衆院本会議で21日、内閣提出の「国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案」の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決し、参院に送付されました。
本改正案は、効率的かつ安定的な林業経営の育成を図るため、国有林野の一定区域において、事業者が安定的に樹木の採取を行うことを可能とし、森林所有者等と木材の需要者との連携により木材の安定供給を確保する取り組みに対する金融上の措置等を講ずるものです。
採決に先立ち、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して反対の立場で討論に立った神谷裕議員は冒頭、野党が予算委員会の開会を求めているのに対し、与党が拒否続けていることをあらためて批判。「国会や委員会の開会は、決して政府、総理の都合だけで行うものではない。予算を通す、閣法を通すだけの官邸の下請けではない。国会としての意思を決め、国民の負託に応える国会運営の第一歩として、まずは予算委員会の開会を訴える」と強調しました。
その上で、神谷議員は「森林関連の産業は、山奥でも展開できる貴重な産業だ。だからこそ地域に根差した産業であることが求められ、一方で公益的機能とのバランスが求められる」と表明。本改正案に反対する理由として、(1)国有林野を林業の成長産業化のために利用しようということに重きを置きすぎている点(2)再造林が確実かつ効率的に実施される制度的裏付けがない点(3)樹木採取権を国有林野に対して50年という長期にわたり設定することは、国有林野の管理経営の責任の所在を曖昧にするだけでなく、地域に根差した林業経営者等の生業を圧迫しかねない点――などを挙げました。
最後に、「頻発する自然災害への対応や、地球温暖化防止に対する国民の強い関心等も踏まえ、国有林野の有する公益的機能を、より一層十全に発揮されることが求められている今日、林業の成長産業化のみに傾倒し、国民共通の財産である国有林野の公益的機能をいささかでも損なうことがあってはならない」と指摘し、討論を結びました。