参院本会議で6日、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案(いわゆる「カジノ法案」)が審議入りし、立憲民主党・民友会を代表して杉尾秀哉議員が質問に立ちました。

 杉尾議員は冒頭、今国会の大幅な会期延長について、「その目的は、過労死を増やす『働き方改革』と、ギャンブル依存症を増やす『カジノ法』。そして党利党略そのものの『選挙制度改革』だ。この政権が考えているのは自分たちの延命だけで、国民の『命』や『健康』を守る意識が全くない」と批判。世論調査で7割の国民が「今国会で成立させる必要はない」と回答するなか、強引に成立をさせようとする安倍政権に対し、「他に成長戦略の目玉がないのか。それとも、カジノ産業を有力スポンサーにするトランプ大統領との間に『密約』でもあるのか。私には安倍総理が、『カジノで経済成長』という、お得意の『夢物語』を国民に振りまいているとしか思えない」と指弾しました。

 その上で同法案について、(1) カジノ利用客に占める外国人旅行客の割合とIRの経済効果試算(2)IRによる地方の活性化と地域経済への影響(3)カジノ事業者の収益が海外に流出する懸念(4)ギャンブル依存症対策(5)カジノ事業者による顧客への金銭の貸し付け(6)カジノ事業者が行うカジノ行為に係る賭博罪等の違法性阻却――等について安倍総理と所管大臣である石井国土交通大臣の見解をただしました。

 杉尾議員は、今やアジアのカジノ市場は飽和状態にあり、外国人旅行客の意識調査でも「日本でカジノに行きたい」という人はわずか7%しかいないと指摘。経済効果の試算を尋ねるとともに、「カジノ誘致に成功した都市と、そうでない都市。施設がある地域とそうでない地域。IRはこうした格差を生むだけで、全体的な『地方の活性化』には全くつながらない」と批判しました。

 これに対し、石井国交大臣は「カジノを含むIRの利用客の内外規律や経済効果については、現時点ではIRがどこにどのような形で設置されるかが不明であり、定量的に答えることは困難」などと無責任な答弁に終始しました。

 杉尾議員は、同法律案成立による「負の影響」の最たるものは、ギャンブル依存症がさらに広がることだと述べ、安倍総理が「世界最高基準」と強弁する、1回6000円の入場料と「週3回・28日間に10回」までという規制の有効性を疑問視、最も有効な依存症対策はカジノを作らないことだと主張しました。

 本法律案では、331もの項目が国会審議に諮られず、政省令などに委ねられていることも問題視し、カジノ事業者が条件付きで客にカネを貸せるようになることに、「借金してまで賭博することを奨励するもので、絶対に容認できない」と断じました。

 杉尾議員はまた、本法律案の成立を急ぐ理由について、大阪に万博とカジノを誘致したい「維新の会」の取り込みや、来年の統一地方選や参院選に影響を与えたくない公明党への配慮からではないかと質問。石井大臣は、「公明党を代表する立場になく、公明党に関するおたずねには答える立場にない」と答弁を避けました。

【参院本会議】2018年7月6日杉尾秀哉議員代表質問原稿.pdf