参院文教科学委員会で22日午後閉会中審査が開かれ、「立憲・国民.新緑風会・社民」から石川大我、水岡俊一両議員らが質問に立ちました。
石川大我議員は、(1)大学・研究機関などと連携したPCR検査の体制づくり(2)コロナ感染に関した学校での人権擁護教育(3)学校での消毒作業(4)全国学力・学習状況実施(5)学生支援緊急給付金――等ついて取り上げ、政府の見解をただしました。
コロナ感染に関した学校での人権擁護教育については、父親が新型コロナウイルスに感染したことから、保育園に通う子どもが差別を受け退所をせざるを得なくなり、さらには引っ越しを余儀なくされた事例を紹介。差別や偏見は絶対あってはならない。文科省として学校現場で活用できる人権対策の動画を作成してもらえないか」と提案。羽生田文科大臣は、2月に作成したマニュアルに偏見・差別の防止について指導し、自治体ごとにさまざまな取り組みをしていると承知していると述べた上で、関係者など意見を聞きながら検討していきたいと前向きな考えをしました。
新型コロナウイルスの影響で経済的に苦境に陥っている学生を支援する目的で創設された政府の緊急給付金をめぐっては、学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査で、申し込んだが採用されなかった学生が30.1%、そのうち大学をやめることを考えている学生が57.4%。一方で採用された学生で大学をやめること考えているのは14.3%であると指摘。緊急給付金はすでに約24万人に支給され、今月末を期日として2次推薦を募っていますが、石川議員は1次締め切りで保留となった学生が11万5千人もいることにも触れ、「支援の手が届いていない学生がまだ多くいる。今回で終わることなく、しっかり周知徹底し、学校をやめさせることのないよう積極的な支援をお願いしたい」と述べ、予備費を活用した追加の支援が必要であると訴えました。
水岡議員は、(1)GoToトラベルキャンペーン(2)学校の段階的再開に伴う児童生徒等の学びの保障――等について質問。「修学旅行はGoToトラベルキャンペーンの活用ができるのか」と切り出し、GoToトラベルでの旅行代金の割引は修学旅行等の団体の対象にする方針を示している一方、急きょ都民の利用や都内への旅行が対象から外れたことから、「神奈川県に住んでいる学生が通っている学校が東京で、東京の学校の修学旅行はどうなのか」「東京都の住民だが神奈川県の私立学校に通っている学生がいたとき、この学校の修学旅行はどうなるのか」と尋ねました。これに対し和田国土交通大臣政務官は「東京都内に存在する学校の修学旅行は対象にならない」「神奈川の学校に通う方は現状においては対象になる」と答えに窮しました。
水岡議員は、6月23日の文部科学省初等中等教育局児童生徒課と国土交通省・観光庁参事官の名前で出ている事務連絡で修学旅行等の団体の対象になる旨伝えられたが、その後の政府の政策変更で東京都の学校が除外になることについての事務連絡、文書がないのではないかと指摘。「経済活動を進めると言う意味でこのキャンペーンを張られたのかもしれないが、学校、教育に関わることであれば教育活動だ。修学旅行は特別教育活動であり、その内容で子どもたち、学生、児童、生徒が理解できない問題をどうやって説明するのか。責任者の名前の入っている事務連絡がないのは問題ではないか」と追及しました。和田政務官は「ご指摘を踏まえながら適切に対応していきたい」と応じました。
第2次補正予算成立から約1カ月が経過するなか、関連経費として計上された、感染リスクの高い地域の小中学校を対象とした教員の加配について、3100人の加配方針に対し現状1872人と6割しか配置できていないことに、「地方自治体の事情もあるし、人材がいないのも事実。文科省として大きな判断をもって人材の確保をやっていてほしい」と要請。コロナを経験するなか、世界的標準の定数を見据えながら学級規模の基準や、教職員の配置を変えていくべきではないかと尋ねると、萩生田文科大臣は「アフターコロナの学校のあり方を今までの概念から大きく変えていかなければならない。今回、政府の『骨太の方針』のなかにも『少人数学級等』のワードを入れることができた。安全で快適な教育環境を作り直していく決意だ」と答えました。