観光産業で働く人たち約48,000人が参加するサービス・ツーリズム産業労働組合連合会(後藤常康会長)は30日、「コロナ禍及びコロナ後における観光産業の維持・再生にむけた緊急要請」行動を関係省庁と各政党に行い、立憲民主党との懇談会には枝野幸男代表、逢坂誠二政務調査会長、辻元清美団体交流局長が出席し、要請書を受け取りました。

 後藤常康会長は「観光産業は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言とそれにともなう外出自粛、営業自粛で壊滅的な打撃を受けた。5月末に緊急事態宣言は解除されたが、国内外とも観光産業の苦境は長期化が予想され、規模によらず事業の存続が危ぶまれる。観光産業のすそ野は広く、宿泊業・旅行業・添乗員をはじめ、航空・鉄道、バス・ハイヤー・タクシー等の運輸業、ガイド・みやげ物店・飲食店などの協力で成り立っており、約472万人が関係している。事業者は大都市部のホテルなど一部事業者を除くと、大半は中小企業や商店、個人事業者であり、関係事業者の自助努力だけでは産業全体の維持・再生は難しい。政府による計画的、戦略的な支援をお願いしたい」と概況を説明しました。さらに各分野の実情を説明し、コロナ禍での救済策として(1)観光産業持続可能給付金制度の創設、(2)自治体と協力した宿泊業・旅行業への支援、(3)派遣添乗員の雇用を守るための事業者への支援、(4)みやげ物店・飲食店等の支援策活用を可能にする要件や手続きの緩和、(5)GoToキャンペーンの早期顕現化、(6)公的資金による観光ファンド設立など観光産業を支える仕組みつくり――を要請しました。さらにコロナ後の観光産業の姿として、インバウンドと国内需要を車の両輪とした発展が必要であり、そのために国民の収入、生活のゆとり、余暇などの改善も重要だと指摘しました。

 枝野代表は「観光産業はすそ野が広く、今回は特に大きな影響を受けている。現状では短期的に回復する見通しは難しい。雇用と事業の継続を守るために、それぞれの政策がきちんとかみ合って進まなければならない。徹底した検査を広く行い、多くの皆さんが安心していただけるようにすることと、休業要請に対して補償をセットにしていくことが重要だ。自粛によって大きな影響をうけたところがきちんとした手当や実質的な補償を要求するのは当然だ。観光産業は、高齢化社会でリタイア後の生活にとって大きなものであり、歴史的価値や文化の維持という多面的役割も担っている。その産業が希望を見いだす展望が出せるよう頑張りたい」と述べました。

 逢坂政調会長は「いま政府・与野党連絡協議会と岸田政調会長とのバイの会談の2つのチャンネルで政府与党と話し合いを進めている。政府の施策はパッチワークのようで申請するだけでも大変だ。アメリカのPaycheck Production Program(PPP)のような総合的な施策が必要だ。次回か次々回の政府・与野党連絡協議会や岸田政調会長との会談でも観光産業対策を大きなテーマとしてとりあげたい」と応えました。辻元委員長は「予備費が10兆円ある。GoToキャンペーンに行く前の支援こそ重要だ。世論の後押しを得て良い提案を与野党協議で実現を迫っていく」と訴えました。また逢坂政調会長は「福島県や北海道が始めた地元住民に向けた観光の地域割引きが大変効果的だ。地方創生臨時交付金を3兆に積み増しさせたが、これを更に上積みして地域からの観光振興も進めたい」と提案しました。

20200630サービス連合要望書.pdf