2018年1月24日
衆院本会議で枝野代表が代表質問
衆院本会議で24日、安倍総理の施政方針演説など政府4演説に対する代表質問が行われ、立憲民主・市民クラブを代表して枝野幸男代表が質問しました。
<はじめに>
質問に先立ち、一言申し上げます。
草津白根山の噴火によって、訓練中の自衛官の方が亡くなられました。心から哀悼の意を表します。また、被害にあわれた皆さんにお見舞い申し上げます。二次被害に十分注意しながら、万全の対応を政府にもお願いします。
さて、立憲民主党は、結党直後の総選挙で、1,100万を超える皆さんから貴重な一票をお預かりしました。それから3ヶ月。私たちは、皆さんの期待にお応えできる政党となれるよう、体制整備に努力してきました。
その一つとして、党綱領をより分かりやすいものに改訂しました。
新しい綱領では、
私たちは、「立憲主義に基づく民主政治」と「多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う社会」を実現するため、立憲民主党に集いました。
と結党の趣旨を明確にし、
国民の皆さんとつながり、日常の暮らしや働く現場の声を立脚点としたボトムアップの政治を実現します。
と、選挙で訴えた「草の根からの民主主義」を具体化しました。
草の根の暮らしという視点から、予算案などに示された政府の姿勢を見たとき、厳しい環境にある皆さんの暮らしの足元に、目が向いていないと言わざるを得ません。
政府の政策は、相変わらず、強いものをより強く、豊かな者をより豊かにすることが基本になっています。しかし、厳しい環境にある皆さんの暮らしを支えて底上げし、分厚い中間層を取り戻すことなしに、消費を回復させ、持続可能な経済と社会の活性化をもたらすことはできません。
私たちは、社会を下から支えて押し上げる、もう一つの道を地道に訴えていきます。
<待機児童問題>
現場とのズレが最も顕著なのが、待機児童問題と保育所等の無償化です。
私たちは、幼児教育の無償化という理念と方向性に大賛成です。
しかし、特別国会でも指摘しましたが、待機児童問題が解消されないままに保育所が無償化されれば、二重の不公平が生じます。待機児童の解消こそが最優先課題です。
こうした批判に応え、政府は、待機児童対策を強化し、受け皿整備のための予算を積み増しました。
しかし、一つに、この程度の受け皿整備では、待機児童を解消するには、まだまだ不十分です。
統計に表れない潜在的な待機児童の数や、保育所の整備が進めば進むほど出産を選択できる人が増えるという潜在的需要の問題を考えると、無償化が本格実施される予定の2020年度までに、32万人分の受け皿整備で待機児童問題が解決するとは、とうてい考えられません。
二つ目に、保育所の整備が、本当にこの計画どおり進むのか、はなはだ疑問です。
保育所を増設する上で最大のネックは、保育士の確保です。保育士不足の最大の要因は、専門性を必要とし責任が重く重労働であるのに、賃金が安すぎるという点にあります。若干の施策は進められていますが、全労働者平均と比べて10万円程度安いとされる保育士の賃金水準を考えたとき、問題解決に向かっているとはとうてい言えません。
今次の補正予算と平成30年度予算で、保育士の平均賃金は、人事院勧告の水準と比べてどのくらい上がるのでしょうか?厚生労働大臣にお尋ねします
三つ目に、無償化の対象が認可保育所以外のどの範囲までとされるのか、いまだ明確でありません。
無認可保育所に加えて、やむなくベビーホテルやベビーシッターに頼っている方も少なくありませんが、これらすべてを無償化の対象にするのでしょうか?あるいは、こうした皆さんも希望すれば全員必ず認可保育所に預けられるようにするのでしょうか?厚生労働大臣にお尋ねします。
四つ目に、無償化の財源負担を地方自治体に押し付けるのは不適切です。
私立保育所の場合、国の財源負担は2分の1にとどまり、4分の1は都道府県と市町村の負担です。公立保育所は全額市町村の負担とする案を軸に検討と言われています。
待機児童対策のために保育所整備を急がなければならない中で、市町村は、保育所を整備すればするほど無償化のための負担も増えます。待機児童が多い自治体ほど無償化の分も合わせて大きな追加財源を必要とすることとなり、結果的に保育所整備を遅らせる要因になりかねません。
五つ目に、お子さんを保育所に預けることができて、無償化の対象となる方にとっても、それが最優先事項であるとは思いません。
急な事情が生じても対応できる延長保育や、子どもが病気の時の対応、研究者や医師など夜間働かざるを得ない方々への支援など、柔軟な制度を可能にすること、あるいは、無認可の保育所を認可保育所に近づけるなどより安心できる体制の実現など、保育料以上に優先すべき課題が山ほどあります。
私たちは、限られた財源の中で、当面は、無償化よりも、保育士の賃金底上げなど現場のニーズにより合った使いみちを優先することを求めます。
<介護サービスの不足>
保育士とともに、サービス不足と人手不足が深刻なのは介護です。
