立憲民主党は21日、政調審議会(第79回)を国会内で開催しました。
逢坂誠二政務調査会長は冒頭のあいさつで、東京高等検察庁の黒川検事長が、緊急事態宣言が出されているなかで賭けマージャンをしていた問題で、同日森法務大臣に辞表を提出したことに言及、「辞任で済む問題ではない」と指弾しました。人事院規則によれば、「賭博をした職員は言及または戒告とする」「常習として賭博をした職員は停職とする」とあることから、「辞任はやむなしとの声があることは承知しているが、そんな単純ではなく、懲戒処分にすべきだ。加重の罪があれば停職を超える可能性もある。利益供与を含めてしっかり政府の動きを見ていかなければならない」と述べました。
黒川検事長をめぐっては、今年1月31日、「検察官には国家公務員法の定年制は適用されない」とする従来の法解釈を変更し、政府は「検察庁の業務遂行上の必要性」を理由に定年を半年延長する閣議決定。検察庁法改正案の質疑で政府は、検事長の役職定年を延長しなければならない立法事実は、黒川氏の人事以外に具体例はないと答弁、「余人をもって代えがたい」としていたことに触れ、「当の本人が辞めざるを得ない状況であり、任命責任は重く問わなければいけない。(同法案への)いい加減な政府の対応をチェックしていく」と指摘しました。
一方で、新型コロナウイルス感染症対策については待ったなしだと述べ、「国会で厳しく対決すべきところは対決し、協力すべきところは協力していく」と強調。同日の自民党の岸田政調会長との会談では、家賃支援をめぐり、かねてから野党が主張していた複数店舗を持つ事業者対策について、与党から政府に求めていくとの話があったと紹介しました。
会議では、審査事項として、閣法「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」「金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案」「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案」「強じんかつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」「無人航空機等の飛行機による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案」と、条約「社会保障に関する日本国とスウェーデン王国との間の協定」「社会保障に関する日本国とフィンランド共和国との間の協定」「刑を言い渡された者の移送に関する日本国とベトナム社会主義共和国との条約」「専門機関の特権及び免除に関する条約の付属書XVIII」「国際獣疫事務局アジア太平洋地域代表事務所の特権及び免除に関する日本国政府と国際獣疫事務局との間の協定」についてそれぞれ賛成することが了承されました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響によってさまざまな法的課題をかかえた市民が適切に弁護士による法的支援を受けることができるようにするための「新型コロナウイルス感染症対策のための法テラス特別措置法案」(仮称)を議員立法として法案登録しました。
会議後に逢坂政調会長は、閣法「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」については、反対することが了承されと報告。「全体としては賛成だが、本来介護福祉士養成施設卒業者に対し義務付けている介護福祉士国家試験について、 現行5年間の経過措置を、さらに5年延長とする規定がある。厚生労働部会での議論の結果、この規定は認められないと判断した」と説明しました。
共同会派厚労部会が取りまとめた「介護・障害福祉サービスの崩壊を防ぐための新型コロナウイルス対策としての第2次補正予算に関する要望」については、このなかで特に、介護・障害福祉従事者等への危険手当の支給や、介護・障害福祉事業所等の減収補償等について、22日に予定されている政府・与野党連絡協議会で提案する考えを示しました。