衆院本会議で25日、立憲、国民、社保、社民の野党4会派提出の「業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案」(セクハラ禁止法案)「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案」(セクハラ・マタハラに関する男女雇用機会均等法改正案)「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」(パワハラ規制法案)と、政府提出の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」の採決が行われました。
山本和嘉子議員は採決に先立ち、野党提出の3法案に対し賛成の立場で討論を行い、政府案に対しては現行の取り組みよりは前進していると一定評価した上で、内容が不十分であると指摘しました。
不十分な点の第一として、山本議員は「セクシュアルハラスメントは個人の人格を大きく傷付け、許してはいけない行為であるという認識が十分に浸透しておらず、依然としてセクシュアルハラスメントによる被害は後を絶たない」と述べ、セクシュアルハラスメントの禁止規定の必要性を強調。カスタマーハラスメントの防止対策が盛り込まれていないことについても、指針に明記することでは十分ではないとして「事業主への、カスタマーハラスメントの防止対策の義務付け」と「加害者側の事業主への、他社の労働者に対するパワーハラスメントに関する防止対策の義務付け」が不可欠である旨を説明しました。いずれの要求も、野党案には明記された内容です。
そのほか、(1)就職活動中の学生やフリーランス等が対象とされていないこと(2)セクシュアルハラスメント等に対し、事業主の措置義務が十分に履行されていないこと(3)行政救済機関が十分に活用されていないこと(4)相談窓口を設置している企業の割合や窓口担当者に対する研修を実施している企業の割合が低いこと――等にも触れ、政府案では不十分だと指摘。国際労働機関(ILO)総会(5~6月)での「仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約」の採択に向け、活発な議論が行われるなど、世界では職場におけるあらゆるハラスメントを禁止する方向に進んでいるとして、「野党4党提出の法律案は、こうした国際社会の流れに沿った、ハラスメント対策の充実、運用の改善に資するもので、全ての働く人が自分の能力を最大限発揮できる社会を実現するために必要不可欠な、そして、快適な職場環境を整備するもの」だと訴えました。
本会議では、採決の結果、政府提出の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決し、参院に送付されました。