平和条約締結交渉について安倍総理がこれまでのプーチン大統領との信頼関係を含めてご努力をいただくと思いますが、8月にメドベージェフ首相が択捉島に上陸をしたことについて総理としてしっかりと抗議なり、抗議の意を伝えていただくべきだと考えております。

 一方でご案内のように、ミサイル配備等もロシアは今やっています。そのことについてもわが国の安全保障上、問題だと総理からはもちろんプーチン大統領に伝えていただくべきだと思います。

 メドベージェフ首相の択捉島上陸について、わが国内でもう少し厳しい対応・評価があってもいいと思っておりますので、この日露首脳会談については注視していきたい。

Q:去年の立憲フェスは非常に面白かった。これはある種の立憲のアイデンティティではないかと思った。それが(今年は党大会が)質素になって、タイミングということはあるが、しっかりやるのかどうか

 昨年の立憲フェスは、約1年前にわれわれを救っていただいた国民の皆さんと一緒に、新しい草の根からの政治を作っていくことを可視化して、具体的に今までの政党の大会ではない形にしたいという思いでさせていただいた。あの熱気を大切にしたいと思ってやってきました。

 あの時に、約束をした活動計画を、至らない点は沢山ありましたが、実現するべくやってきました。大会は規約事項として1年に1回という形になっていますし、9月や10月に大会を開かないと空白期間ができてしまう、活動計画がない時期ができてしまうので、今回粛々と大会は開きます。

 しかし一方で、フェスのような形でのパートナーや市民との交流は、われわれにとっての原点だと思っていますので、継続するつもりはもちろん今もありますし、それをやらなければ立憲パートナーにお叱りもいただくと思っておりますので、その準備を大会をするかたわら、並行してなんとかしていきたと考えております。

 ただ、選挙とかが本当に秋や冬にあるとなると、なかなかそれは政治日程上厳しくなるかもしれませんが、そこも含めてトータルで考えていきたい。

Q:枝野代表が韓国問題について、河野外務大臣は「辞めるべきだ」と言ったが「辞めろ」と言ってないと会見で言われた。「辞めるべき」「辞めろ」とどう意思表示が違うのか理解ができないので、幹事長に解釈をお願いしたい

 枝野代表の言葉を解釈するような能力は持ち合わせておりません。

 一方で、いつも申し上げておりますが、外交というのは主張と実勢をバランス取って(いく必要があり)、両国がお互いの国内事情だけを見て議論すれば必ず間違えます。

 それは両国にとって、やはり日韓関係は大切だという認識・共有の上にたって、主張と実勢をちゃんとバランス取るべきだと思います。お互いがエスカレーションするような状況は抑制をし、対話を重ねることが大切だと思っています。

 そういう面で言えば、河野外務大臣の責任は非常に重たい。そのことについては指摘をしておきたい。

Q:具体的に河野外務大臣のどこか責任が重く、エスカレーションしたのか具体例を

 今の日韓関係がエスカレーションしているのは、これだけ両国の世論が大きく騒いでいるわけですから、この事態自身がエスカレーションしているわけです。

 GSOMIAに対してのなんとか復帰して欲しいと日本政府も言っているわけですし、お互いがエスカレーションしないように対話をするための環境整備をする責任は両国の政府にあると考えております。どちらが悪いとか良いという話ではなく、工夫をし合うことが外交だと思っていますので、そいういう点でいうと河野大臣の責任は非常に重たい。

 それは責任があると言っているのであって、悪いとかいうのではなく、責任は重たいと指摘しているということ。

Q:エスカレーションは、客観的に見たらただの通商問題を、安全保障の問題まで発展させて、挙げ句の果てには、竹島に上陸して領土問題というか歴史認識問題まで広げていった韓国に多大にあると思うが、その点については

 先程、竹島の上陸について遺憾であると申し上げました。

 それから今、客観的と言われましたが、それは客観的かどうかよく分かりませんし、そのことを今(質問された記者と)議論するつもりはありません。しかし結果として、GSOMIAを破棄をするという安全保障上非常に問題のある行動を韓国がしたことは事実ですが、そこまで両政府がお互いエスカレーションしたことも事実としてあります。

 私は、事実を申し上げています。

 そのことを冷静な対話の中で、なんとか工夫をしていくことが外交の責任だと申し上げています。どちらかが良いとか悪いとかを言うことが外交の責任だと思わないと申し上げています。

 私はGSOMIAを破棄したことについては遺憾だといち早く自分のツイッター上で申し上げているし、残念だということも申し上げています。

 竹島も今日冒頭に遺憾だと申し上げました。

 そのことの延長線上で北東アジアの安全保障や、日韓や日米、そして日米韓の関係について、どういう状況なのか考えた上で、冷静に対処する責任が両国政府にあるのではないかと申し上げています。