障がい者が自由に情報にアクセスでき、自らのコミュニケーション手段を選択できることは、市民として等しく社会参加できることであり、共生社会の構築に必要不可欠です。その実現のために尽力している「聴覚障害者制度改革推進中央本部」が18日午後、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」の早期制定に向けた要望書を立憲民主党に提出しました。

 聴覚障がいの人は、手話、筆談、空書き、口話など、盲ろう者は、手書き文字、触手話、文字筆記などのコミュニケーション手段がありますが、同法案は、その人が一番話しやすい方法を選んでコミュニケーションをとることを保障するものです。

 通訳者を介して話した全国盲ろう者協会の川島朋亮さんは、自分は目が見えず、耳も聞こえない、いわゆるヘレン・ケラーのような状態だと前置きしたうえで、「震災の時、大きな津波が来るという情報は音声で呼びかけられた。聴覚障がい者は聞こえなかったために情報を得られず、避難が間に合わなくて亡くなった比率が高かった」と述べ、情報を得る権利は生きる権利であることを強調しました。

 また、弱視の人でも赤と青の区別がつきやすくなるユニバーサルデザインの信号機について、川島さんが紹介したのを受け、全日本ろうあ連盟事務局長の久松三二さんは、「障がい者だけでなく、高齢者にとっても信号が見やすくなる。バリアを突破すると、障がいのない人でも安心して情報にアクセスできるようになる」と力を込めました。

 立憲民主党障がい者プロジェクト・チーム座長の山花郁夫衆院議員は、「野球の『ストライク』『アウト』『セーフ』などのジェスチャーは、耳の聞こえないウィリアム・ホイというメジャー・リーガーが考案した。おかげで観客全員が、審判の声が聞こえなくても判定がわかるようになった」と、手話を交えてエピソードを紹介。障がい者が情報にアクセスしやすくなると、社会全体にも恩恵をもたらすことを強調しました。

 つづいて、情報コミュニケーション法案・手話言語法案検討ワーキング・チーム座長の初鹿明博衆院議員が、「現在、『情報コミュニケーション法案』と『手話言語法案』の2つを整備中。すでに進んでいる『読書バリアフリー法』と一緒に、早期成立させることをめざしたい」と、意気込みを述べました。

手話通訳でコミュニケーションをとる久松さん(左から2番目)と、触手話でコミュニケーションをとる川島さん(左から4番目)