特別養護老人ホームの待機者数は36万人超。減ったように見えるのは、入所対象者を大幅に絞り込んだ結果にすぎません。12万人余りは、在宅で入所を待っています。
介護保険料を強制徴収しながら、必要なサービスが足りないのでは、民間なら詐欺と言われます。
他方で、職員不足等が理由で空きベッドのある特別養護老人ホームが1割以上。人材確保の見通しが立たず、介護施設の新設を断念するという声も少なからず聞こえます。
介護のサービスは、365日24時間。夜勤も含めた長時間労働が問題視されています。肉体的にも重労働です。にもかかわらず介護職の平均賃金はすべての勤労者の平均と比べて10万円も安く、人材確保には賃金の大幅アップを含めた処遇の改善が不可欠です。
人材確保のための予算がわずかばかり計上されていますが、介護事業者の利益率は、平成26年発表の7.8%から平成29年発表の3.3%へと大幅に低下しており、民間事業者の努力で賃金をアップさせることは不可能です。
立憲民主党は、介護従事者の賃金アップのため、さらに迅速かつ大規模に、そして直接的に予算措置することを提案します。総理は8万円相当の給与増とおっしゃいましたが、その対象となるのは介護職員全体の何%にあたるのでしょうか?月額4万7千円の改善をしたとおっしゃいましたが、そのことで、全産業平均との賃金格差はいくらくらい改善されたのでしょうか?いずれも厚生労働大臣にお尋ねします。
<経済波及効果>
保育士や介護従事者等の賃金底上げは、最も効果的な経済対策です。その財源は、公共事業予算を圧縮して捻出すべきで、建設国債と赤字国債の区別は時代遅れです。
従来型の公共事業と比べて、社会保障関連の人件費支出の方が、消費や雇用など、より大きな経済波及効果につながることは、既に明確です。
そして、消費性向、つまり所得の中で消費に回る割合は、低所得者ほど高く、高額所得者ほど低い。したがって、低所得者の所得を押し上げることが消費の拡大につながり、格差の拡大は消費を冷え込ませる要因です。
「従来型の景気対策だけが経済対策で、社会保障分野は経済とは関係ない」という固定観念から抜け出すことを、経済対策の大前提として、立憲民主党は皆さんに訴えます。
<年金>
総理は、所信の中で、少子高齢化を国難と表現しましたが、年金制度について一言も触れませんでした。
高齢社会対策大綱案では、「65歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は現実的ではなくなりつつある」と指摘するとともに、公的年金の受給開始を70歳超も可能とする制度の検討が盛り込まれました。
健康で意欲のある高齢者が働ける環境を整えることには賛成ですが、病気や貧困に苦しむ高齢者の切り捨てにつながることがないようにしなければ本末転倒です。
高齢者の貧困に関する認識、特に、単身高齢女性の貧困が問題となっている状況と原因、対応策について、総理にお尋ねします。
<生活保護の切り捨て>
生活扶助基準や母子加算の見直しなど生活保護制度についても、現場の実態に目が向いていません。
今回の見直しでは、子どものいる世帯では4割以上が、ひとり親世帯に絞っても4割近くが減額になり、全体では3分の2を超える世帯で減額になります。
減額の規模は月数千円です。しかし、例えばこの冬は、葉物野菜が高騰し例年の二倍以上。白菜1玉が千円近くにもなり、4分の1などにカットしないと高すぎて売れないという声もあります。毎日スーパーのチラシを見て100円、10円単位で安いものを探している人がたくさんいるのです。ましてや生活保護で何とか暮らしている皆さんにとって、月千円は大金です。
生活扶助基準などの見直しは、一般の低所得世帯における消費水準との均衡を図ったとも言われています。確かに、正社員と変わらない労働をしながら、生活扶助基準よりも低い収入しか得られていない非正規労働の方もいます。
しかし、低い方にあわせて生活扶助基準を引き下げるのは本末転倒です。そもそも、低所得所帯の消費が減っているということは、トリクルダウンが幻想であったことの証明です。
生活保護は、憲法に規定された「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する最後の砦。従来でも、その水準に足りるものであったとは思えません。フルタイム的に働きながらこれより低い収入しか得られない人がいるならば、最低賃金の仕組みなど労働法制の見直しで、賃金引き上げを後押しすべきです。
立憲民主党は、今回の見直しのうち減額部分について中止すべきであると考えます。
現在と見直し後の生活保護による給付が、本当に憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を営むに足りるものであると考えているのか?総理の認識を伺います。
また、
生活保護については、不正受給の問題が注目されがちですが、実際にどの程度あるのでしょうか?逆に、生活保護の受給資格があるのに、受けていない人はどの程度いるのでしょうか?厚生労働大臣にお尋ねします。
当然のことながら、不正受給の存在と給付水準とはまったく別次元の問題ですが、念のため総理の認識はいかがでしょうか?
