参院災害対策特別委員会の閉会中審査が26日午後開かれ、「立憲・国民.新緑風会・社民」の吉川沙織議員は、令和2年7月豪雨災害に関し、特定非常災害と災害義援金のあり方、また今般の被害等を踏まえ、今後の災害対策・防災対策に資する観点から質問しました。
吉川議員は、令和2年7月豪雨による災害は「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づく特定非常災害に指定されたことから、過去の災害における指定例と、その定義「著しく異常かつ激甚な非常災害」をどう判断するかを確認。政府はこれまでの国会答弁で(1)死者・行方不明者、負傷者、避難者等の多数発生(2)住宅の倒壊等の多数発生(3)交通やライフラインの広範囲にわたる途絶(4)地域全体の日常業務や業務環境の破壊――の4要件を総合的に勘案するということで、具体的な基準を設けていません。しかしながら、平成8年(1996年)6月5日の法案審査時の、参院災害対策特別委員会での当時の政府委員国土庁の防災局長は、「阪神淡路大震災級の極めて大規模かつ、まれに見る災害を想定している」と答弁しているとして、特定非常災害の指定対象となる災害を明確にすべきではないかと述べました。
政府は、「災害は個々に状況も異なり、近年激甚な災害が頻発していることを踏まえ、具体的ないわゆる数値基準のような指定基準を設けることは現実的に考えていない」と答弁。
吉川議員は、今回政令で指定されたことによって行政上の手続きがいろいろ変わると述べ、「特定非常災害特措法というのはその名が示す通り、あくまで特例措置。(定めた行政手続きを)柔軟に変えられるのであれば、もともとの法律を変えるべきではないか」と、立法府の立場として主張しました。
吉川議員は次に、平成23年(2011年)の東日本大震災以後制定された、大規模災害時に義援金の差し押さえ等を禁止する法律について、過去4度すべて議員立法として全会一致で成立、特定非常災害についてはすべて災害義援金差押禁止法の対象となっていることに言及。「令和2年7月豪雨災害も、これまで同様の立法措置を行おうとする場合、国会が閉会中でも可能かどうか」と質問したところ、参院議事部長は「法律案の発議提出や本会議の召集は行えないとされており、閉会中に法律を成立させることはできない」と答弁、吉川議員は、「今回、特定非常災害であるにもかかわらず、同様の立法措置を国会が閉会中であることによってのみできないのであれば、法の公平性の観点からも疑義が生じてしまうのではないか」と指摘しました。
吉川議員はそのほか、災害時の情報提供と行政機能確保の観点から防災行政無線の整備率や、令和2年7月豪雨での防災行政無線の被害状況、避難勧告・避難指示のあり方などについて政府の見解をただしました。