JRで働く人たち8万6千人が参加する日本鉄道労働組合連合会(JR連合)は20日午後、新型コロナウイルス感染拡大によるJR各社への影響に対応するため、政府による支援措置等の実施を求める第二次緊急要請を行いました。JR連合の荻山市朗会長が逢坂政調会長に要請書を手渡しました。荻山会長は「前回、緊急事態宣言直前の4月8日に要請したが、その後公共交交通の利用は激減した。ゴールデンウイークの新幹線や都市間交通は95%減、首都圏・京阪神の在来線が8割減。39県で緊急事態が解除されたが旅客は回復していない。2019年度決算は3月のみの影響だがJR7社連結で2400億減収しており、2020年の4月はJR東日本1社だけで鉄道収入が1000億減収、JR東海も新幹線中心に1100億減収している。これがいつまで続くのか。本州3社は一定の体力はあるがこれだけの減収は想定しておらず、これが長期化すると利益が吹っ飛び大赤字は間違いなく、資産を食いつぶしかねない。鉄道は安全対策を中心に中長期の設備投資が必要だがそれを抑制せざるを得なくなる。グループ企業であるホテル・旅館・観光・旅行業・バスも鉄道と連動しており、今はグループ内で支え合っているが全体で30万人を超える雇用にも影響が及ばないか危惧している。新しい生活様式が求められる中、非常事態宣言が解除されても、従来のようにはなかなか回復しないのではないか。これからの社会の変化に対応できるよう頑張りたいが、まずは当座の支援、公共交通として必要な支援についてお願いしたい」と現状を説明しました。
二次補正予算に向けた具体的な要請としては(1)鉄道保有資産に対する固定資産税・都市計画税の減免、(2)国が保有する青函トンネル・本四架橋・整備新幹線の貸付料や利用料の減免――を求めました。「鉄道事業は土地・設備を自前でもっており、固定資産税だけで年間1500億円かかる。中小企業には減免があり、鉄道事業の状況を鑑み減免をお願いしたい。減収となる地方自治体への手当ても必要だ。整備新幹線の貸付料は年間700億円ある。これらが猶予や減免となると資金繰りが非常に楽になる。ただちに資金が枯渇するわけではないが、北海道・四国の2社は営業赤字を基金から補填して経営を維持しており、借り入れをおこしても返す目途がない。貨物・北海・四国会社の助成策が今年度で節目を迎え、新たな助成策の継続を要請してきたところ。将来の事業継続とあわせて、当面の事業についての7社共通の要請をお願いしたい」と背景を説明しました。また緊急事態解除後の事業について「感染に対する不安があるなか、新しい生活様式に対応したガイドラインを作り、換気の励行やマスク着用などで安心確保に努めていく。公共交通の安心・安全に関する情報発信についても協力をお願いしたい」と述べました。
逢坂政調会長は「前回お会いした時より状況は更に厳しくなっていると認識。私も北海道が地元なので状況は良く理解している。固定費を下げるために、固定資産税・都市計画税をどうしたら下げられるか、政府とよく話をして、自治体へのバックアップも考えながらやっていきたい。いま毎週開催している政府・与野党連絡協議会と、自民党岸田政調会長と立憲民主党政調会長との会談の2つの場がある。公共交通機関への支援策について政府に対して要求しており、引き続き対応を求めていく。緊急事態が解除されてもインバウンドはすぐには戻らない。新しい生活様式のなかで、事業のやり方、仕事の中身を変えていくことへの支援も必要になってくる。関東圏の解除までいましばらくかかると思われるので更なる対策を政府に強く求めていく」と述べました。