衆院本会議で12日、安倍総理らが出席するなか「子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案」の趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して岡本あき子議員が質問に立ちました。
本改正案は、10月の消費税率の引き上げに合わせて、幼児教育と保育を無償化するためのものです。
岡本議員は冒頭、11日、東日本大震災から8年が経ったことに、あらためて犠牲になられた方々とご遺族の皆さまに哀悼の意を示すとともに、被災地の一市民として、発災直後から国内外から数多くの支援をいただいたと感謝の意を表明。一方で、今なお現地や避難先の地で困難な日常生活を送っている方々がいること、高齢化する被災地、長期化する生活再建等新たな課題に直面していることに触れ、「復興期間終了後の必要事業を責任もって遂行できる体制を含め、誰もが、取り残されることなく平穏な暮らしを取り戻すことができる日を目指して、長期化する課題に果敢に取り組んでいただきたい」と求めました。
その上で、本改正案については、(1)幼児教育・保育の無償化目標(2)無償化すべき対象の順番(3)待機児童の解消と質の確保(4)保育の質の確保(5)無償化と言いつつ自己負担増(6)企業主導型保育事業の監査のあり方(7)「希望出生率1.8の実現」の数値目標の必要性――等について質問。「今回、消費税増税分を財源とする設計となると、増税分の保育料無償化予算4,656億円のうち、住民税非課税世帯以下の世帯には、わずか1%しか還元されず、一方で年収640万円を超える世帯には50%の2,320億円、年収470万円以上で実に3,840億円と83%が配分されることになる。消費税の配分先は、圧倒的に高所得者になり、消費税増税の財源としてはかえって不公平感を招く」「政府が進める2020年度末までに32万人分の受け皿整備は、民間の試算では全く足りていない。第一に取り組むべきは受け皿を32万人増より拡大して、待機児童解消を行うこと」「今回の法律案では、経過措置とはいえ、認可外指導監督基準を満たしていない施設や、ベビーシッターも届け出さえすれば、無償化の対象となる。幼児教育無償化を急ぐあまり、質が担保されず、リスクが排除されないままに、公金投入の対象とすることは避けるべき」等、さまざまな問題点を指摘しました。
政府が目標に掲げる「希望出生率1.8」については、諸外国には希望出生率がなく、出生率に数値目標を掲げている国は、日本と韓国以外に見当たらないと問題視、「数字ありきではなく、子どもをもちたいと思っている方の気持ちを叶える施策を、できうるかぎり揃えることこそが大事であり、産まれる前の段階での不妊治療や子どもの命を守り抜くための虐待防止策など、あらゆる子ども・子育て支援でなければいけない」と強調しました。