参院本会議で8日未明、「漁業法等の一部を改正する等の法律案」の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決、成立しました。
採決に先立ち、立憲民主党・民友会を代表して討論に立った風間直樹議員は、「近年、わが国における漁業を取り巻く環境は、大変厳しいものとなっている。水産資源の減少による生産量や漁業者数の減少、また、人口減少による消費への影響など、懸念される課題がいくつも顕在化している。このため、水産資源の持続的な利用を確保し、漁業者の所得向上を図るという改革の目的は、われわれも賛成する」と述べたうえで、今回の改正案をめぐっては、70年ぶりの大改正であるにもかかわらず、与党による採決日ありきの委員会運営がなされ、審議時間が十分に確保されず、議論が十分に尽くされないままでここまで来てしまったと指摘。「結論ありきの乱暴な国会運営で、わが国の漁業・漁村の未来を左右する重要な法案を通してしまっては、必ずや将来に禍根を残すことになる」と断じました。
また、「改正案に関する漁業者への説明が十分行われたとは言えない」と述べ、「誰のため、何のために提出されたものなのか。改正案の発端となったのは規制改革推進会議で、最近の農林水産委員会では現場の事情を十分に把握していない、規制改革推進会議の提言を基にした法律案が、非常に多く提出されている」と問題視。「浜のことを十分に理解することなく、水産業の成長産業化の名の下に、効率を優先し、企業参入を容易にするために作られた法案だ」と指弾しました。
反対理由としては、(1) 目的規定から「漁業の民主化を図る」との文言が消えるなど、これまで漁業法が70年間大切にしてきた理念がなくなってしまうこと。また、漁業の民主化に重要な役割を果たしてきた海区漁業調整委員会の公選制が廃止されてしまうこと(2)漁業への企業進出が進み、漁村が衰退するおそれがあること(3)TAC(タック)管理による資源管理が基本とされること(4)企業の参入により、多面的機能の維持・発揮に支障が出てくる懸念があること――の4点を列挙。「本改正案は、漁業の民主化を後退させ、企業優先の漁業を行わせるもの。漁業の多面的機能に重大な影響を及ぼし、漁業者の生活を脅かし、漁村を衰退させる漁業法改悪には断固反対せざるを得ない」と表明し、締めくくりました。