2019年6月3日
同性パートナーと暮らす人たちも平等な権利を「婚姻平等法案」を衆院に提出
立憲、共産、社民の野党3党は3日、「婚姻の平等」を実現するため同性の当事者間による婚姻を法制化する「民法の一部を改正する法律案」(通称:婚姻平等法案)を衆院に提出しました。
同法律案は、現行法で同性婚は認められないと解されていること、個人の性的指向・性自認を尊重する必要性を踏まえ、「婚姻の平等」を実現するため、同性の当事者間による婚姻を法制化するものです。(1)「異性又は同性の当事者間」で婚姻が成立する旨を明記(2)同性婚の当事者も特別養子縁組その他の養子縁組ができるよう所要の規定を整備(3)同性婚を認めることに伴い、「夫婦」「父母」その他の異性の当事者婚のみを想定している文言を「性中立的」なものに改正――の3点を盛り込んでいます。
法案提出後に行った記者会見で、筆頭提出者の西村智奈美衆院議員は、「私たちは、一人ひとりの人権が尊重され、多様性を認め合うことができる社会を目指している。そうしたなか、同性間で結婚ができないことは大きな支障になっているのではないか。現在13組の同性のパートナーの皆さんが、同性婚が認められていないことに対する違憲訴訟を起こしている。こういった機において、民法を改正して誰もが生きやすい、多様性のある社会をつくっていくことが国会の責務だと考える」と法案の趣旨を説明。「残りの会期はわずかだが、社会的な動きもあり早期に成立させたい。生きづらさを抱えている方々に対するエールになるのではないか。私たちは、この法律が成立することによって社会が大きく変わっていくことを期待する」と成立に向けてて意欲を語りました。
尾辻かな子衆院議員は、「日本で初めて同性同士で婚姻できる法案となり、当事者の一人として感慨深い。この法案が成立して、同性パートナーと暮らす人たちも平等な権利を持つ日本になってほしいと思っている。多くの当事者の皆さんはまだまだこの社会でカミングアウトして生きられない、好きな人と一緒に暮らすこともなかなか難しい状況だ。国籍が違えば日本で一緒に住むことができず、相手との別れのときには相続権がないといった不平等な状況をこの法案で解決していきたい」とコメント。
当事者の立場として同法案の意義を問われると、「多くの当事者にとって、自分が当事者であると気づくときというのは正直苦しい。当事者自身も同性嫌悪を持っていて、自分が人と違うと思ったときに、それを受け入れるのにすごく時間がかかる。それは、社会が認めていないからであり、多くの若い、例えば青少年が、自分が人と違うと思った時に感じるのは、『この社会で自分は生きていけるのだろうか』『自分はこの社会で排除されるのではないか』『家族や友だちから非難されるのではないか』といった絶望だったりする。こういう法律ができること、同性婚が認められることで『自分はこの社会で生きていていいんだ』と思えるようになると思う。『(LGBTは)生産性がない』といった発言まで出るこの社会のなかで、法律が存在を認めるのは非常に大きなことであり、意義深い」と力を込めました。
【要綱】民法一部改正案(婚姻平等法案).pdf
【条文】民法一部改正案(婚姻平等法案).pdf
【新旧】民法一部改正案(婚姻平等法案).pdf
【概要】民法一部改正案(婚姻平等法案).pdf