2019年1月17日
毎月勤労統計不正問題に関して議論 厚労部会
立憲民主党は17日厚生労働部会(部会長・石橋通宏参院議員)を国会内で開き、厚生労働省が公表する「毎月勤労統計」の東京都内分が本来認められない抽出調査で行われていた問題について議論するとともに、2018年度補正予算および19年度厚生労働予算について同省からヒアリングを行いました。
あいさつに立った長妻昭政務調査会長は、「統計データの集計のルール違反は、2004年からあったとすれば民主党政権でも見過ごされていた。私も厚生労働大臣を務めており、与野党を問わず実態解明を進め、各種給付についても正しい支給額をお支払いすると同時に、すべての統計の信頼性を再度徹底的にチェックしなければならない」と表明。そのうえで、「昨年1月に政府が新たにデータ加工をしてルール違反を公表しなかったことが事実だったとすれば大きな問題になる。結果として実態と異なる形で賃金が前月同月比で大幅に上がったことになってしまった。思い起こすと、昨年1月頃は国会が裁量労働制のデータ偽造問題で紛糾しており、そのタイミングで新たな統計問題を公表するのは得策でないという判断が働いたのだとすれば、これまた大きな問題だ。実態解明を進めていきたい」と述べました。
石橋厚労部会長は、不適切な調査が始まった04年の状況として、「2002年から03年にかけて雇用保険財政が底をついたタイミングであった」と述べ、こうしたこととの関連の有無や、賃金の上昇率の水増しを意図してのこの間の対応だったか等が重要な論点になると指摘。しっかりと質疑をしていきたいと呼びかけました。
会議では、党として厚労省にこれまで問い合わせている質問事項(下記資料1)をもとに具体的な資料・データを含めて厚労省からの説明を求めましたが、厚労省は公文書についてまでも「確認中」だと答えるなど不誠実な対応を繰り返し、石橋部会長は「正しい資料がないと議論にならない」と述べ、問題に至った経緯等について事実に基づき説明のできる担当者の出席をあらためて求めました。
厚労省は、不正な抽出調査を続けながら、統計法を所管する総務省に16年10月27日付で全数調査を継続するという虚偽の内容を記した変更申請(下記資料2)を大臣名で提出しており、この点について総務省の統計基準担当者は「統計法に則った手続きが行われていない」と統計法違反であるとの認識を明示。厚労省は18年1月の調査分から本来の全数調査の数に近づけるデータの補正を行う一方、総務省に統計計画の変更を申請することなく政策統括官付参事官の名前で神奈川、愛知、大阪の3府県に通知(下記資料3)を出しており、この点についても統計法違反の可能性があること、あわせてこの通知文書を厚労省は提出しようとしないばかりか(愛知県、大阪府から入手)、神奈川県には文書を提出しないよう要請していた可能性があることも明らかになっため議員らは問題視しました。データ補正のために導入したソフトをめぐっては、厚労省内の担当者がプログラムの修正を行っており予算の計上はなかったと答えたことから、出席議員からは驚きの声が上がり、この点について仕様書の提出等詳細な説明をあらためて求めました。
また、この問題を受け19年度予算に必要な額を計上する方向で財務省と調整中であることについては、政府の不祥事によって閣議決定後の予算が変更となるのは平成になって初めてであることも確認しました。
【資料1】毎月勤労統計不正問題に関する厚生労働省への質問事項.pdf
【資料2】基幹統計調査の変更について(申請) 2016年10月27日.pdf
【資料3】全数調査から抽出調査への切り替えを求める通知文書 2018年6月27日.pdf