2018年11月30日
【参院本会議】漁業法改正案が審議入り 小川議員が質問
参院本会議で30日、「漁業法等の一部を改正する等の法律案」の趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主・民友会を代表して小川勝也議員が質問に立ち、政府の見解をただしました。
本法案は、適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるため、資源管理措置と漁業許可、免許制度等の漁業生産に関する基本制度を一体的に見直すもの。養殖業への新規参入を促進する一方、漁業権を地元の漁協や漁業者に優先的に割り当てる規定の廃止、科学的に適当でない理論、漁獲可能量による水産資源管理の導入など、漁業関係者が経営への影響を危惧する内容が多く含まれています。
小川議員は冒頭、「今回の漁業法の改正は70年ぶりの大改正と言われています。先人たちは、戦後の民主化の下、3年の歳月を掛けてこの漁業法を作ったと聞いています。なのに、なぜ、その理念を大きく変える改正案が短い会期の臨時国会に提出されたのでしょうか。漏れ聞くところでは与党自民党の水産部会でも、なぜ臨時国会に提出するのか、なぜ焦るのかという質問が飛び交ったと聞いています」と述べ、会期末の12月10日までに審議を行う農林水産委員会の定例日があと2日しかないと指摘、先日審議入りした入管法改正案と併せ、「我が参議院はどうなってしまったのでしょうか。参議院は官邸の下請け機関ではありません」と訴えました。
その上で、(1)今回、漁業者から改正を望む声はあったのか。また沿岸漁業や漁村集落にどのような良い影響があるのか(2)漁業者への十分な説明はなされたのか(3)中国、韓国などの漁船との問題に関連し、我が国の漁船が安全に操業するためにどのようなことをしているのか(4)IQ(個別割当)制度を我が国の領海内での操業に適用することへの懸念(5)MSY(最大持続生産量)について導入は慎重であるべきではないか(6)特定区画漁業権の廃止と優先順位の廃止が漁業者の不利益にならないか(7)新規漁業権免許の基準に「漁場を適切かつ有効に活用と認められる場合」「地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者」とあるが、都道府県知事の恣意的な裁量が働く可能性はないか――などをただしました。
最後に、「漁業法の最も大事な概念の『民主化』の文言がなくなり、一方で大臣、都道府県知事の権限が大きくなる。後世に大きな禍根を残しかねない、大変心配の種が消えない改正案である」と述べ質問を終えました。