立憲民主党は18日、第47回政調審議会を開き、児童虐待防止のため、対策を強化する議員立法「児童虐待防止及び保護者への指導・支援強化のための児童福祉法等改正案」を了承しました。
逢坂誠二政務調査会長は冒頭のあいさつで、自民党の萩生田幹事長代行が同日のインターネット番組で、10月に予定される消費税率10%への引き上げについて「6月の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)の数字をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、また違う展開はあると思う」と述べ、増税の延期もあり得るとの認識を示したことに触れ、「政府・与党もやっと今の景気がおかしいということに言及し始めたのではないか」と発言。内閣府が3月7日、4月5日にそれぞれ発表した1月、2月の景気動向指数は低水準となり、政府は基調判断を「下方への局面変化」としていること、日銀は3月15日の金融政策決定会合での景気判断で「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられる」と総括判断を下方修正、政府が3月20日に発表した3月の月例経済報告で、景気の基調判断は「このところ輸出や生産の一部に弱さもみられる」と3年ぶりに下方修正していること等を挙げ、「われわれはこの間繰り返しこのことを言ってきたのに、なぜ今さらなのか。5月20日頃には1月-3月期のGDPも出る。こうした客観的な情報が出ているのに、なぜ6月の日銀の短観なのか。発表されるまで2カ月以上あるなかでのこうした発言は、どう考えても国民のことを考えているようには思えない。この先何が起こっても言い訳ができるように、政府の避難路を作っているのではないか。しかし、消費増税を前提にしたさまざまなものが盛り込まれた予算はもう執行されている。しかもその判断を先送りし、変更だけを匂わせる。こんなことでは経済活動も国民生活も大混乱だ。まったくもっておかしな対応だ。なぜこんな混乱を引き起こすような発言を今の時期にするのか、さらに言うなら、なぜもっと判断できないのか」などと指摘しました。
会議では、政府提出法案や議員立法について審査をし、「地域の自主性及び自立を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」については、「市町村が放課後児童健全育成事業の設備及び運営について条例で基準を定めるに当たり、『従うべきもの』とされていた厚生労働省で定める基準について、これを「参酌するもの」と変更する規定を削除する修正案を提出し、この修正案が否決されれば反対することを了承しました。「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」については対応を逢坂政調会長に一任することを了承、「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案」と関連の「司法試験法等の一部を改正する等の法律案」(国民民主党議員立法)については反対、「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案」「日・アルゼンチン投資協定」「日・スペイン租税条約」「日・クロアチア租税協定」「日・コロンビア租税条約」「日・エクアドル租税条約」については賛成することをそれぞれ了承しました。
議員立法調査では、「児童虐待防止及び保護者への指導・支援強化のための児童福祉法等改正案」「航空保安法案」(衆院には同じ法案を提出済み。参院に提出)についてそれぞれ賛成することを了承、国会(参院ODA特別委員会)決議「G20大阪サミット及び第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に向けた我が国の開発政策並びに参議院における国際的議会活動に関する決議」について、本日出された意見も踏まえ決議案をまとめていくことを了承しました。
また、「ハンセン病問題に関するワーキングチーム」を設置したとの報告がありました。
逢坂政調会長は会議後に記者団に対し、了承された議員立法「児童虐待防止及び保護者への指導・支援強化のための児童福祉法等改正案」に関し、政府提出の児童虐待防止法などの改正案で抜けた部分を補う対案だと説明。政府案との大きな違いとして特に(1)児童虐待を行った保護者に対する再発防止プログラム(2)児童の権利擁護(3)DV防止対策の強化―等を挙げ、「われわれの思いも入れていただけるよう国会での議論をしていきたい」と述べました。
同法案は、野党各党に呼びかけ衆院に共同提出する見込みです。