31日午後、日本労働組合総連合会(連合)は、6月10日からジュネーブで開催される国際労働機関(ILO)総会にて「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約が採択されることを目指す、集会と要請行動を行いました。

 集会の冒頭、相原康伸・連合事務局長は、ILOの条約案のなかで特に、「暴力とハラスメントの定義」「対象となる加害者・被害者の範囲」「ハラスメントを禁止する国内法整備の義務付け」等を挙げ、連合として高く評価すると述べました。

 そして、同条約が、ハラスメントに特化した初めての国際労働基準となることの歴史的意味を語り、昨年の総会で「保留」の態度をとった日本政府が、今年は条約成立に参加するよう、強く訴えました。

 また、5月29日に成立した「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律などの一部を改正する法律案」は、日本政府の取り組みにおける大きな一歩だと評価する一方、ハラスメントそのものの禁止規定がない点や、当事者・被害者の範囲が限定的である点などを指摘し、今後の改善を呼びかけました。

 その後、衆参両院において、連合の相原康伸事務局長と井上久美枝連合男女・雇用平等局長から、(1)ILO総会にて日本政府が条約案を支持するように働きかけること(2)条約が採択された際は、日本政府が速やかに批准するよう働きかけること――の2項目が要請されました。

 これに応え、大河原雅子衆院議員は、「5月29日の改正案を通過させるまでに、連合の皆さんとも多くの議論を重ね、16項目にわたる付帯決議をつけた。これを一つひとつ詰めていくことにより、日本政府にILOの条約案の採択・批准を働きかけたい」と述べました。

 石橋通宏参院議員は、「昨年の働き方改革関連法案の審議の際にも、労働者の命や暮らしを守り、パワハラ含めてハラスメントで苦しむ労働者を守ることを目標としてきた。新しい条約が日本で批准をされ、履行されていくように力いっぱい頑張っていく」と決意を述べました。