参院本会議で19日、政府提出「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」の採決が行われ、全会一致で可決、成立しました。
同法律案は、児童虐待防止対策の強化を図るため親権者等による体罰の禁止、児童相談所(児相)への医師等の専門職の配置、児相の管轄区域に係る参酌基準の創設、児童虐待を受けた児童の保護等のために協力すべき関係機関の明確化等の措置を講ずるものです。
立憲民主党など野党は、衆院の審議で与党と修正協議を行い、虐待した保護者への支援プログラムの実施を児相の努力義務とする規定や、子どもが管轄外に引っ越しても切れ目なく支援できるよう、移転先の児相や関係機関と必要な情報を共有することなどを盛り込んだ修正案に賛成、全会一致で可決し参院に送付されたものです。
採決に先立ち、立憲民主党・民友会・希望の会を代表して賛成の立場で討論に立った宮沢由佳議員はまず、昨年3月に起きた目黒区虐待事件の後、立憲民主党らが提出した児童相談所緊急強化法案に触れ、「このとき、国会で審議いただけていれば、尊い幼い命が失われた千葉県野田市の事件や、児童相談所と関係機関の連携が行われなかった札幌の事件について防ぐことができたかも知れません」と悔み、「本法律案によって、二度とこれまでのような虐待が繰り返されず、子どもたちが笑顔で夢を語れる社会を国会議員各位、そして国民の皆様と実現していきたい」と決意を述べました。
また「本法律案は1歩前進として評価していますが、現場の声を聞きながら、命を守るために不断の努力を続けなければなりません」と述べ、子どもの立場から、(1)子どもがアクセスしやすい相談体制の整備(2)チャイルドデスレビュー(子供の死亡登録・検証制度)の導入(3)第三者を含む体罰の全面禁止――を挙げ、親の立場から、虐待を未然に防ぐために孤立をさせないことが大切だと説きました。
最後に、子どもたちが発する虐待を受けているサインを大人が見逃すことがないよう、幅広く児童虐待防止のためのネットワークを構築すべきと提案。フードバンクや子育て支援センター、歯科医師、社会福祉士、精神保健福祉士などにも協力を求め、連携し、地域で虐待を防ぐ体制を作る必要があると語り、虐待のない社会を実現するために努力を続けることが必要だと話し、討論を終えました。