<所得税増税>
給与所得控除の見直しによる所得税増税が提案されています。
低所得層を対象から外したことは評価をしますが、年収850万円からの給与所得者が狙い撃ちされているのは、「取りやすいところから取る」という姿勢であるとの批判を免れません。また、消費性向の比較的高い中間層の消費を冷え込ませ、経済対策として逆行します。
立憲民主党は、税による再分配機能の強化を主張していますが、最優先は、金融所得に対する分離課税の見直しです。
利子、配当、株式譲渡等のいわゆる金融所得は、20%の分離課税です。他にどんなに多くの所得があっても、20%しか所得税がかかりません。そして、多額の金融所得を得られる人の大部分は高額所得者です。金融所得と他の所得を合算すると、高額所得者ほど金融所得の割合が高くなり、その部分は20%の低率ですから、年収1億円くらいを境に、実質的な税率は下がっていくと言われています。
金融所得課税を強化すると、資産家が資金を海外に逃がしてしまうという指摘もあり、やり方やプロセスには十分な考慮が必要です。しかし、取りやすい中間層の給与所得者を対象にするのではなく、金融所得に対する課税こそ強化すべきです。
金融所得を合算した総合的な所得に対する所得税の実質的な税率を見た場合、所得階層別にどうなるのか調査等をしているでしょうか?そして、どのあたりの所得層からどの程度実質税率が下がると認識しているのでしょうか?財務大臣に伺います。
<森林環境税>
新設される森林環境税については、森林面積という明確な基準で市町村に譲与される制度とされており、過疎などに苦しむ地方自治体の財源を確保する制度として、その狙いは理解します。ただし、目的税という手法では使い勝手が悪く、無駄遣いの温床にもなりがちです。譲与された市町村と森林保護にとって真に役立つ財源とするには、その使途について市町村に広い裁量を認めるべきです。総理の見解をお尋ねします。
<佐川国税庁長官問題>
佐川国税庁長官は、理財局長在任中、森友学園に対する国有地の売却に関し、価格について国から提示したことも、先方から希望が示されたこともない旨を答弁しています。
しかし、近畿財務局との間で具体的な金額を示したやり取りがあったことなどを示す明確な音声テープが明らかになるなど、これが虚偽答弁であったことは、既に明々白々です。
また、佐川長官は、交渉記録を適切に廃棄したとの答弁を繰り返しましたが、10年分割払い、買戻し特約付きの売却である以上、売買契約が成立しただけでは事案は終了しません。廃棄そのものが虚偽であったことを示す事実も明らかになってきていますし、本当に廃棄したならば、公文書管理法違反です。
このような方が徴税事務の最高責任者である国税庁長官に昇進しているというのは、常識では考えられません。
佐川長官は、税関係の業界紙で、「些細な問題でも対応を誤れば、組織の信頼を失ってしまいます。」と述べています。また、職員向けの訓示の中で文書管理の徹底を指示していました。もはや怒りをとおり越してあきれるばかりです。
このような長官の下で、証拠書類を誤って破棄してしまった納税者に、「書類がなければ税の減額ができない」と言っても説得力がありません。
徴税事務の信頼を守るために、佐川長官を更迭すべきです。総理及び財務大臣の見解を伺います。こうした事態は予想されたことであったのに、あえて佐川氏を国税庁長官に昇進させた責任を、どう考えているのかも含めてお答えください。
佐川長官は、リスク管理に関し「必ず上司に報告するよう徹底させています」とも述べています。当然のことながらご自身も、必ず上司に報告するよう徹底してきた者と思います。
価格のやり取りがなかった旨の答弁や、交渉記録の破棄についても、当然、上司である財務大臣に報告していたはずですが、いかがでしょうか?財務大臣の認識をお尋ねします。
<労働法制>
労働法制の改定については、一歩前進の部分もありますが、法定される時間外労働の上限は休日労働を含み月100時間未満等。いわゆる過労死ラインを大きく超え、過労死容認法案になりかねないなど、問題山積です。
特に問題なのは、裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の導入という、いわゆる残業代ゼロ法案と言うべき内容が含まれていることです。
ただでさえ「サービス残業」という残業代を払わない違法行為が蔓延している中で、このような制度を作れば悪用されるおそれが大きいと言わざるを得ません。裁量労働制拡大などについて、時間外労働の上限規制など他の部分と切り離して議論することを求めます。
