日本労働組合総連合会と立憲民主党、国民民主党の3者で協議を続けてきたポストコロナの社会像に関して27日午前、連合の相原康伸事務局長、立憲民主党の福山哲郎幹事長、国民民主党の平野博文幹事長がそろって記者会見し、「命とくらしを守る『新しい標準(ニューノーマル)』を創る」という共有理念を発表しました。この共有理念は6月26日に連合と立憲民主党、国民民主党の3者がコロナ時代を踏まえて日本の将来ビジョン・目指す社会像について共同して議論を深め構想として取りまとめることを確認したもので、以降3回の意見交換を通じて共有する「理念」として精選したものです。

20200827連合立憲国民 共有する「理念」について.pdf

 相原事務局長は「感染症拡大はとどまらず、グローバルに共通体験をし、究極の不連続のなかにある私たちには、社会・経済・政治のありかたを徹底的に問い直し、変革する力が必要だ。タイトルにあるように『命とくらしを守る新しい標準、ニューノーマルを作る』ことで合意に至った。立憲民主党と国民民主党はそれぞれ解党し、新党として船出することが決定されており、私たちがここで共有した理念は新党においてもその理念をふまえて力強く政策の実現につなげていくことがあらかじめ確認できたことは大変意義深い。両党が解散して新党立ち上げのプロセスに入っているその前段で、連合として政策面や社会像についてコミットし、共通のベースラインを共有できた。ポリシーを共有して新党における実践についてあらかじめ確認できたことを大きな目玉と承知したい」と取りまとめの意義を語りました。日本の将来ビジョン・めざす社会像として、(1)命とくらしを守る生活保障(セーフティネット)、(2)将来世代へ希望がつながる持続可能な社会、(3)命とくらしを中心に据えて新しい資本主義、(4)「新しい豊かさを地方から」創り出す、地域が主役となる社会、(5)健全な民主主義と機能する政府・地方行政――の5点を説明しました。

 質疑応答で共通理念とりまとめの意義を問われた福山幹事長は「この3者で共有した理念は、コロナで国民生活に大きな厳しさと変化がもたらされる中で、次の社会のあり方を提示をする非常に重要な共有理念になる。枝野代表が『支え合う社会』を政権構想私案として発表した。医療や介護、保育や障がい者施設など生きるためのケアや施設のぜい弱さや保健所の問題、生活の危機、仕事がなくなり商売できない危機など、今回社会のぜい弱性が顕在化した。支え合う社会で、命とくらしを優先する経済や社会のあり方をつくろうという問題意識に対して、連合の呼びかけで建設的かつ未来社会のあり方を見通した議論、非常に良い話し合いができた。国民民主党のポストコロナ社会チームからも、非常に適切な意見が出される中で、こういう形のまとめができた。働く者を軸とする安心社会を標榜する連合と、ポストコロナ時代に向けてそれぞれ、働く者にどう安定・安心した生活を作っていくかについて一つの提示ができた。われわれ政党も一緒になって作業し認識が共有できたことは大きいことだ。新党綱領の文案も含めて大変ご尽力いただいた泉政調会長と逢坂政調会長の作業の中にも、平行して連合と共有する理念の意識があったと承っているので、新党の綱領においても、この理念を十分に反映し内包できる内容になっていると確信をしている」と述べました。

 国民民主党の平野幹事長は「進行するコロナ拡大の中で、働く立場に立つものとしていろんなものを見直していかなければいけない。働く環境も大きく変わった。これが社会生活にいろんな影響を及ぼすということで、国民、働く人の命を暮らしの中でしっかり守っていける新しい標準をつくることに異存はない。党のコロナ禍での未来像プロジェクトの議論も反映させていただいた。この理念に私どもの思いは共有されている。立憲と国民、連合の皆さん方の思いを共有した新しい標準、ニューノーマルと表している理念を、どう具体的に実践し実現していくか。社会改革・社会運動としての連合運動、われわれは政治の舞台でどう実現するかということだ。新党の中で、具体的な政策、予算、考え方を共有しながら動かしていくことになると思う」と語りました。