2019年9月3日
ILOのライダー事務局長が連合および石橋議員らと「仕事の未来」について議論
国際労働機関(ILO)のガイ・ライダー事務局長は2日午前、立憲民主党の石橋通宏幹事長代理が事務局長を務める超党派「ILO活動推進議員連盟」が「仕事の未来」をテーマに開いた会合に出席しました。ライダー事務局長は今回、G20労働・雇用大臣会合へ出席するために来日しています。
冒頭、川崎二郎・議連会長からライダー事務局長に対し、ILO創立100周年のお祝いを述べるとともに、議連の取り組みによって先の第198回通常国会において、衆参両院でILO100周年記念国会決議が全会一致で採択されたことを報告しました。
続いてライダー事務局長から、日本の国会でILO100周年記念決議が採択されたことは、ILOにとっても極めて重要なことであると謝意が示されました。
ライダー事務局長はまた、現在、技術革新やグローバル化が進展する中で多くの人たちが仕事の未来に不安や恐怖を抱えており、今後いかにILOのミッションである「社会正義に基づく恒久平和の実現」を達成していくのか、その答えを187のILO加盟国とその政・労・使代表のみんなの智恵と力で導き出していく必要があると説明しました。
石橋議員は、国会決議の内容を説明し、特に、日本でいまだ批准されていない2つのILOの中核条約(強制労働禁止の105条約と差別禁止の111号条約)の批准問題に触れ、今後も議連が中心となって早期批准に向けて取り組んでいく決意を表明しました。
午後には、日本労働組合総連合会(連合)が、ライダー事務局長を迎えて「ILO創設100周年記念シンポジウム」を開催。
あいさつに立った神津里季生・連合事会長は、8月29日より連合がホストして開催したL20(G20構成国・地域の労働組合リーダー会議)について、「世界の労働者が直面している諸課題、労働者の権利の保護、環境問題などについて、労働運動がいかに国際連帯して取り組むかを議論し、労働組合声明を採択した」と報告しました。
ライダー事務局長は、ILOのロードマップに関して、(1)人の能力への投資(2)労働制度への投資(3)持続可能で包摂的な経済に向けた投資――を重視していく方針を強調し、人間性が優先される働き方ができる「仕事の未来」を目指すよう呼びかけました。
「『仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約』批准とハラスメントの根絶に向けて」と題したパネルディスカッションでは、6月のILO総会で採択された同条約を日本が署名したことを評価しつつ、その批准のために(1)仕事の世界における暴力やハラスメントの禁止条項を入れる(2)ハラスメントの対象を被雇用者以外にも広げる――などの国内法整備を進める必要性が強調され、さらなる努力が呼びかけられました。