裁量労働制の拡大については、特に法人提案型営業と呼ばれる対象が問題です。
示されている条文案では、法人向け営業のほとんどが残業代ゼロの対象にもなりかねません。指針で明確にするとの方針と聞いていますが、本当に営業を対象としないならば、法文上明確にするべきです。
時間外労働の上限規制に関し、自動車運転業務等について5年間の適用猶予期間が設けられました。
人手不足の中で適用猶予を求める事業者の事情は分からないわけではありません。
しかし、特に自動車運転の業務は、長時間労働による過労が交通事故につながりかねず、労働者の安全に加えて一般市民の安全をも脅かします。
運輸業界の人手不足対策としては、過当競争による不当値引きの厳しい取り締まりなどで、賃金引き上げが可能な状況を生み出すことが必要です。猶予期間は見直すべきです。
長時間労働による過労死などを防ぐためには、インターバル規制が不可欠です。
欧州では、退社してから出社するまで、最低でも11時間の確保を法律で義務付ける制度が、広く実施されています。
私たちは、作成中の対案の中で、インターバル規制の導入も具体的に提案します。
もっとも、どんなに良い制度を作っても、違法行為がまかり通ったままでは、何の解決にもなりません。従来の制度でも、きちんと守られてきたならば、過労死や過労自殺の一定程度は防げたはずです。
法改正と同じくらい、監督体制の強化が不可欠ですが、労働基準監督官の数は、国際労働機関の求める労働者1万人当たり1人という基準を大幅に下回る0.6人あまり。
労働基準監督署の人員不足についての認識と、体制強化策について、厚生労働大臣にお尋ねします。
また、
同一労働同一賃金の制度が機能するには、挙証責任を雇用者側に持たせることが不可欠ですが、この点についての厚生労働大臣の認識を伺います。
<教育>
長時間労働が特に問題な分野の一つが教員です。小中学校教員の7割が勤務時間を記録していないという調査結果もあります。
労働時間の上限規制を厳格に守ることで、教員の肉体的、精神的余裕を生み出さなければ、疲れ果て、やむなく目の前のことだけに追われる教員がますます増えます。これでは、子どもたちにより良い教育を提供することが困難です。
教員の長時間労働の実態に関する認識と、その改善策について、総理に伺います。
<原子力政策>
原子力発電所の輸出に関して、政府が事実上保証をするというニュースが注目されています。これに対し私たちは、1日も早く原発ゼロを実現するための法案を3月11日までに提出する予定で、これから全国でのボトムアップ型タウンミーティングを開催するなど精力的に準備を進めています。
原発が本当に経済的であるならば、政府が深く関与しなくても輸出が進むはずです。経済的合理性よりもリスクの方が大きいから、民間だけでは進まないのではないでしょうか。
原子力発電について、中長期的に本当に経済的合理性があると考えているのか?根拠も含めて総理の認識を伺います。
<防衛装備>
北朝鮮によるミサイル開発、核開発が続き、挑発的な行動が繰り返されています。尖閣諸島周辺の日本の接続水域に中国の潜水艦が不正に侵入するという事件もありました。
我が国の領土・領海・領空を守るため、着実な防衛力の整備が重要です。
政府は、専守防衛との関係について十分説明しないまま、巡航ミサイルやイージス・アショア、ステルス戦闘機や新型迎撃ミサイルなど、米国の有償軍事援助(FMS)で高価な装備の導入を次々に決めています。
ところが、有償軍事援助では、示されている価格や納入期限も見積もりにすぎず、米政府はこれに拘束されないなど、米国に有利な内容となっていると伝えられています。本当に、これら高額な装備が専守防衛に反しないのか、価格が適正であるのか、費用対効果の観点で適切であるのか、十分な説明が不可欠です。
他方、こうした高価な正面装備偏重の陰で、現場で日々任務に従事している自衛隊員の衣服等の装備品や、宿舎等の整備に回る予算等に影響が出ているとの声も聞こえてきます。こうした予算こそ、現下の厳しい安全保障環境の下で、いち早く充実させるべきです。
これら高額な装備について、必要最小限の装備であること、そして、価格が適正であること、費用対効果の観点で適切であることの具体的説明を防衛大臣に求めます。また、隊員の衣服等の装備品や宿舎等の整備に遅れや問題が出ていないかもお答えください。
<沖縄の米軍基地問題>
沖縄では、米軍ヘリの事故が相次ぎ、小学校校庭に落下物があって、一歩間違えれば子どもたちの命にもかかわりかねない事態でした。
