参院本会議で安倍総理の施政方針演説はじめ政府四演説に対する代表質問の2日目となる1日、立憲民主党・民友会・希望の会を代表して福山哲郎幹事長が質問に立ちました。

 福山幹事長は冒頭、立憲民主党が結党して1年3カ月が経過しようとするなか、一昨年の臨時国会では自身1人だった参院の仲間が、昨年の通常国会開会時には6人、今年の通常国会では27人となり野党第1会派で臨むことになったとして、この間、ご支援いただいた国民の皆さまに感謝を表明。その上で、(1)安倍政権の運営姿勢(2)毎月勤労統計問題(3)SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標の略称)(4)金融緩和と出口戦略(5)消費税率引き上げ(6)幼児教育・保育の無償化(7)気候変動問題、エネルギー・原発政策(8)就労外国人問題(9)北方領土問題(10)辺野古移設問題(11)防衛大綱(12)ジェンダー平等――について取り上げ、政府の見解をただしました。

 結びに当たって福山幹事長は、「政治の役割は、LGBTばかりではなく、障がい者も、お年寄りも、女性も含めて、多様性を大切にし、彼ら彼女らに寄り添い、法整備など制度改正等できることからはじめることなのではないか」と提起。「立憲民主党は、平成の次の時代に、自民党に代わる新しい価値、新しい社会のあり方を提示していける政党として、統一地方選、参院選に向かっていきたい。新しい価値、新しい社会のあり方を提示して、国民に支援をしていただき、社会を変えていく。その大きな役割を担わせていただきたく思う。『多様性を認め、お互いさまに支え合う』社会を一人ひとりの皆さんとともに作っていく決意だ。立憲民主党はこれまで同様、『右でも左でもなく前へ』進む」と誓いました。

2019年2月1日参院本会議代表質問 福山哲郎幹事長.pdf

 質問後に記者団の取材に応じた福山幹事長は、安倍総理の答弁への受け止めを問われ、「相変わらず真正面からお答えにならなかった。非常に残念だ。毎月勤労統計の問題についてもほとんど責任を認めることなく、第三者性の崩れている監察委員会の報告書の一番抽象的なところを答えただけで、新しく事実を表明する意欲も、これからもしっかりと調査をして全容解明に努める気持ちもまったく伝わってこなかった。不誠実極まりない答弁だった」とコメント。野党側が示している2018年1月から11月の実質賃金の伸び率が大半でマイナスとなるとの試算についても「調査中」だとして答弁を避けたことには、「まったくお答えにならずゼロ回答だ。実質的にはマイナスになると思っているので予算委員会などの質疑を通じてアベノミクス偽装がより明らかになってくると考える」と述べました。

 毎月勤労統計問題をめぐり、根本厚生労働大臣が同日の記者会見で、担当責任者である局長級の大西康之政策統括官を同日付で大臣官房付とすると発表したことには、「特別監察委員会を実質的に回してきた責任者であり、過去の経緯についても職員からの聞き取りも含めて全体を把握されていたはずの方を、予算委員会の直前で更迭して国会に呼びにくい形にしたことは言語道断であり、官僚まで隠ぺいするのかという状況だ」と政府の対応を厳しく非難。「厚労省の役人を辞められたわけではないので、参考人としては当然国会に出てきていただけると思っている。次に就任される方がまったく今までの事情を理解していない方では審議が深まらないので、参考人として呼んでいきたい。財務省の佐川さん(前国税庁長官)のときもそうだが、こういうやり方をするから国民の信頼をなくすし、(政府は)全容解明の意思がないと言わざるを得なくなる。根本厚労大臣の姿勢は遺憾であり、あらためて罷免を求めたい」と述べました。

 「アベノミクス偽装」という指摘に対し、安倍総理がこれ1つのデータに基づくものではなく、GDPベースでも賃金は上がっている旨主張していることへの受け止めを問われると、「『答弁のなかで昨年の数字を挙げて具体的に答えたことはない』と言われているが、この毎月勤労統計の調査はGDPの値や、実質賃金の問題などいろいろなものに関わる。個別の答弁でその数字を使ったかどうかは問題点としてはほんの一部であり、この統計の数字を変えて計算し直したものがあったことで必要以上にアベノミクスの数字を大きくしてきた傾向は否定し難い。そのことは素直に認めるべきであり、そのことを認めないかぎりは結果としてこれから先どのように再調査をしようと何をしようが根本厚労大臣と安倍総理がやっている再調査については信頼性が上がらないし、国際社会においても日本の統計資料に対する信頼性は落ちていくと感じざるを得ない」と断じました。