政府からの申し入れも米軍には馬耳東風。昨日もヘリの不時着があり、飛ばなくなったはずの小学校上空を飛んでも、曖昧にごまかす姿勢です。これ以上、今の状況が続けば、本当に日本を守るための沖縄米軍基地であるのか、疑問の声がますます強くなるでしょう。
日米安全保障条約と在日米軍基地は、日本の安全保障に貢献する重要な役割を担っています。しかし、日本が一方的に守ってもらっているだけではありません。
太平洋の西側に安定的な同盟国と米軍基地が存在していることは、米国の国際戦略と国益に大きく貢献しています。米国にとっての在日米軍基地は、米国の国益に資するための存在です。
米国の不適切な運用などに対しては、遠慮することなく、毅然とした姿勢で臨むべきです。
私たちは、地位協定の改定を含め、ヘリの飛行中止などを、さらに強く米国に求めること、特に辺野古の基地建設については、少なくともいったん立ち止まって、沖縄の皆さんの理解を得る方策を模索することを求めます。
沖縄での一連の米軍ヘリ事故と沖縄の県民感情について、総理の見解を伺います。
<議員立法>
立憲民主党は、カジノ解禁に反対し、ギャンブル依存症対策法案とIR推進法廃止法案を既に提出しています。
森友・加計問題を繰り返さないための公文書管理法と情報公開法の改正案も出しました。
組織犯罪防止法のうち弊害の大きい共謀罪部分を廃止する法案は提出済みですが、加えて、テロ対策のために真に制定が急がれる航空保安法案も提出する予定です。
さらに、多様性ある社会を目指して、LGBT差別解消法案、夫婦別姓の選択を可能とする民法改正案、手話言語法案、農業者戸別保証法案などの準備を進めています。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興に向け、特に原発事故によって分断されたコミュニティーの再生を支援することなどを内容とする復興加速法案について、被災者、被害者の草の根の声に寄り添って検討を急ぎます。
安倍総理は、施政方針演説で、「国のかたち、理想の姿を語るのは憲法です。」と言いました。しかし、憲法の定義は「統治の根本となる基本的な原理原則に関するルール」であり、近代国家では、「主権者が政治権力を制限するルール」を意味します。一党独裁国家でもない限り、理想の姿は、各政党が綱領や政策という形で示し、選挙等を通じてその都度国民の声に基づいて選択し、修正していくものです。
これは、主義主張ではなく定義の問題です。定義について特異な認識を前提としたのでは、真っ当な議論ができるはずもありません。
集団的自衛権の行使容認は立憲主義に反します。これを含んだ安保法を廃止し、領域警備法案をはじめ真に領土を守るために必要な法整備と置き換える法案を提出します。
大阪での住民投票や英国におけるEU離脱に関する国民投票など、国民投票法制定後の新たな知見に基づき、国民投票法改正案の提出も視野に、その見直し議論を進めます。
総理は、野党に対し、口を開けば対案を出せと言ってきました。
私たちのこれら提案に対しては、政府なり自民党なりからもぜひ対案を出していただいて、国会審議に応じていただきたいと思います。
与党の一部からは、与党が既に十分検討の上、賛成を決めて提出した予算案や政府提出法案について、野党の質疑時間を削り、与党に回せという妄言が出ています。こんな妄言には、到底同意できませんが、立憲民主党提案の法案審議の際には、党内議論を済ませている我が党議員の質問時間は極々短時間で結構ですので、自民党の皆さんに納得いくまで質問していただきたいと思います。
<おわりに>
立憲民主党は、新しい綱領を踏まえ、国民の皆さんの現場の声とつながるため、「つながる本部」をつくりました。順次設立している都道府県組織にも同様の仕組みをつくり、国民の皆さんの声を幅広く受け止める仕組みを充実させていきます。
また、これまでの党員組織とは異なるパートナーシップ・メンバーの制度を作り、幅広い皆さんに気軽に参加していただける仕組みを用意します。
ツイッターでは、選挙以来、#立憲ボイス等を通じて、皆さんからの意見を募集しています。SNSなどについてもさらに利用しやすい方策を模索しています。
今の政治に不信や不安をお持ちの国民の皆さん。こうした仕組みを利用していただき、民主政治の当事者として、政治参加し、日常の暮らしや働く現場の声を届けてください。
その思いを込め、今年も引き続き国民の皆さんに訴えます。
私にはあなたの力が必要です。